企業とNGO/NPO

つくる責任、つかう責任

ソーシャルプロダクツ・アワード 2018の授与式から

一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会は、環境や人・社会への配慮である「社会性」と、品質や機能、デザインなどの「商品性」の両方を兼ね備えた商品・サービスを表彰する「ソーシャルプロダクツ・アワード 2018」を開催し、このほど一次、二次審査を通過した21 点にソーシャルプロダクツ賞を授与するとともに、大賞、優秀賞、特別賞などを発表した。[2018年3月19日公開]

2018アワードの授与式で

2018アワードの授与式で

社会を変え、暮らしを豊かにする

21点が2018年のソーシャルプロダクツ賞を受賞

ソーシャルプロダクツ普及推進協会(東京都中央区、会長:江口 泰広さん)は、優れたソーシャルプロダクツの情報を生活者に広く提供するとともに、ソーシャルプロダクツを通して持続可能な社会づくりに貢献する企業、団体を応援することを目的に2012年に誕生しました。

ソーシャルプロダクツ・アワード(SPA)は今年で6回目。一次審査では社会性」を、二次審査では「商品性」を審査するとともに、公募によっ て選ばれた一般の生活者も参加し、生活者の視点から社会性や商品性を審査します。 審査の結果、今年は21点にソーシャルプロダクツ賞が授与され、その中から特に優れたものに大賞、優秀賞、特別賞などが授与されました。

なお、審査における評価項目としては、 ①「社会性」として、環境だけでなく人(社会的弱者)や社会(地域、伝統)への配慮を評価 ②「社会性」のみならず、品質や機能、デザインといった「商品性」を評価 ③商品・サービスが生まれた「背景」や「ストーリー」、商品を普及させるための「仕組み」などについても評価をしています。


国内部門 大賞

もりのともだち

チエモク株式会社

赤ちゃんから大人まで使える木製うつわのシリーズ。年々減少していく北海道の広葉樹の中で、豊富な資源量ながら製品活用されにくかった「はんのき」と「しらかば」を有効活用。女性が多い木工メーカーならではの特徴として、使い手の目線の機能性とデザインを込めて製作している。従来の木製食器と比べ、これまでにない使い心地と耐久性を実現し、木の器なのに快適に使えるとの評価も。北海道下川町役場と共同開発した。価格は単品:1,620円~12,960円 、ギフトセット:4,320円~46,116円。

SP2018-2

「もりのともだち」と受賞したチエモク㈱の代表

「もりのともだち」と受賞したチエモク㈱の代表

●審査員の評価

木の手触り、やわらかさ、ぬくもりを活かしたファースト食器として、素朴さがありながら飽きさせない。デザインの細部に子どもへの愛情が感じられ、贈答品としての価値も高い。商品を創り、販売するだけでなく、寄付や植樹活動、ワークショップ、イベントを通じて、下川町の森づくりに貢献していることも素晴らしい。


国際部門 大賞

Love lotus Bean to Bar &Raw チョコレート

株式会社ロータスコンセプト

農薬・化学肥料不使用のベトナム産カカオ豆を使った石川県初のBean to Bar&Raw チョコレートブランド。使用しているカカオ豆は児童労働や搾取のないものを選定。また、そのカカオの皮むき作業は、県内の障害者就労施設に委託している。パッケージには、石油由来の素材を可能な限り排除した貼箱を使用し、チョコレートを食べた後も小物入れ等に利用できるようなデザインとなっている。売上の一部は児童養護施設の子ども達への木育活動に寄付されている。価格は1,380円~1,680円。

SP2018-4

「Love lotus Bean to Bar & Raw チョコレート」と受賞の喜びを語る㈱ロータスコンセプトの担当者

「Love lotus Bean to Bar & Raw チョコレート」と受賞の喜びを語る㈱ロータスコンセプトの担当者

●審査員の評価

食感や和風なフレーバーが新しく、現在主流のチョコレートとは一線を画する食味がある。パッケージデザインも美しく、キャッチコピーやユニークなネーミングも生活者を魅了する。カカオの原産国の問題と国内の子どもを取り巻く問題の双方を解決する取り組みとして、社会性が非常に高い。フードマイレージに留意し日本から最も近い産地からカカオを調達しているというのも重要な視点である。商品にこめられたストーリーもわかりやすく、生活者が安心と共感できる内容になっている。


国内部門 優秀賞

さっこらProject ~Panorecheシリーズ~

株式会社幸呼来Japan

東北地方で継承されてきた「裂き織」を軸に3つのコンセプト「Social/障害者の労働力」「Reduce/廃棄繊維の活用」「Traditional/裂き織の技術継承」を連携・普及させるプロジェクト。アパレルメーカーなどで使わなくなった布(残反)を裂き織にし、デザイン性の高いインテリアや雑貨を提案している。現代のニーズに合ったデザイン開発や生産量の増加などを通じて伝統工芸の裂き織を産業レベルに引き上げ、より多くの人に使ってもらうことを目指している。価格は650円〜17,280円

審査員の評価

リサイクル・リユースをベースに、デザイン性を加味して価値向上につなげており、現代のニーズにもマッチする商材に。布の特性上、デザインが生きるものとそうでないものがあるが、地域の伝統技術の一つだった裂き織が新たなトレンドを生み出すものになりえることを多世代に伝えており、有意義な取り組みである。障害者施設と連携してつくっている点もユニーク。


国際部門 優秀賞

CHILA BAGS

株式会社ジャパンビジネスカウンセル

コロンビア北部で暮らす、南米の先住民ワユー民族によって作られたバッグ。彼らが代々受け継いできた手編みの技術にオリジナルデザインを加え、伝統とモダンが融合されたユニークな形を生み出した。不公正な取引が多くある中で、中間業者を通さずに公正な条件・金額での取引を徹底している。生産者が安定的な生活をおくれるよう家計管理の講義や、食料の現物支給等、契約する民族の生活面のサポートにも積極的に取り組んでいる。価格は19,800〜32,900円。

今後に向けた抱負を語る㈱ジャパンビジネスカウンセルの二人

今後に向けた抱負を語る㈱ジャパンビジネスカウンセルの二人

●審査員の評価

デザイン性が非常に高く、社会性に関心がない層にも受け入れられやすいと思われる。直接交渉を通じて作り手とフェアな関係性を築きながら、サポートを実施していることも評価できる。また、このバッグを通じて、今まで知らなかったワユー民族の文化や伝統について知ることができることも素晴らしい。予定されている日本オリジナルの企画商品、また、その売上の一部をファンド化するプロジェクトにも期待したい。


国内部門 生活者審査員賞

小さな石鹸

株式会社アイローカル

宮城県内で採れる自然素材とオーガニックオイルを組み合わせた手作り石鹸。ワカメやシルク、米ぬか等の種類豊富な石鹸は、カラフルな色とキューブ型の形状で、見た目にもおしゃれなデザインに仕上げられている。石鹸には、エッセンシャルオイルを加えてふんわりと広がる香りを楽しむこともできる。製造工程の一部を障害者支援施設に委託している他、震災復興として、若い女性にとって魅力的な商品や職場環境を提供することも目指している。価格は900円〜1,400円。

「小さな石鹸」の展示

「小さな石鹸」の展示

●審査員の評価

豊富なバリエーションと見た目の美しさで、女性の心をつかむ商品。自然素材やオーガニックという安心要素もプラスとなり、「買いたい」「ギフトにしたい」と感じる女性は多いだろう。その商品設計やデザインは高く評価できる。また、復興支援の一環としての女性定着に向けた就労支援や、職業訓練の一環となる障害を持った人への作業委託等、活躍の機会を求めている人々に場を提供している。働き方や材料の調達等、幅広く地域に貢献している商品である。


国際部門 生活者審査員賞

ショーコラ

チョコレートデザイン株式会社

「チョコレートで世界を幸せにする」というモットーを実現すべく、フェアトレードチョコレートを使用してつくる生チョコクッキーサンド。熟練のショコラティエが試行錯誤を重ねてたどりついたその香り、味、食感のハーモニーが多くのチョコレート好きから評価されている。製造中に、割れや欠けでロスとなってしまった商品は、チャリティーオークションに出品し、その売上でカカオ原産国のガーナに学校を建設。また、最近では同国のカカオ農園で働く女性達をサポートするプロジェクトもスタートさせるなど、生産者の継続的な支援活動にも取り組んでいる。価格は単品378円。

「ショコラ」受賞の思いを語るチョコレートデザイン㈱のスタッフ

「ショコラ」受賞の思いを語るチョコレートデザイン㈱のスタッフ

●審査員の評価

フェアトレードチョコレートは数多くあるが、このような高級スイーツでフェアトレードというのは、今まであまりなかった。長年挑戦をし続け、顧客の理解を得て、100%フェアトレードチョコレートに切り替えたのは、並々ならぬ努力の賜物と思われる。さらに、継続して取り組まれているカカオ生産国へのサポートも地域・社会への貢献は大きい。その上品な味わいもさることながら、背景にあるストーリーも含め、ギフトとして誰に贈っても喜ばれる商品である。パッケージも環境に配慮したものになるとさらに良いだろう。


国内部門 特別賞(アイデア)

EDIBLE GARDEN

dot science株式会社

無農薬栽培ローズを中心とした食用花(エディブルフラワー)のブランド。商品は食用ローズのほか、障がい者就労支援施設を営むNPO法人「歩実」で生産された食用花も取り扱っている。主力商品である「YOKOTA ROSE」は神奈川県平塚市にて無農薬で作られ、一般流通の食用バラと比較して3,840倍もの香気成分を含んでおり、ミシュラン星付きシェフも愛用している。価格はYOKOTA ROSE 700円/輪さ姫(食用バラの花びら)25g 2,700円、AYUMI(ビオラやナデシコなど、各花20輪) 540円。

食用花(エディブルフラワー)のブランドづくりで受賞したdot science㈱のみなさん

食用花(エディブルフラワー)のブランドづくりで受賞したdot science㈱のみなさん

●審査員の評価

食用花という国内ではまだなじみの薄い領域へのチャレンジと、障害者雇用をつなげている点は独自性がある。障害をもった人たちを雇用するだけでなく、彼らが花とふれあいながら仕事ができる場と機会を創出していることも素晴らしい。食用花は海外からの輸入も多い中で、日本国内の農家を支えるという役割も担っている。プロ仕様の食用花を一般の人たちも購入できて、自宅で特別な気分が味わえる新しい商品であり、今後の展開に期待したい。


国内部門 特別賞(デザイン)

LOG – more trees LEATHER Speaker –

SYRINX

LOG(丸太)と名付けられた柔らかな皮でつくられた2本のスピーカー。澄み渡る音が、楽器と同じように空間全体に自然に広がり、まるで目の前で演奏しているような臨場感で満たされる。素材に森の植生を破壊し尽くすまで増加している北海道のエゾジカの革を採用。その柔らかな革を用いることで、共振・反響・共鳴を極限までなくすことに成功した。サスティナブルな森林環境を守りながら、エゾジカの命に感謝を捧げ、その革の新たな可能性を広げている。価格は162,000円。

LOG(丸太)と名付けられたエゾジカの皮でできた2本のスピーカーとSYRINXの開発担当者

LOG(丸太)と名付けられたエゾジカの皮でできた2本のスピーカーとSYRINXの開発担当者

●審査員の評価

置いてあるだけでインテリアの一部になるような、とても美しいデザインのスピーカー。音も高品質で、聞き心地がよく、商品としての完成度の高さは評価できる。獣害対策は森林保全の面からも急務であるが、食肉利用やファッションでの先例が見られるものの、その他の利用事例は少ない。その点、本商品の鹿革活用は新しい用途を開発したものであり、音響特性という独自の視点は、市場を広げていける可能性を示している。


今年の「ソーシャルプロダクツ・アワード 2018」では、国内部門で他に11点、国際部門で他に2点の計21点が受賞し、商品・サービスの一部は、下記の場所で以下の日程で展示しています。
3月2日(金)~11日(日)(OVE 南青山)LIFE CREATION SPACE OVE 南青山
http://www.ove-web.com/minamiAoyama/
3月14日(木)~4月15日(日)(ソーシャルスクエア代官山
http://ss-daikanyama.com/)
※代官山会場につきましては、一部の商品の展示となります。

●お問い合わせ先

一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会

〒104-0061 東京都中央区銀座5丁目12-5白鶴ビル3F Tel:03-3248-5755

http://www.apsp.or.jp/

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