[被災地復興に向けて力を結集]

「命をつなぐ」ために、いま何ができるのか。日本ユニバ震災対策チームの孤立被災地支援。

Q 今回の震災は、被災地域の広さ、津波による水没、それによって自治体が全く機能できない町が数多く存在する点でこれまでの震災と全く異なると聞いています。

上野: 自治体が機能していないのではなく、行政の建物自体が津波に流されてしまった、町ぐるみで被災に遇っているわけです。初期段階では町自体に全く連絡が取れないケースもかなりありました。こうした被災地に、従来と同様の対応(自治体からのニーズの連絡を待って支援を行う)では遅すぎます。

ネット等で皆さんにお願いして届いた支援物資を、多いときはクルマ(大型も小型もある)で1日に7~8台、少ないときでも2~3台と出しました。
現地にモノを届けるだけでなく、もともとの目標「命をつなぐ」ためには、さらに現地で「次はここに行こう」という情報をキャッチして戻ってくることも当初の重要使命でした。

例えば被災された地域住民の方から「実は、この奥にも小さな集落があるが、誰も避難所にも来ていないのはおかしい」などといった情報からドライバーがその地域に赴き、初めて被災者が孤立している状況を発見するというケースもありました。
波に流されなかった3軒の民家に約60人が避難していたケースも見られました。
私たちは、そうした自治体には公認されていない自然発生的な避難所である孤立被災地をキャッチし、次々と支援物資を送り続けたわけです。

私たちはどこかの組織に参加しているわけではありませんが、自衛隊や行政、現地のNPOなどさまざまな組織とも連携して活動を進めています。現地NPOの方々は本当に有能ですし、私たちは今回が震災支援について初めての経験ですから、ご迷惑をかける状況もあったかもしれませんが、それでもお役に立てればとやってきました。

日本ユニバ震災対策チームによる救援物資の配送、現地での情報収集

震災から3週間、東北地方を中心とする被災地の現状

Q.現在(取材日3月31日)、被災地での支援ニーズも変化しているのでしょうか?

上野: 初動の活動では「命をつなぐ」という一点に目的を絞って活動を進めてきました。ある程度、当初目的は達成しつつありますが、しかし、被災から命だけは助かった、その次の段階の支援が実は本当に重要だと思っています。阪神淡路大震災でも、被災後に病気やストレスなどで亡くなられた方が非常に多いことは良く知られています。

また、時間が経ってから、緊急支援が必要な皆さんも出てきています。
例えば津波の被害に遭っていなくとも、山側の地域で交通が遮断され、移動手段を持たない方々が結果的に孤立した地域というのがあります。被災直後には家に多少の食糧備蓄があっても、1週間、10日すぎて逆に限界が来ている可能性があります。

さらには避難所から自宅に帰られる方も出始めましたが、そうした皆さんも一定の食糧等はお持ちでも、早晩ストックが底をついてくるはずです。避難所に取りに行く方もいますが、地域や人によってムラが生じると思いますし、油断はできません。

そうした“声なき声”の存在の情報確認は、引き続き進めています。

そもそも被災地はそれぞれ置かれている状況が異なります。いわゆるライフライン—水、電気、ガス、通信がとおっているか否か、下水などが機能しているかどうかでも衛生状態は異なります。水道が通っていても水が白濁して(トイレには流せても)全く飲料水がない地域もあれば、断水でも沢の水がキレイで飲める地域もあります。水・電気・ガスの状況、お湯が出るかどうかで、カップラーメンが食べられるか、食品を加工して食べられるか、同じ地域であっても日々状況が変わっていきます。

状況をいち早くキャッチすれば、出来る支援がたくさんあります。
それも命をつなぐ活動のひとつです。

Q.日本ユニバ震災対策チームのサイトでは、基本方針として孤立被災地支援に特化し、自治体に支援を任せられる地域からバトンタッチしていくとのことでしたが?

上野: 現実的にはなかなか難しい状況です。多くの自治体が自らも被災するなかで、まさに“てんてこ舞い”です。今日現在でも、東北地方にまだガソリンが不足しており、地域自治体の支援を遅らせています。支援物資があっても届けられない、避難所を回れない、避難所からも動くことが出来ず連絡がつかない状況は続いています。

自治体に任せれば大丈夫という状況までには、もう少しかかるというのが実感です。

◆臨機応変に到着日時を区切って必要となる物資を募集
http://www.npo-uniken.org/shinsai_busshi.html
上野氏いわく、支援物資は「必要なモノを必要なときにだすというのが大切。被災地のニーズ自体が早いスピードで変化しており、保管場所も限られている。日本ユニバ震災対策チームは、当初の食糧・水から、医薬品等、最近は畳や入れ歯用品など、被災地のニーズにピンポイントに対応する物を指定して募集している。支援物資を送りたい方は、その都度、上記サイトを見てほしいとのこと。
また日本ユニバ震災対策チームは、上記サイトに加えて、刻々と変化する現地ニーズ、それに伴って必要な物資や募集するボランティアについて下記フェイスブックサイト(PCからも閲覧可能)で随時情報を出している。
http://www.facebook.com/nucct
トップへ
TOPへ戻る