農機具のカスタマイズで

日本の農業を元気にしたい!

㈱下請の底力 えんのうブラザーズマネージャー 羽廣保志さん

下請の底力 農機具カスタマイズ計画(グランプリ スピーチから)

 農機具の改造をしてくれる農機具販売店が少ない 

私たちは普段は自動車や建設機械などの部品を供給している町工場の集団です。私たちの住む町は農家と町工場が点在する地域で、本業を営みながら、地域の農家の依頼で農機具の修理・改造もやってきました。自動車部品をつくる設備があれば農機具の修理・改造はそれほど難しいものではありません。最初はなぜ農機具を扱う業者に依頼しないのか不思議でした。話を聞いてみると、農機具の改造をしてくれる農機具販売店はなく、保守や修理への対応も雑のようです。JAなども故障したら新品をというスタンスです。

私たちは農家が困ったという声を聞きながら、知恵を出し合い、最適なパーツをつくります。できるだけ汎用性のあるパーツにすることでコストを落とし、だれにでも購入できるものにしています。

農家との対話から「困った」を聞き出す

プーリの改良で作業効率が3倍に

農家と一緒に手がけたパーツの事例を紹介しましょう。関東農機製の小型耕運機を使用し、ごぼうの圃場の苗植え作業前の整地作業において、地元の農家からエンジン側のプーリ(ベルトをかける円筒状の部品)径を大きくしたいと依頼されました。エンジンの回転を抑え、燃費、作業時間、騒音を改善したいとのこと。軽作業のためトルクは要らないので大きめプーリをと依頼がありました。

標準品から寸法を測り、サイズを決め、簡単な図面を制作して大きめのプーリを旋盤加工で製作。値段は材料費を含め、1個10,000円×2個でした。これにより約0.7反の圃場の作業時間は一人で3日掛かっていたのが、約1日で終わるようになりました。燃費は約半分、騒音も抑えられ、作業効率も大幅に改善されました。

国内の農業従事者はこれからも減少し、高齢化します。機械化、自動化、作業の効率化は不可欠です。

農機具の種類は豊富ですが、「使用用途」「地域」「農業従事者の状態」「農地の状況」に合わせて農機具をカスタマイズする業者はほとんどありません。農家自身が創意工夫しているケースもありますが、専門業者はほとんどないのです。

農家目線の農機具の改善・改良ネットワークを 

今、国内には農機具販売店などを退職した人やリストラされた技術者がたくさんいます。その人たちの技能を活かし、農機具カスタマイズのスタッフにしていきます。

農機具販売店は、修理・改造に関してはほとんど手を出しません。メーカーも保証対象外にするケースがほとんどです。私たちは、「カスタマイズ保証」を付けます。自動車や建設機械を支えてきた私たちのものづくりネットワークは大きな力になるはずです。

ただ、私たちには農機や農業に関する経験が不足しています。そこで農機具販売店を退職した職人の方々にカスタマイズ職人として参加いただき、農家、カスタマイズ職人、私たちの設備と技術というネットワークを構築し、地域の農業の活性化に役立てていきます。 

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