CSRフラッシュ

ネパールの子どもたちを支援するSon of Light Japan

シンギングボウル ヒーラー/パフォーマー田中順子さんが紡ぐ日本とネパールの絆

心と身体を癒すヒーリングツールとして知られるシンギングボウルとの出会いを通じて、ネパールへの子どもたちへの支援活動(Son of Light Japan)を広げる パフォーマー/ヒーラーの田中順子さんの活動を紹介する。[2019年8月16日(金)公開]

Son of Lightスクールプロジェクト3校目。2018年11月に開校した SHREE SHRIJANSHIL BOUDHA ANATH プライマリースクール

Son of Lightスクールプロジェクト3校目。2018年11月に開校した
SHREE SHRIJANSHIL BOUDHA ANATH プライマリースクール

心と身体を癒すシンギングボウルとの出会い

「ジャイ ネパール(Jay Nepal)!」 田中順子さんの掛け声とともに、子どもたち、そして来場した多くのネパールの皆さんが一斉に片手を突き上げて声を揃えた。頑張ろう、ネパール。ここはネパール山岳部のSHREE SHRIJANSHIL BOUDHA ANATH プライマリースクール、ネパールの子どもたちを支援するSon of Light (光の子どもたち)が開校した3校目のスクールだ。

2015年4月のネパール大地震で被災した同校は4~12歳まで75名の孤児が生活しながら勉強できるよう新校舎は住居も併設されている。シンギングボウル パフォーマー/ヒーラーの田中順子さんはSon of Light Japan代表として今日の開校式に出席していたのだ。

シンギングボウルは、まだ多くの日本人にはなじみが少ないが、見ると「お寺にある、大きなお椀のような….」とすぐ思い出すだろう。3000年以上前にチベットの高僧が使う仏具として発祥したシンギングボウルは、欧米アジアでnatural meditation (自然の力による)、心と身体を癒すヒーリングツールとして知られている。その最大の特徴は「波動」「浄化力」「倍音」だ。

田中順子さんとシンギングボウルとの出会いは2005年、世界40カ国以上を訪れる旅の途中で、シンギングボウルの第一人者であるネパールのサンタ・ラトナ・シャキア氏との出会いだった。ネパールの首都カトマンズでSinging Bowl Centreを営むシャキア氏は、仏具師の家に生まれ、独自に古代の配合や作り方を研究し、シンギングボウルを現代に蘇らせた。Singing Bowl Centreでつくられるシンギングボウルは世界で唯一、ハンドメイドのヒマラヤンシンギングボウル、ダライラマ法王14世にも献上されている。

ヒマラヤで採掘された7種類の金属(金、銀、水銀、銅、鉄、スズ、鉛)のみを使用したハンドメイドのシンギングボウル

ヒマラヤで採掘された7種類の金属(金、銀、水銀、銅、鉄、スズ、鉛)のみを使用したハンドメイドのシンギングボウル

いつの間にか、国内でシンギングボウルの第一人者に

シャキア氏と会うなり「順子はボウルをやりなさい」という一言に導かれて、何も分からず始めたシンギングボウルだったが、以来、なぜか毎年かかさずにシャキア氏のもとを訪れてシンギングボウルを学んでいた。シャキア氏のセンターでは世界中からボウルを学びたい人が訪れ、3~5日間の集中講座を終えると、すぐに自分の国で人々を癒すヒーリングサロンを始める人も少なくない。最近ではシンギングボウルのセラピーメニューを取り入れるヨガの先生も多いようだ。

田中順子さんは生来の生真面目な性格から、「最低でも500人にボウルのセラピーを行うまでは、プロとは言えない」と自分で決めて、数年間、国内で無料の修行を続けた。「シンギングボウルのプロは、ボウルの波動と同時に、ボウルを聴く人の身体の波動も感じることができなくてはならない」からだ。いつしか、田中順子さんは数少ないシャキア氏の“家族”と呼ばれる教え子の一人として、国内でたぶん最も古くから本格的に活動しているシンギングボウル ヒーラーとなっていた。

ネパール地震をきっかけに本格的に支援活動に携わる

“ボランテイア”には全く興味がなかった田中順子さんがSon of Lightの活動に本格的にかかわったきっかけは、2015年4月のネパール大地震だった。期しも日本の東日本大震災と同レベルのM7.8の大地震は首都カトマンズ北西77km付近を震源地に建物の倒壊、雪崩、土砂災害などの甚大な被害を生じさせた。

日本で一報を聞いた田中順子さんは「何か、自分が出来ることをしなければならない」と周囲の人に協力を頼み、シンギングボウル演奏によるチャリテイコンサートを始めた。時にはハンドパンやクリスタルボウルなど、様々な楽器との競演も行った。日本全国、声をかけてもらえれば、どんなに少人数のイベントでも交通費自腹で駆けつけた。シンギングボウルは譜面や歌があるわけではない、それまでは主に行ってきた1対1のヒーリングと同じく、その場にいる人たちのエネルギーを感じながら即興でボウルを叩く。ネパールの人たちのためのイベントでも、目の前にいる人たちの心と身体を癒すために懸命にパフォーマンスを続けた。
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東日本大震災で被災した岩手県では子どもたちにワークショップを開催

東日本大震災で被災した岩手県では子どもたちにワークショップを開催

2015年末に全国からの集まった寄付は737,051円だった。「個人の活動の寄付としてはそれなりかな。水や食料以外に、子どもたちの未来のために残るもの、再建する学校の柱の一部に使ってもらえたらよいな」と思いながら、寄付金は全額シャキア氏に直接手渡しした。すると、シャキア氏は「順子が直接に子どもたちに会いなさい。単にお金を渡して終わりではない、ダイレクトに支援することが大切なのだ」と。

シャキア氏は地震前の2003年から盟友であるドイツ人のAlberto Paruigiano氏とともにネパールの孤児たちに生活や就学に必要な費用を援助するSon of Lightをプライベートな活動として開始していた。それまでに数えきれないほどネパールを訪れていたが、その時に初めて荒れた道やつり橋を渡り、半日以上をかけて山岳部の被災したRamedap Villageを訪れた。日本からの寄付金を含むSon of Light資金で用意したスクールバッグ(文房具入り)500個を村の子どもたち一人ひとりに手渡しした。

村の子どもたちや人々との直接的な触れ合いに感動を感じた帰り道にシャキア氏に「これから、ネパールのロータリークラブと協力しながら、1年に1校ずつ、被災したスクールを再建していく予定だ」とアイデアを聞かされた。さらに現地では、「Son of Light Japan代表 田中順子」宛の感謝状がロータリークラブから渡された。1回切りで終えるつもりだった支援活動が本格的にスタートした瞬間だった。

Ramedap Villageで子どもたちにスクールバッグを手渡し

Ramedap Villageで子どもたちにスクールバッグを手渡し

日本に帰り、2016年からも引き続き、シンギングボウルのヒーリング、ワークショップ、イベントへの参加などを地道に続けながらSon of Light Japanとして寄付を集め、半年に一度ネパールに直接に届けた。シャキア氏ら現地の人々とともにSon of Lightは2016年2月にはゴルカ地区にSHREE JANAJAGRITI PRATHMIJC VIDHYALAYA プライマリースクール、2017年2月にSHREE DAL BHANJHANGプライマリースクール、さらに2018年11月には冒頭のSHREE SHRIJANSHIL BOUDHA ANATH プライマリースクールが開校された。

田中順子さんはその都度、開校式に出席するほか、シャキア氏や現地ロータリークラブの人たちとともに、開校済みの学校を再訪して問題点をヒアリングしたり、次のスクールプロジェクトのミーティングにも同行する。2019年4月にはスクールからの要望で、飲料用水フィルターを寄贈するためで、教室用6個、オフィス用1個、その他4個、計10個を寄贈するために3校目のSHREE SHRIJANSHIL BOUDHA ANATH プライマリースクールを再訪したほか、計画中のホステル(宿泊施設)付スクールについてRAPTI地域(Rapti Municiply State No. 3 Lotnar)市長を訪問した。

2016年2月に完成したSHREE JANAJAGRITI PRATHMIJC VIDHYALAYA プライマリースクール

2016年2月に完成したSHREE JANAJAGRITI PRATHMIJC VIDHYALAYA プライマリースクール


2017年2月に開校したSHREE DAL BHANJHANGプライマリースクールの子どもたちと

2017年2月に開校したSHREE DAL BHANJHANGプライマリースクールの子どもたちと

シンギングボウルとの出会いから広がった“一期一会”

ネパールでは「善行を施すことは、他人のためではない。自分のため。自分自身にグッドカルマが訪れる」と普通に考えられている。Son of Light Japanの活動の広がりは、期せずして田中順子さん本人のシンギングボウルによるワークショップやイベント活動の広がり、人と人とのつながりを深めていった。

2018年3月には支援活動をきっかけに知り合ったサウンドプロデューサーKeizo氏や画家Youka氏との協働で1stアルバム「Moon Waves 月の波動」が生れ、そして2019年5月には2ndアルバム「スーパーフルムーンボウル138」が発売された。後者の最新CDはネパールで138年に一度の満月の夜に作られたスーパーフルムーンボウルを主役とする演奏をT-TOCレコーズ社長/トータルサウンド・アーティスト金野貴明氏によってシンギングボウルの波動や倍音が究極までに繊細に録音したハイレゾCDだ。

1st CD「月の波動」のジャケットは画家の木綿花(Youka)氏がネパール大地震の鎮魂の描いた自費と救済の神ホワイトターラとグリーンターラ

1st CD「月の波動」のジャケットは画家の木綿花(Youka)氏がネパール大地震の鎮魂の描いた自費と救済の神ホワイトターラとグリーンターラ


ネパールで138年に一度の満月のエネルギーを取り込んだ スーパーフルムーンボウルを主役としたハイレゾCD「スーパーフルムーンボウル138」http://t-tocrecords.ocnk.net/product/237

ネパールで138年に一度の満月のエネルギーを取り込んだ
スーパーフルムーンボウルを主役としたハイレゾCD「スーパーフルムーンボウル138」
http://t-tocrecords.ocnk.net/product/237

冒頭で紹介した3校目のスクール開校式で、田中順子さんはこのようにスピーチした。「私は約15年前にサンタ・ラトナ・シャキア氏と出会い、ネパールとシンギングボウル、そして大切な友人たちと出会いました。私から子どもたちに伝えたいことは、一つは、たくさん勉強してください。そして同時に、たくさん遊んで人生をエンジョイしてください。人生を楽しむということは、たくさんの人と出会うこと、そして真の友人をつくることです。その2つが出来れば、皆さんは必ず明るい未来を切り拓くことができます」。

今、田中順子さんはこれまでを振り返り、偶然出会ったシンギングボウルによって、少しでも多くの人の心と身体を癒すことが自分の役割だと感じている。これからも、田中順子さんはシンギングボウルによって生まれる人と人との一期一会を大切にしながら、日本とネパールをつないでいく。

●CD発売記念チャリティイベント「一期一会」開催

田中順子さんがシンギングボウルと出会って15年間の集大成となるイベントが、地元 川崎能楽堂で開催されます。シンギングボウル、舞踏、バンスリ(バンブ-フルート)とのスペシャルな競演も実現。癒しと感動の一瞬をぜひ、お見逃しないよう、ご来場ください。
2019年9月7日(土) 17:00開演 (16:00開場予定、19時終演予定)
川崎能楽堂(公益財団法人 川崎市文化財団)(148席、全席自由)
川崎市川崎区日進町1-37 TEL.044-222-7995 (JR川崎駅東口 徒歩5分)
チケット代金:2,900円 (経費を除く収益はネパール支援へ寄付)
●田中順子HP:https://www.singingbowljunko.com/

<チケット申し込み>下記Email宛に「お名前、連絡先、お申込み人数」をご連絡ください。
E-mail:ichigoichie190907@gmail.com
能楽堂チラシB表

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