昼の太陽エネルギーを蓄え、夜のコミュニティを照らす
株式会社風憩セコロ 取締役東京支社長 渡辺 博さんに聞く昼、太陽光パネルで集めたエネルギーを蓄電し、夜、防犯灯などの照明に役立てる。そんなユニークな発想の製品を約10年かけて北海道から沖縄まで2,055台も広げてきたのが今回紹介する㈱風憩セコロだ。ブームで終わらせたくないという強い意志を感じていただこう。
太陽光か、風力か?製品化までの試行錯誤
Q1 風憩セコロという社名は実にユニークですね。どういうコンセプトから生まれた会社ですか。
渡辺: 当社の設立は1999年10月1日。風力発電をメインに起業しようというものでした。ただ、事業化には時間も掛かるというので、もう1つ、ランドスケープ(景観創造)もテーマにしてきました。
「風憩セコロ」の「風」は風力の「風」でもありますし、ランドスケープの日本語訳である「風景」の「風」でもあります。風景のケイには景観のケイではなく、あえて「憩」を使いました。これからは人の心を癒す、“憩いの時代”が来るのではないかという予測もありました。そこから“風と憩い”をテーマにしようと決まりました。
「セコロ」という言葉は、イタリア語でセンチュリー=世紀という意味があります。語呂がよいというので風憩+セコロとしました。間近に迫った21世紀は、“風と憩いの時代”ではないかという思いだったのです。
Q2 設立後、どのような活動を始められたのでしょうか。
渡辺:地球の温暖化がクローズアップされた京都議定書が1997年12月です。会社ができた1999年当時は、自然エネルギーへの関心がようやく人々の間に高まりつつあるという状況でした。風力発電は大手の一部が始めていましたが、私たちがやろうとしたのは、直径1メートル弱、出力30~50Whのマイクロ風力発電所でした。今から考えるとおもちゃの風力発電装置ですよね。
日本の電気事業は、電力会社が独占していますから、外部の電線とつなぐことよりも独立電源を考えていました。ただし、モノづくりをやる以上はシステムだけでなく、パッケージとしてユーザーさんに示せるものにしたいと……。私たちの場合、当時も今も公共工事が主体ですから、1つのパーケッジとして勝負できることが不可欠でした。
初めは風力発電だけで独立電源として成り立つと考えていました。ところが、風は水物というか、なかなか読めません。思い通りに発電してくれないものですから、風力に太陽光を組み合わせたハイブリット照明にしました。
Q3 製品が形になるまでには試行錯誤もあったわけですね。
渡辺:ところが風力と太陽光の2つを組み合わせると価格が高すぎるわけです。やむなく風力を外すしかありませんでした。風力を外しても性能は変わりませんでした。風力を加味して発電能力を決めると風がないときはクレームになりますから、風力は初めからおまけのような形だったわけです。
実は平均風速などのフィールド調査をきっちりやった場所であれば、風力でどれくらいの発電量が期待できるか予測できるのですが、調査にそこまでお金をかけられなかったことも災いしました。