国内企業最前線

一人でも多くの命を救うために。医療の現場と連携した薬剤師たちの奮闘。

株式会社ファーマライズホールディングスの 東日本大震災対応から

仕事はしっかり、オフはリラックス

Q8. 少しはリラックスできる環境だったのでしょうか。
田仲 応援に行くにあたっては神妙なおももちで行く必要はないというのが応援者たちの考えでした。緊張していては長持ちしないと考えたのです。仕事は一生懸命やりました。でも仕事以外では精一杯リラックスできるようにと配慮し、いろいろなものを持っていきました。その中に鉄板がありました。毎いろいろなものを鉄板に乗せて焼きました。当初は肉なんか全く食べれなかったようで大好評でした。わいわいやりながらも翌日に疲れが残らない程度に発散しました。

1つだけしんどかった話もしましょう。ちょうど私が現地に入った日に震度6強の余震がありました。ライフラインが復旧し始め、なんとか立ち直れそうだと思っていた矢先でした。夜11時半ごろだったのですが、私が寝ていたベッドの配置が変わるくらいの凄い地震でした。トラックがぶつかってきたのではないかと思ったほどです。

地震を心配した友人たちから「大丈夫か」と次々にメールが届くのですが、一番知りたいのは震源がどこで、震度がいくつだったかということでした。もちろん、津波警報が出ているのかいないのかも大問題でした。そういう情報を最初に知らないと逃げることもできないという思いでした。
ロッジのある場所は、3月11日に足元まで津波が迫った場所だったのです。

Q9. 石巻店の従業員のご家族は無事だったのでしょうか。
田仲 瀬戸の住まいは海側にあったのですが、震災の翌日に出かけると1階は津波で浸水していました。彼は独身のため2階で寝泊りをしていましたが、とても泊まれる状態ではありませんでした。事務員2人のうちの1人の実家も1階が津波で浸水していました。幸いなことに家族は無事でした。もう1人の事務員の家は山間部にありましたから家族は無事でしたが、普段でも車で1時間ほど掛かる場所です。震災直後はガソリンが手に入らず、一時は通勤を断念しかけましたが、本人たちの医療に対する強い意志もあり、近隣に宿泊施設を確保してそこからしばらく通勤していました。

Q10. 皆さん頑張りましたね。薬の確保では苦労もあったでしょうに。
田仲 今回の震災では薬の卸会社も協力してくれました。少しでも安定的に薬を供給したいということで、仙台の方からガソリンの供給が無い中精一杯配達に来てくれました。私たちも薬の数はなるべく減らさないように努めました。
 病院と薬局、薬の卸会社の連携がなければここまでうまくいかなかったかも知れません。また、不足する薬への対応を含めて、薬剤師に薬のことが一任されたというのも、薬剤師にとっては大きな経験でした。 

Q11. ファーマライズグループとしては、この震災からどのような教訓を得られたのでしょうか。
田仲 避難所の患者さんがつらい思いをしているのは一人ひとりの態度を見ているだけで分かりました。でも、お薬を差し上げると「お店が開いていて助かった。ありがとう」とか「こんなにしてもらってありがたい」など感謝の言葉を掛けてもらうケースも少なくありませんでした。

よくよく話を聞けば、なかにはご家族を亡くした方もいたようです。
「薬局さんも頑張っているのだし、私も頑張ろう」という方もいました。石巻赤十字病院の周りの薬局以外はほとんど閉まっている状況でしたから、なおさらだったのかも知れません。

ただ、石巻店だけでは限界もあったと思います。当社が掲げる企業理念の1つ「地域医療への貢献」のもと全員が協力してファーマライズグループという組織で動けたことが大きかったと思います。現地にいると、激励のメールを送ってくれる従業員や個別に物資を送ってくれた従業員も大勢いました。

普段は接点のない店舗もあると思いますが、このようなときの団結力、グループ間の連携の強さに思わず“ありがたい”と感謝の心が生まれました。

○本件に対するお問い合わせは
ファーマライズホールディングス株式会社
〒164-0011東京都中野区中央1-38-1
TEL03-3362-7130(代) FAX03-3362-7190
http://www.pharmarise.co

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