識者に聞く
炭素固定比率1㎡あたり32㎏の準耐火パネルが認定を取得国産杉を使い低炭素社会に近づこう
一般社団法人日本WOOD.ALC協会 幹事長 稲田健太
厚みのある木材は簡単には燃えない
Q3.木材が60分間も燃えないというのは本当ですか。
稲田 WOOD.ALCの使い道にはいろいろな部材が考えられますが、私たちは一番使用量が多く、制約が少ない外壁に着目しました。そして、この厚板を3階建てまでの大型集合住宅や学校などの公共建築に利用したいと考えました。そのため、建築の骨組みにあえて鉄骨を用いるものとし、WOOD.ALCは非耐力壁の役割に限定したのです。
私も建築家の端くれですから前々から常識として分かっていたのですが、一定の幅・厚みのある木材は簡単には燃えません。確かに表面は燃えても、中まで簡単に火が通らないものなのです。しかし、どういうわけか、これまでは木材だというだけで外壁への許可は下りませんでした。
Q4.挑戦の背景には建築基準法の改正があると聞きました。
稲田 2000年の改正建築基準法施行により、防火法令は性能規定化に向けて改正されました。木造であっても「非損傷性(壁が壊れない)」「遮熱性(裏面の温度が概ね200℃以上にならない)」「遮炎性(燃え抜けない)」などの防耐火要求性能を満たせば木造耐火建築物の設計ができるようになりました。
「60分準耐火の性能評価試験」の場合であれば、万一火災に遭っても60分間建物が崩壊せずに建ち続けることができればよいのです。現在は消防活動の進化で都市部では火災からわずか数分から10数分で消防車が到着し、消化活動が素早く行われます。建物の崩壊と延焼防止さえできれば市街地の火災を抑制できるのです。
WOOD.ALCにおける防耐火構造認定試験でも、杉厚板は表面こそ焼けたものの炎が裏面に抜けることはありませんでした。
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