CSRフラッシュ
電力会社の切り替えは、こんなにも簡単!
グリーンピープルズパワーの新電力会社説明会から2016年4月から始まった電力の自由化。9電力体制を見直すもきっかけであったものの、契約や解約が面倒で踏み切れないという声も聞きます。市民電力連絡会理事長の竹村英明さんが、2017年2月に電力の小売り会社を立ち上げ、市民目線の電力供給をめざしています。電気の切り替えに向けた相談会の模様をレポートします。
[2017年5月1日公開記事]
市民の力で、市民目線の電力会社を育てよう!
竹村さんらが推進してきた市民電力連絡会は、3.11東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故をきっかけにわが国でも始まった再生可能エネルギーの本格的な普及を市民の手でさらに推し進めようという取り組みです。
再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の新設もあって、わが国でも300を超える電力小売り会社が誕生しました。ところが、市民が自分たちの手で再生可能エネルギーの発電所をつくり、その電気を市民に供給するところまでは広がっていません。
2017年2月、竹村さんが代表となってグリーンピープルズパワー株式会社を設立。電力の小売り事業に参入することにしました。当面はみやまスマートエネルギーの取次会社として、ゆくゆくは小売り事業登録をして独立し、市民の電気を市民の皆さんに直接届けられる小売り会社をめざそうとしています。
グリーンピープルズパワーでは、3月14日の神奈川県茅ケ崎市を皮切りに、すでに首都圏各地で電気の相談会と銘打った電力小売り会社切り替えに向けた説明会を精力的に続けています。本誌記者が参加した調布・狛江地区の説明会では、女性4人、男性3人が参加し、竹村さんらの説明を熱心に聞きました。以下は当日のお話をQA形式でまとめたものです。
電気を「使って!」社会を少しでも変えよう
Q.電力自由化の本来の目的と背景は?
竹村:電力会社の役割を発電・送配電・小売りの3つに分割し、だれでも発電できる、だれでも電気が売れる、だれでも小売り会社を選べるようにすること。
もともと電気は地域自治体や地域企業が発電所をつくり周辺に供給していました。戦争で政府に接収統合され国策事業になりました。戦後まもない1951年に、電力会社と政府の激しい抗争の末、9社による地域独占の9電力体制となり、1972年の沖縄の本土復帰により、沖縄電力が加わって10電力体制になりました。地域独占の10社は、発電・送電・配電のすべてを統合し、電気には競争がない経営が保証されてきました。“安定供給”のためにやむ得ない措置とされてきましたが、65年も経つと弊害も見られました。
1つは巨大化の弊害。巨大需要を前提として巨大なムダをそれぞれの電力会社が持つようになりました。2つめは発電・送配電・小売り一体の弊害。発電原価や送配電費用の内訳が見えにくくなっています。3つめは地域独占の弊害。電力会社が地域の経済界を支配し、電力料金が高止まる傾向にあります。
こうした弊害を取り除き、競争の導入や送電網の全国一帯の運用で、透明性の高い電気の活用策のためにも電気の自由化は必要です。地域資源を使って発電し、地域の小売り会社が地域の消費者に電気を供給していくという、電気の“地産地消”も可能になります。
Q.小さな小売り会社との契約で停電が心配になるのですが?
竹村:電気を送り届けるのは送配電網です。ここがしっかりしていれば、停電の心配はありません。
送配電網を管理しているのは送配電会社です。停電が起きるのは、ほとんどが送配電網のシステムに問題が発生したときです。ただし、現在の送配電網は、電気を上から下に流すことしか考えていません。
再生可能エネルギーのような最下層の配電網につながる電力を増やすには、電力を上位層の送配電網に送る「逆潮流」の変電所をつくる必要があります。北海道や九州で再生可能エネルギーの新規立地が難しくなっているのは、「逆潮流」変電所の設置が遅れていることも理由です。政府は、そうした送電網整備の費用を規模の小さな再生可能エネルギー事業者に押し付けようとしていますが、本来は送配電事業者がやるべきことです。
Q.100%再生可能エネルギーの電気は買えないの?
竹村:再生可能エネルギーの比率を高めていくしかありません。
残念ながらわが国では再生可能エネルギーの比率そのものが他国に比べて少なく、電気全体での比率は12%程度です。しかも、太陽光発電や風力発電や小水力発電などでつくられた電気も、送電網の中では石炭火力やダム水力のような発電所の電気と混ざってしまいます。
再生可能エネルギーだけの電気は使えるのでしょうか。可能です。再生可能エネルギーの発電所と小売業社が契約を結ぶことで、その発電所の電気をその小売会社の消費者にだけ届けることができるのです。送電網に入った電気は均質で区別がないので、発電所が100万kW発電していたら、送電網から100万kWの電気を受け取れば良いわけです。これが電気の決まりごとです。
ですから、私たちが使うために契約した再生可能エネルギーの発電所が増えれば、私たちの使う電気の再生可能エネルギーの比率を高め、やがては100%にすることもできます。それは、その目的を持った電力小売り会社でなければできません。電力の自由化で、市民の電力小売り会社を立ち上げているのはそのためです。だれもが安心して再生可能エネルギーの電気が使えるよう、私たちは努力を続けます。
Q.グリーンピープルズパワーはどのような会社ですか?
竹村:電気を「使って!」社会を変えたいと考えています。
私たちの会社は3つの特長を持っています。
1つは再生可能エネルギーをもっと品質の高い電気に育てること。2つめはエネルギーの地産地消を進めます。そのためにも地域資源の活用と地域マネーの流出を防ぎます。3つめは市民の力の活用です。脱原発で再生可能エネルギー中心の社会をめざし、市民の手に電気を取り戻します。
Q.いつからグリーンピープルズパワーの電気を買えるのですか?
竹村:7月をめどに、首都圏の皆さんに電気を供給します。申し込みは今からできますので、東京電力からの切り替えにご協力ください。
千葉県などでは、農業と太陽光発電のハイブリッド型事業、ソーラーシェアリングが盛んになっています。耕作放棄地を農地に復活させる取り組みでもあります。そうした地域の市民がつくった再生可能エネルギー発電所の電気を中心に供給をしていきます。といっても100%は難しいので、当面は再生可能エネルギー比率40%の維持をめざします。
電気のメニューは従量電灯BとCの高圧契約の方が対象です。ただし、深夜電力やオール電化の方もご相談ください。電気の使い方を一緒に考えてみましょう。従量電灯B、C契約の方は、1カ月に300kWh以上の電気をお使いなら、東京電力より少しお安くなります。
申し込みの方法は、チラシの裏面、もしくはホームページの申し込みフォームに、皆さんのお名前、メールアドレス、電話番号、ご住所に加え、現在契約の電力会社名、契約種別、契約容量をお送りいただくだけです。契約可能であれば、契約書、重要事項説明書など必要な書類をお送りします。記入して返送していただければ、あとの手続きは私どもで進めます。
●グリーンピープルズパワー株式会社
<関連記事>
●みんなで屋根上ソーラーをつくろう!~日本初・体験型施工DiOがついに実現
●かしこい電気の選び方・作り方~こがねい市民発電と一緒に考える
●イノベ―ション研究の米倉誠一郎教授が NPOの次世代リーダーたちに語る
●クルマ優先の社会を見直そう「モビリティウイーク&カーフリーデ-2016」が開催
●自殺、LGBT、子どもたちの悩みにどう応えるか~NPO法人3keys(スリーキーズ)のセミナーから
●帰還も転居も困難な、福島自主避難者に相談を呼びかける!「避難の協同センター」の取り組みから
●今こそ再生可能エネルギーに支援を~国連環境計画・金融イニシアチブ特別顧問 末吉竹二郎さん講演
●東日本大震災の経験を全国に―➁福島の地で、行政、企業、NPOの協働・連携を進める
●自転車のルール もう一度、学びませんか?
●エンターテイメントBBQで、国際交流と復興支援!
●若手漁師集団「フィッシャーマン・ジャパン」の担い手育成