[被災地復興に向けて力を結集]

「命をつなぐ」ために、いま何ができるのか。日本ユニバ震災対策チームの孤立被災地支援。

Q.日本ユニバ震災対策チームのフェイスブックでは、今後は看護師など資格をもった方にも協力を要請したいなど、支援の内容がモノからヒトへと広がるようですね。

上野: 看護師、薬剤師などの医療関係の資格を持った方は当然求められていますが、そういった資格を持たない方でも、“家の中の泥をスコップで取り除くお掃除隊”となってくださる数多くのボランティアも必要です。自宅に戻りたくても、1階に大量の泥が溜まっている方がたくさんいらっしゃいます。単に住めないというだけでなく、泥が乾燥し、ホコリを吸い込むことは健康被害も懸念されます。ほこりがまいあがり、それを吸い込むと健康にもよくありません。

人が生きるためには「明日、何をするか」が必要となる

Q. さらに先を考えたときに、被災地には何が必要と現時点で感じられますか?

上野: 「命をつなぐ」というのは、生きていれば大丈夫かというと、それだけではない。人間が健康に生きるためには誰でも「明日の朝、起きたらxxxをしよう」と思えること、単純な言い方ですが「明日の予定がある」ことがとても大事だと思います。

ご家族などの大切な方を亡くされた被災者の方々が、なおかつ避難所で何もすることがないという状況は本当につらいと思います。ただでさえ、ご家族の方が無事な方々でも、避難所はプライバシーの問題もあるし、余震も続くなか怖いので自動車の中で眠る方もたくさんいらっしゃいます。ましてや、家族を失った方々は、決して、ゆっくり休んでいられるような精神状態ではない。

ただ支援物資をお配りするだけでは「命をつなぐ」ことにはなりません。
(最初に申し上げたように、阪神淡路大震災では震災後しばらくしてから心身を崩して亡くなったかたが大勢います。)避難地域に張り紙をして「一週間後、xxをしますよ」「xx日頃にxxxが出来上がりますよ」という小さな情報でもよい、いついつ、何をしようと思えること、そういう何気ないことがすごく重要だと思います。

Q. 被災地の方々が互いにボランティアとして活動されている地域も多いです。NGO/NPO/民間が協力しながら、被災地の地元でボランティアを登用する方法も?

上野: それも一つの方法かもしれません。とにかく、いったん命をつないだ方々が、さらに明日の朝に向けて希望を持って、徐々に動いていくことが大切なのです。

漁業者として漁を再開する、大工さんが復興のために各家を再建する、床屋さんとして、飲食店として、今までの活動を再開する方向に向けて、ほんの少しでも動き続けることができるようにする、そのことが重要だと思います。

(どのタイミングでというのは地域によって異なるため難しい問題ですが)例えば、あえて申し上げると、炊き出しなどの支援が尊いものであるのはもちろんですが、もしも既に近くに地元の飲食店が再開している場合などは、逆に地元の商売を邪魔してしまう可能性もあります。例えば、炊き出し一つにしても、地域の状況に応じて地元の飲食店を利用するなど、今の支援が地元復興の次のステップにつながるものではなければならないと思います。

支援を通じて、再び経済がまわり始め、雇用が生まれ、産業が生まれる。
早い段階から、地域社会が最終的に復興する過程を想定した支援のあり方を考え、実行することが必要だと思います。

Q.全国から何か支援したいと多額の募金額が集まっていますが、「今すぐ役立つ支援を」という気持ちとすれ違うもどかしを感じる方も多いと思います。

上野:日本ユニバ震災対策チームはガソリン、灯油、重油、軽油、アブガスの調達や
寄付の間に合わない緊急物資の調達のために義援金(募金)を募集していますが、初期の緊急支援がひと段落した段階で一度区切りをつける予定です。その際は、いただいた義援金を何に使ったのかを明らかにし、余った金額はご提供いただいた金額の割合に応じてご返却したいと考えています。そのうえで、次のステップの活動を企画していきたいと思います。

また東北地方には本当に被災者に役立つ支援を続けている現地NPOがたくさん存在します。そういった活動も長く全国の皆さんから支援されるべき活動だと思います。

Q. 個人、企業に対して臨む協力・支援がありましたら。

上野: この数週間で延200~300名の方がボランティアで駆けつけてくれました。10代から60代までの経営者、会社員、学生、就活中の学生など、年代も職業もまちまちです。企業の方からもたくさん協力をお申し出いただき、現在使用している物流倉庫もボランティアで企業から貸していただきました。ある布団メーカーからは毛布2000枚などの寄付もありました。日本も大きく変わりつつあると実感しています。海外からの7トンの衣類の支援のお問い合わせもありました。

一方で、例えば今日の時点では、やはりガソリンの不足が一番頭を悩ませています。都心にいると感じないかも知れませんが、地方では食料と同じぐらいガソリンが重要で、クルマを動かせなければ援助物資が届いても個々の皆さんには届けることもできません。九州でガソリンを手配いただけるというお話がありましたが、東北地方まで運ぶ手段がなく、手をつくしているところです。こうしたレベルの話になると、どうしても個人の力では限度がある、企業の協力が必要になってきます。

今後も支援段階に応じてさまざまな力の結集が必要となってきます。個人の方はもちろん、企業の方々、さらに海外の方にも「何かこういった支援ができるよ」ということがあれば、ぜひご連絡いただきたいと思います。

(注:必要とされる支援物資については取材した2011年3月31日現在の状況ですので、何らかの支援を希望される方は、事前に下記へご連絡ください。)

日本ユニバ震災対策チーム
http://www.ud-web.com/oshirase3.htm
◆〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-21ちよだプラットフォームスクウェア
(救援物資は別な倉庫宛となりますので、下記サイトをご確認ください)
不明点はinfo@ud-web.com までお問い合わせください。
◆被災地への救援物資を送付したい方へ
http://www.npo-uniken.org/shinsai_busshi.html
◆被災地への義援金(募金)を希望している方へ
http://www.npo-uniken.org/shinsai_bokin.html
◆被災地への人的支援やボランティアをしたい方へ
http://www.npo-uniken.org/shinsai_volunteer.html
◆フェイスブックによる随時情報(PCで閲覧可能)
http://www.facebook.com/nucct
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