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“いまを生きる”喜びや美しさを写真と詩と歌で表現する「ココロミプロジェクト」

写真家、 詩作家、音楽家――日々の“なりわい”を離れて、新しいココロミにチャレンジする人たちがいる。企業人なら、さしずめ異業種交流といったところだろうか。だが、損得勘定がないだけに、3人の関係はすがすがしい。2019年10月のある日、ココロミプロジェクトと名付けられたライブに参加してみた。[2019年11月30日公開]

左から詩作家 古屋利幸さん、音楽家 古賀久士さん、写真家 齊藤文護さん

左から詩作家 古屋利幸さん、音楽家 古賀久士さん、写真家 齊藤文護さん

“今、ここを生きる”をコンセプトとしたプロジェクト、
この日のテーマは「女性」

会場は南麻布のカフェ、この日、写真家 齊藤文護さん、詩作家 古屋利幸さん、音楽家 古賀久士さんの3人による表現活動「ココロミプロジェクト」が新しい形となった「ココロミ発表会 Vol.1」が行われました。今回のテーマは「女性」です。

まずは、写真家 齊藤文護さんが、ご自身の作品から女性をモチーフにした写真を選択して紹介しました。陰影あるモノクロ写真で、これまでも、齊藤さんは、人間が自然に生かされていることを強く意識し、風景・人物写真ともに自然の一瞬を映し出すことをコンセプトに作品を重ねてきました。

[齊藤文護さん写真作品「天歌地歌」(ココロミプロジェクト制作楽曲2019年バージョン)]

続いて、コピーライターとして活躍する古屋利幸さんが登場。竹宇治聰子さん(旧姓 田中/ローマオリンピック銅メダリスト)に捧げた「新記憶」を朗読。映し出されたのは、ご本人を撮影した齊藤さんの作品。齊藤さんがライフワークとしている、マスターズ水泳大会での一枚です。モノローグのような詩と、写真作品が響き合い、重層的な魅力を放ちます。

齊藤文護さんの作品をモチーフに詩を朗読する古屋さん

齊藤文護さんの作品をモチーフに詩を朗読する古屋さん

[古屋さん「新記憶」朗読風景(ココロミ発表会2019.10.06から]

最後の登場は、もう一人の呼びかけ人である音楽家 古賀久士さん。古賀さんは、3.5オクターブの広い音域を持ち、聴く人を魅了する奇跡の歌声で知られます。この日は、自らつくった楽曲の中から「アベマリア」など、女性を主役とした数曲を披露しました。彼の声には、言葉では表現しにくいのですが、癒しと幸せな気持ちを届ける不思議な力がありました。

音楽家 古賀久士さん

音楽家 古賀久士さん


[古賀さん「アベマリア」歌唱風景((ココロミ発表会2019.10.06から)]

生きざまが異なる3人が交流をつづける理由

呼びかけ人の一人である古屋利幸さんにお話を伺いました。

齊藤さん、古屋さん、古賀さん3人の出会いのキッカケは?

古屋:齊藤さん(以後、文護さん)は、僕がかつて勤務していた広告制作会社でお仕事をお願いしているカメラマンでした。出会ってから、すでに四半世紀を超えています。

古賀さんとの出会いのきっかけは、2013年4月に出版した『過去鏡(かこきょう)』(書道芸術社刊/写真:齊藤文護、詩:古屋利幸)です。
出版に先立ち、文護さんが、京都で展覧会を開催することになっていました。文護さんの旧知のアート・ディレクター(西脇氏)に、会場の演出をお願いすることになり、「オリジナルの音楽を会場に流し、作品鑑賞の体感度を高めてはどうか」と、演出プランをご提案いただきました。そこで紹介されたのが、古賀さんでした。

ココロミプロジェクトをスタートしたのはどんな思いからでしょうか?

古屋:2011年12月、文護さんから、ライフワークで撮り続けてきた2つのシリーズ、聖地を訪ねて撮影した「聖地の風」シリーズと、マスターズ水泳・マスターズ陸上に参加する高齢者アスリートを撮影した「生き方の提案」シリーズを、専用のWEBで発信できないか、という相談を受けました。

2つのシリーズのテイストがあまりにも違うため、「ひとつのタイトル」にまとめるのは困難だと思いました。しかし、文護さんの「表現運動」としてまとめることは可能ではないか、と考えました。

打ち合わせを重ねるうちに、「聖地の風」シリーズの写真には、僕が詩をつけさせていただくことになりました。また、「生き方の提案」シリーズについても、全国の大会会場(プールや陸上競技場)の撮影に同行させていただき、高齢者アスリートにインタビューをし、そこで得た心情を詩にして、写真と一緒に発表するようになっていました(マスターズ水泳大会会場にて)。

マスターズ陸上競技の参加者(写真 齊藤文護さん)

マスターズ陸上競技の参加者(写真 齊藤文護さん)

そうした経緯もあり、文護さんの「2つの作品シリーズをWEBで発表する」、という企画は、「写真と詩による表現運動を発信する」、という企画(ユニット)に、変化していったのです。

WEBでの発信に伴い、ホームページを開設しようということになり、ユニット名を「こころみプロジェクト」と命名しました。
①自分自身の聖地と向き合う(=自分と向き合う=生き方を見つめる=今 ここを生きる=こころを見る) ②高齢者アスリートが年齢をものともせず、生き生きとチャレンジし続け、躍動する姿(=生き方の提案)、という写真作品の印象や世界観から、共通項として、「こころを見る」、「試みる」、という言葉を見つけ、命名したものです。デザイナーとしてサポートいただいている兼本氏のアドバイスを受け、2015年10月から、「ココロミ プロジェクト」とカタカナ表記に改めました。

2019年10月、「ココロミ プロジェクト」が新しい形でスタートしました。

古屋:2013年「過去鏡」、2014年「神記憶」、2015年「ゲンキ浴」、2016年「天歌地歌」の作品シリーズは、いずれも、文護さんの作品がベースにあり、その世界観を深め、伝わりやすいよう、詩と音楽を加えたものです。スタート時の「ココロミ プロジェクト」は、文護さんと僕の2名でしたが、2016年に古賀さんが正式メンバーとなり、現在のメンバー構成となりました。

2017年には、全国12会場で、ココロミ プロジェクトLIVE TOUR 2017『きせきの風ツアー』 を開催しました。
2018年12月には、神谷町のギャラリー(樋口文庫)で、文護さんの「神記憶」展開催に合わせ、会期中に「ココロミプロジェクト」ライブを行いましたが、当年の活動はその1度に留まり、次のステップを模索する日々が続いていました。

2019年10月、「ココロミ発表会」と題し、活動を再開させました。これまでのように、文護さんの個展開催に合わせたものではなく、隔月で開催する、独立したライブ活動としてスタートしました。「今 ここを生きる」というメッセージを掲げつつ、毎回テーマを設け、第1回目は「女性」をテーマに、3人がソロパフォーマンスを行いました。

(2017年プロジェクトまでは「こころみギャラリーサイト」参照)

(2018年プロジェクトからはフェイスブックサイト参照)

――ユニークな異文化交流ですが、新しいステージに入るにあたっての抱負をお聞かせください。

古屋:まだ手探りという状況です。前述のとおり、これまでの活動では、はじめに文護さんの作品群があり、それを僕が言語化し、古賀さんが音楽を加え、作品世界を創り上げてきました。今後は、回ごとに設けた「テーマ」に沿った、ライブ活動になります。

写真と朗読と音楽による、ただの寄席ライブにならぬよう、 「今 ここを生きる」を伝えるためのパフォーマンスとして、いかなるプログラムを創り上げていく(発信する)ことができるか。大きなチャレンジになると感じています。

「ココロミ プロジェクト」は、スタート時から、大きな志があったわけではありません。文護さんの作品づくりに結集しながら、3人が、それぞれの深さで、徐々に気づきを得ていったのです。

個人的な意見ではありますが、経済至上主義が行き詰まり、環境破壊や自然災害が頻発する今日、僕たち人間が「生かされている」ことに気づく時代を迎えていると実感しています。それを「知識」ではなく、「感得」できたとき、毎日は、穏やかで感謝に満ちたものになるのではないでしょうか。

そうした気づきの共有を祈りながら、「ココロミ プロジェクト」の一員として、言葉を紡いでいます。「ココロミ プロジェクト」にご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ、お気軽にご参加ください。皆さまとの出会いを祈っております。

●ココロミプロジェクト

https://cocoromipj.jimdo.com/
https://www.youtube.com/user/cocoromipjnet
https://www.facebook.com/cocoromipj

●次回のココロミプロジェクトは2019年12月20日(金)19:00~行われます。

日時:2019年12月20日(金)19:00~
場所:カフェカリーズ
〒106-0047 東京都港区南麻布1-4-22 サライ南麻布1F
Tel. 03-3454-2727
http://cafekariz.com/


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