昼の太陽エネルギーを蓄え、夜のコミュニティを照らす

株式会社風憩セコロ 取締役東京支社長 渡辺 博さんに聞く

 防犯・防災ニーズに応えるヒット商品「ソライト」
Q4 そうして生まれたのが太陽光パネルで集めたエネルギーを蓄電し、夜、防犯灯などの照明に役立てる「ソライト」ですね。どのようなご苦労がありましたか。

渡辺:2003年に「ソライト」という名前の新商品が誕生しました。風力発電の部分をとっぱらって太陽光発電パネル、蓄電池、LED、コントローラなどからなる照明器具です。昼の間に太陽光パネルで電気を起こし、それを蓄電池に貯めて、夜になってLEDライトを灯すというものです。導入第一号は、2003年10月の東京都渋谷区・四軒谷公園への2機の導入でした。

「ソライト」各タイプ:モノポール((写真上)、ツインポール(下左)、ツインズレッズ(下右)

しかし、いまにして思うと、ソライト第一号は、防犯用の歩道用照明としてはまだまだ暗く、防犯用と呼ぶには不十分だったかもしれません。その後、ソーラーパネルの発電効率、LEDの明るさ、蓄電池を次々と改良し、いまではパッケージの性能が飛躍的に高まっています。

私たちはもともとアルミの加工をメインとしてきた会社です。そこにLEDや電子基板が入ってくるわけです。全く畑違いの世界でした。ノウハウを蓄積していくのに一苦労しました。当初は+と-を逆につないで、バッテリーを壊したこともありました。電気屋さんなら当たり前のことも分かっていなかったのです。自分で勉強もし、社内に電気系のスタッフも入れました。

また、最初は太陽光パネルだから発電するのは当たり前だと思っていました。ところがお日様が当たらないと発電しないわけです。実際に設置すると日当たりもありますし、何度の角度で設置したら一番発電効率がよいかなどいろいろ学びました。

ソーラーパネル屋さんにすれば当たり前のことも一から勉強して蓄積していったわけです。ただ、私たちにはソーラーパネル屋さんにはない強みもありました。ランドスケープで公園用の手すりなどをやっていたので、自治体の公園緑地課や道路整備課、国でいえば国土交通省などとのお付き合いもあり、マーケットのことはよく分かっていたのです。 

Q5 いつ頃から本格的な普及が始まったのでしょうか。また、普及にあたってはどのような努力が行われたのでしょうか。

 

渡辺:エコや環境への対応ということでスタートしましたが、マーケットに出したら防犯灯に最初のくいつきがありました。次は防災ですね。なにかの災害でライフラインがストップして停電になっても「ソライト」は点いているわけです。

2007~2009年あたりの普及を見ていると防犯と防災が意外に大きかった気がします。防災公園というような防災機能のある公園への設置ですね。東京都内にも震災を想定して住民が一時的に避難する場所があちこちに指定されています。そこへの設置が増えました。

2009年になると爆発的に増えました。2008年の倍になったと記憶しています。ただ、経営的には、「ソライト」だけだとリスクがあるので、あくまでも「ランドスケープ」と「クリーンエネルギー」の2本立ててバランスをとってきました。

1999年のスタート時は、社長の花田と私、そしてもう一人の3人だけでした。花田が工場で製作を担い、私が開発と営業を担当しました。それが現在は33人の会社になりました。

Q6 さらに伸ばすにはどのような課題がありますか。

渡辺:一番の課題は価格でしょうね。電線から引いてくる商用の電灯に比べると独立電源の場合は価格が高くなります。電気代は掛かりませんから、ランニングコストを見れば8年目くらいを目処に逆転するのですが、導入時のイニシャルコストが高いので敬遠される部分もあります。

私たちの機器は20年持つようにつくられています。8年経てばランニングコストが逆転しますから、後の12年は電気代が掛からないというメリットが生まれます。 

この分野は、いまがある種のブームですから、ライバル企業の多くは売りっぱなしです。売った後は知らないよというのが結構あります。それに対して私たちのスタンスとしては、どうやって面倒を見ていくかという視点です。

私たちしかやっていないのはバッテリーの10年保証です。蓄電池はクルマと同じで5年から7年で寿命が来ます。それを再生してもう一度10年間保証するわけです。電極に付いたごみをきれいに洗い落とすことで新品並みになるのです。

TOPへ戻る