国内企業最前線

植物由来のセルロースナノファイバーに、注目と期待集まる!

エコプロダクツ2016の出展から

18回目を迎えたエコプロダクツ2016。3日間の入場者数は16万7,093人(主催者発表)と前年を下まわったものの、「エネルギー」「防災」「食」など新しい視点の出展が目白押しとなった。なかでも注目を集めたのが、植物由来の新素材「セルロースナノファイバー」。35社・団体が出展を競った。

賑わうにナノセルロース展のブース(エコプロ2016で)

賑わうにナノセルロース展のブース(エコプロ2016で)

炭素繊維、炭素繊維複合材料の次を担う
新素材 セルロースナノファイバー

鋼鉄の5分の1の軽さで5倍の強度を持つとされるセルロースナノファイバー (略称はCNF)。炭素繊維(CFRP)や炭素繊維複合材料(CFRF)に続く、次世代タイプの新素材として世界が注目しています。

セルロースナノファイバーは、紙の原料となる植物繊維(パルプ)を化学的、機械的に解きほぐし、3〜4ナノ(ナノは10億分の1)メートルの超微細加工したもの。

自動車の部材から化粧品の増粘剤までと、さまざまな用途の広がりが期待されています。原材料とされる木材は、成長する過程でCO2を吸収するので、燃やしてもCO2排出量がカウントされません。

わが国の国土の約7割占める森林資源の有効活用につながるものに、森林大国・日本にとってはまさに一石二丁どころか三丁にも四丁にもなる可能性があります。

ナノセルロース展に展示されたエンジンカバーの試作品

ナノセルロース展に展示されたエンジンカバーの試作品

「京都プロセス」で生産コストの削減を進める

わが国は大学や政府の外郭研究機関が中心となって、早くからセルロースナノファイバーの開発に着手してきました。その結果、京都大学や王子ホールディングス㈱・日本製紙㈱などが参画する産学連携グループが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業として、セルロースナノファイバーと樹脂を混ぜた複合材料を効率よく製造する「京都プロセス」を開発しました。

京都プロセスの確立により、セルロースナノファイバーと樹脂の複合材料の製造コスト(樹脂の原料価格を除いて)は1kg当たり約1万円程度から約1,000円程度にまで引き下げられるメドが立ったとされています。1kg当たり約3,000円程度とされる炭素繊維複合材料などとの価格面での競争も今後は優位に立つ可能性があります。

一方、王子ホールディングスでも独自にセルロースナノファイバーの開発を進めてきました。これまでに透明シート、ウェットパウダー、スラリーの3種類の形態での開発が行われ、量産体制づくりと事業化に弾みがつくものと予想されます。3形態の開発は、世界初となっています。

エコプロダクツ展2016-3

期待が高まる用途展開

エコプロダクツ2016では、日本製紙グループの日本製紙クレシア㈱がセルロースナノファイバーシートを使った大人用紙おむつを展示しました。抗菌・消臭効果のある金属イオンをセルロースナノファイバーに保有させたままシート化したもので、従来品に比べ3倍以上という高い消臭力を持っています。

日本製紙クレシア㈱が展示した紙おむつ

日本製紙クレシア㈱が展示した紙おむつ

三菱鉛筆㈱は、第一工業製薬㈱と共同開発したボールペンSigno307を展示しました。ボールペンのインクにセルロースナノファイバーの増粘剤を加え、従来型のボールペンに比べると、インクの粘度を約50%低減して、書き味を大きく改善したものです。

三菱鉛筆の Signo307と性能解説の展示

三菱鉛筆の Signo307と性能解説の展示

今後、セルロースナノファイバーは下の図のように自動車部品、家電製品の筐体、電子部品、各種透明フィルム、有機ELや太陽電池のパネル、スマートフォンの部品、包装材料、機能性フィルム、食品や化粧品の増粘剤など大きな用途拡大が期待され、画期的な産業部材になる可能性があります。(2017年1月)

エコプロダクツ展2016-6


セルロースナノファイバーの関連出展者

相川鉄工/淺田鉄工/旭化成/王子ホールディングス/大阪ガス/京都市産業技術研究所/京都大学生存圏研究所/KRI/JFE商事テールワン/JFEテクノリサーチ/スギノマシン/星光PMC/第一工業製薬/大王製紙/中越パルプ工業/テクノベル/東レリサーチセンター/凸版印刷/日本スピンドル製造/日本製鋼所/日本製紙/北越紀州製紙/マイクロトラック・ベル/増幸産業/三菱鉛筆/モリマシナリー/EMPA(スイス)/国立森林科学研究院(韓国)/Alberta Innovates Technology Futures(カナダ)/Vireo Advisors, LLC(米国)/経済産業省/農林水産省/林野庁/環境省/文部科学省

エコプロダクツ展2016について


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