CSRフラッシュ

エンターテイメントBBQで、国際交流と復興支援!

第2回国際交流BBQ大会レポート

国際交流を堅苦しく考えず、まずは楽しい時間を共有しよう!というコンセプトのもと、都内で第2回国際交流バーベキュー大会が開催された。プロのシェフが調理する東日本大震災被災地の高級食材に舌鼓を打ちながら、自然のなかで会話を楽しみ、国籍を超えて人間同士が触れ合う。民間レベルでの国際交流の小さな一歩といえよう。

第2回国際交流BBQ-1

東北の高級食材を味わい、時間を共有する

岩手県の高級食材「いわて山形村短角牛」のブロック肉や生シイタケが炭火の上でじゅうじゅうと焼かれていく。焼きたての赤身肉や生シイタケを口に放り込むと、思わず「おいしい!」「うまい!」という声が参加者から飛び出した。誰もが幸せそうな顔を見せた。

2016年11月に舎人(とねり)公園(東京都足立区舎人公園1-1)で開催された「国際交流BBQ大会」と銘打ったイベントのひとコマだ。

この日のメニューは、それだけでは終わらない。本誌も関わった東日本大震災の報道以降も交流が続く、メイン料理として宮城県石巻市北山町十三浜から直送されたホタテも登場したほか、オードブル前菜からデザートまでフルコース料理を味わう。

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調理は、イベントの趣旨に賛同したバーベキュー料理のプロ、マックスケア社代表の小川智久シェフとそのスタッフが担当した。紅葉が進む公園の中で、この日集まった約40名の参加者はフルコースメニューの醍醐味を存分に楽しみ、思い思いの交流を行った。

実は国際交流BBQは、昨6月に続いて2回目の開催だ。日本を取り巻く近隣国との緊張関係を伝える報道を目にする機会が増えつつある。そんな中、日本と中国、韓国の友人たちが集まり、自分たちにも身近で出来ることがないかと考えたのがきっかけだった。

「誰でも人には生まれた国の教育や文化が根付いている。外交問題について互いの正義を議論する前に、まずは国籍や人種を超えて同じ人間同士、一緒に楽しく食事しながら時間を共有しよう」と、1回目のBBQ交流会が実現した。日中韓欧の様々な言語が飛び交い、男女比は約半分ずつ、年齢層は30歳代から60歳台までと幅広い参加者の交流が実現した。

第2回国際交流BBQ-4
「いわて山形村短角牛」は岩手県久慈市山形町の広大な放牧地で、無農薬の牧草や100%国産飼料で育てられる。健康で質の良い赤身肉は旨味が強いのが特長。希少価値の高いブランド牛だが、有限会社 総合農舎山形村の通販サイトから購入できる。
http://www.nousya.jp/

第2回国際交流BBQ-5VAMOS SAMURAI BBQは本格的なシェフ付きBBQ出張ケータリング。プロのBBQインストラクターである小川智久シェフが、全国の様々な企業/個人イベントで室内外のエンターテイメントBBQを提供。
https://maxcare.jimdo.com/


食べることで、国際交流&復興支援

第1回BBQ大会の開催は熊本支援も一つの契機となり、第2回開催直前の2016年8月には、折しも東日本大震災被災地が再び大規模な台風被害にみまわれた。BBQに登場したブランド牛「いわて山形村短角牛」の産地、岩手県久慈市山形村もその一つだ。同時に岩手県の山間地はシイタケの一大産地でもあり、地域農家さんが朝取りしたシイタケもBBQでふるまわれた。一方、岩手県を襲った台風は宮城県の農林水産業にも影響した。BBQには2011年の津波で甚大な被害を受けた宮城県石巻市北山町十三浜からホタテも届いた。もともと十三浜は海の塩水と、北上川の真水が絶妙に交じり合った養分に恵まれた漁場だ。しかし台風後は北上川の真水の量が増えすぎ、海が元の状態に戻るまで1カ月近くホタテ漁が出来なかった。

第2回国際交流BBQ-6
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東日本大震災以降も日本各地で自然災害が相次いでいる。被災地支援は初期の緊急支援が落ち着くとともに、いかに地域が自立するか、いかに地域を活性化して過疎化を止めるかなど震災前からの問題解決に帰着していく。地元食材のブランド化やPRも重要テーマだ。BBQ大会の参加者たちは単なる交流会に留まらず被災地の復興支援につながる取り組みとしても意義を見出しているようだった。イベント後にはFace Bookなどで国内外に食材をアピールする投稿が相次ぐとともに、個人で直接に食材を購入して職場の友人たちに配布した人もいたようだ。

第1回からBBQ大会には日本に暮らす中国人が数多く参加者するなか、日本華僑華人婦人婦女連合会の会長である雪平円さんは「日本にいる中国人はビジネスだけが目的と言われがちです。しかし10~20年と日本に住む私たちは“日本に中国人がいてくれてよかった”と思っていただけるよう、ビジネスと同時に日本人との相互理解や交流のための社会活動に力をいれています」と語っている。

日本華僑華人婦人婦女連合会のフェイスブック

https://www.facebook.com/cwj.jp/about/

また仙台や神戸からの参加者からは、当事者として阪神淡路大震災(1995年)と東日本大震災を経験した立場から、様々なステージを経ながら現在も復興過程が続いていること、またイベント参加者への感謝が語られた。

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開放感ある自然の中でイベントは天気にも恵まれた。趣旨に賛同いただいた複数企業(株式会社ドール、中華料理店の聘珍樓、中国酒輸入卸の日和商事株式会社)から参加者に現物支給でお土産も!

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ネパールで作られるチベタン シンギングボール奏者、田中順子さんのパフォーマンスも行われた。2015年のネパール大地震以降、現地子どもたちへの支援活動(Son of Light)で学校再建/新設プロジェクトにも取り組んでいる。
https://www.singingbowljunko.com/


開催者たちから聞いた裏話から

今回のBBQ大会は企業やNPOなどの組織によるものではなく、個人の有志で実現した。東日本大震災以降、国内でも個人がボランテイア活動に係るハードルが低くなったが、活動の継続には資金的な余裕が必要となり、改めて企業等が被災地支援にかかわる重要性が認識された。BBQ大会の主催者の一人は「社会的意義あるイベントであること、多くの人が興味を持ちやすく気軽に参加できること、赤字イベントにしない」のバランスが難しかったと述べる。

「国際交流と被災地支援/地域活性化のための情報発信の場としてイベントを継続していきたい。活動の継続や地方のPRを考えると企業との商談会のような形が良いのか。一方で、当初からの目的である国際交流という意味では、価値観が固まってしまった私たち大人よりも、未来を担う子どもたちが交流する場を創ることが重要という認識もあります。しばらくは試行錯誤が続くと思います」と語る。

参加者からは「長年、日本に居住して、ビジネスに関係なく日本人と交流するイベントに初めて出席した」「なんといっても、美味しい食材が食べられるのが良い」「こんなに一度に海外の皆さんと友人になれたのが嬉しい」という声をもらった。

別の主催者は「自分たち個人が出来ることは本当にわずかな事ですが、だからこそシガラミなく自由に出来る事もあります。無理しすぎず、出来ることを続けていきます」と語った。CSRマガジンでは、今後もCSR(企業の社会的責任)、NPOや地域等の活動とともに、組織に留まらない個人のSR(社会的責任)活動の動きを注視していきたい。(2017年1月)

第1回国際交流BBQフェイスブックサイト

https://www.facebook.com/events/290366971303179/

第2回国際交流BBQフェイスブックサイト

https://www.facebook.com/events/1292792857409295/


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