国内企業最前線

一人でも多くの命を救うために。医療の現場と連携した薬剤師たちの奮闘。

株式会社ファーマライズホールディングスの 東日本大震災対応から

地震と津波で大きな被害を受けた宮城県石巻市。病院やクリニックの多くが壊滅的な被災に見舞われる中、災害から逃れた石巻赤十字病院には大勢の地域住民が治療などに押し寄せた。一人でも多くの命を救うために。今回は石巻赤十字病院の医師と連携し奮闘した調剤薬局ファーマライズグループにスポットを当てた。

関連記事
「持続可能な災害医療のあり方を探る。」はコチラ↓
http://csr-magazine.com/2011/05/30/analysts-saigai-iryo/

「在宅療養を考えるこの町シンポジウム [前半]」はコチラ↓
http://csr-magazine.com/2011/05/29/analysts-zaitaku-part1/

これはただ事ではない

Q1. ファーマライズ薬局石巻店の概要からお聞かせください。
田仲 ファーマライズ石巻店は当社グループが運営する宮城県唯一の店舗です。石巻赤十字病院の門前に並ぶ4つ調剤薬局の1つで、震災前は1日平均35枚くらいの処方箋に薬剤師1名と事務員2名で対応していました。ちなみにファーマライズグループはJASDAQ市場に上場する中堅の調剤薬局グループで、全国に162店舗を運営しています。ちなみに東北地方は15店舗でした。

店舗運営部第一課長 田仲 義弘氏

Q2. 3月11日、震災当日の模様はどのようなものでしたか。
田仲 震災が起こったのは3月11日金曜日の午後でした。当日は患者さんもほとんどいない状態でしたが、今までに経験したこともない大きな地震だったため、当社の従業員3名もただならぬ状況だと身構えました。直後に断水、続いて停電になり、電話も通じず、周りの状況はほとんど把握できませんでした。

地震の直後、石巻赤十字病院からは糖尿病患者に使うインスリンがないかという在庫の確認があり、借りにくるという話が入りました。「これはただ事ではない」と店長の瀬戸聡は初めて実感しました。隣の薬局と話をし、携帯電話のワンセグでニュースを確認すると、大きな津波がすぐそこまで来ていたと分かります。海岸線に近い自宅に戻るのは危険だというのが全員の判断でした。

日が落ちると一面真っ暗闇でした。飲み水の確保に始まり、家族の安否が気懸かりでしたが、幸いなことに店舗の周辺はほとんど被害がない状況でした。

Q3. 店舗に泊り込みという決断はどのような状況でなされたものですか。
田仲 泊り込みという判断は店長の瀬戸が下しました。その後も石巻赤十字病院の方から薬の貸し借りがひんぱんに起こっていました。店舗を開けておく必要性を痛感した瀬戸は、自主的に店舗を開け、病院と連絡を取って、「薬で必要なものがあれば協力します」と伝えました。

石巻赤十字病院は、石巻の海岸線から5~6㎞の高台にあります。ちなみに海岸近くにあった石巻市立病院は津波でほぼ壊滅状態でした。しかし、そんな深刻な状況もそのときは誰ひとり知るはずもありませんでした。その頃には、市内に点在するクリニックの多くも大半が機能を失っていました。唯一生き残った石巻赤十字病院に2~3日後人々は殺到することになったのです。

石巻赤十字病院と外来対応風景

TOPへ戻る