客室稼働率89%、リピーター率70%

株式会社スーパーホテル

~だれもが驚くホテル経営は、 従業員を巻き込んだ共感創出経営と顧客満足の追求にあった~

「ぐっすり眠れるLOHAS(健康で持続可能なライフスタイル)ホテル」をコンセプトに快進撃を続けるビジネスホテルチェーンがある。全国98店舗(2011年2月末現在)を展開する株式会社スーパーホテルだ。同社は、サービス産業生産性協議会が実施した「日本版顧客満足度指数」ビジネスホテル部門で2年連続1位を獲得しており、2010年12月には独自のサービスである「エコ泊・エコひいき」活動で環境省より地球温暖化防止活動大臣表彰を受賞した。今回は、同社の強さの秘密を探ってみた。

<“安全・清潔・ぐっすり眠れる”を追求

シングルルーム1泊平均4,980円~という料金設定ながら、スーパーホテルは“宿泊の質”に徹底的にこだわってきた。一般的に、ビジネスホテルはチェックインが意外と遅く、チェックアウトが早いため、ホテルに滞在するのはおよそ10時間前後といえる。同社は、独自の調査から宿泊客一人ひとりの“快眠”に努めることで他社との差別化を図ったのである。

「ベッドは長さ2m×横1.5mと大きめ。低反発素材のマットレスを採用し、7種類の枕から気に入った枕を選べるようにしました」と経営品質部北川直樹課長が語る。
また、人の身体が活動から休息へと切り替わるには交感神経の高ぶりを抑える必要がある。全店舗の半数にあたる47のホテルに天然温泉を設けたほか、部屋の照明は快適な眠りに誘うため少し“暗め”の30ルクスに設定する。

枕を選び、照明をしぼったベッドでぐっすり

また、部屋はシンプルなつくりながら、清掃を徹底、光触媒や空気清浄器を全室に設置する。24時以降の玄関ロックのセキュリティ機能強化で安全も万全だ。
スーパーホテルでは、“安全・清潔・ぐっすり眠れる”にお客様が満足できなければ、部屋の交換はもちろん宿泊料金の返還も行うと語る。

マニュアルで感動は生まれない

スーパーホテルがめざすのは“お客様の感動”である。だが、マニュアル至上主義ではない。マニュアル依存では、本物の感動は与えられないと考えたのだ。
従業員には、マニュアルに代わる「Faith(信条)」というカードが配布され、全員で毎朝これを復唱する。

Faithは各部門から人を集め、社内で議論してつくったもの。そこには「快適な宿泊の追求」「お客様満足の追求」「働く仲間の満足の追求」などの項目からなる基本方針、「明るい笑顔と元気な挨拶でお客様をお迎えします」などのサービスの心得が並ぶ。

スーパーホテルは、従業員に求められる資質を“自律型感動人間”と銘打ってきた。
「本当の感動はお客様の心の中にあります。『ここまでやってくれるのか』『ここまで考えてくれるのか』という感動を育てるには、一人ひとりがしっかり考え、行動しなければなりません」と北川課長。

エコプロダクツ展のスーパーホテル出展会場で(左写真、右が経営品質部北川直樹課長)

フロント係や清掃係は、常に「もし、お客様が自分の家族であったら……」との思いで、お客様に接するようにしているという。
特にフロント係りはフェース・トゥー・フェースの対応をなによりも大切にする。お客様との心を結ぶ時間をつくるため、チェックインには最新のIT(情報技 術)システムを導入した。このシステムにより、初めての宿泊時にお客様の嗜好やリクエストの記録を残すことで、2回目以降の来店時にはお客様に感動を与え る接客や接遇を可能にした。

また、同社は昨今見受けられる自動チェックイン機でのチェックインでビジネスモデル特許を取得しており、宿泊料金を入れると部屋の暗証番号が記されたレシートが出る。このレシートが鍵代わりとなる仕組みだ。
「お客様の不満で多いのは朝のチェックアウトの渋滞。これを解消するためチェックイン時に機械で自動精算ができるようにしました」

こうした一連のシステムによって、繰り返し宿泊されるお客様の名前を覚えたり、会話をしたり、お客様のリクエストなど顧客満足度を高めるきめ細かいサービスが可能となった。お客様の声として寄せられるサンキューレターには、
「なつかしいわが家に帰ってきたような和やかな気分でくつろがせてもらった」「期待以上の清潔さ、フロントの方の親切さ、無駄なもののなさ、立地、そして価格! 驚きと感動です」といった声が月平均5,000通も寄せられる。

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