次世代のための日本を創るために

未来に向かう君たちへ

岩手県久慈地域 スクールギャラリーツアープロジェクト

地域の未来を担う子どもたちのために

実は、この日のワークショップは地元の久慈青年会議所主催による久慈地域小学校巡回美術館事業(通称:スクールギャラリーツアープロジェクト)の一環で行われた。

2009年からスタートした同プロジェクトでは熊谷先生との協働で、岩手県出身の著名な美術作家たちの協力のもと、絵画作品を久慈地域内11の小学校に半年ごとに展示している。子どもたちが、半年間、身近に本物の芸術作品と接することで、自然な審美眼と芸術作品に対する興味を醸成することが目的だ。

 

学校内に飾られた絵画に対する子どもの感想文を送ったことがきっかけで、作家と子どもたちの手紙での交流が始まった小学校もあるそうだ。
(写真は平山小学校展示風景)

 また美術品を展示するだけでなく、小学校ごとに子どもたち自身が参加するワークショップを開催しており、今回の平山小学校が5校目となった。

 

 

 
これまでのワークショップで子どもたちが作成した創造力あふれる作品群。久慈小学校(上)、大川目小学校(下左)、長内小学校(下右)児童によるもの。ワークショップごとに制作テーマは壁画や絵画などさまざまだ。

 改めて青年会議所メンバーの皆さんに、プロジェクトの意義について伺ってみた。

「このプロジェクトを始めた頃には久慈地域には美術館がなく、地域の子どもたちが本物の芸術作品と接する機会はほとんどありませんでした。たまたま久慈地域では熊谷先生を通じて岩手県出身の著名な作家に協力いただくこともできる、日常的に小学校で美術品と接することができればと思いました。」

熊谷先生と久慈青年会議所メンバーたち

久慈市出身の熊谷先生は多摩美術大学を卒業後、自身のモダンアート作品の制作と同時に、長年にわたり地元高校での教育に意欲を傾けてきた。「私には絵を描くことしかできない。」というのが口癖の熊谷先生は、芸術の力を信じ、芸術を通じて地域の未来に貢献すべく、2009年3月に完成した美術館「あーとびる麦生(むぎょう)」の理事長としても活躍している。今回のスクールギャラリーツアープロジェクトでも、当初から単に子どもたちに絵を見せるだけでなく、実際にワークショップで子どもたちが体験することが重要だと先生は考えていた。

 

 

あーとびる・麦生
http://www.artville-mugyo.com/
2009年3月に閉校した旧麦生小・中学校(岩手県久慈市)を活用して生まれた。岩手県に縁のある芸術家を中心に、絵画、書、彫刻、写真など幅広い分野の作品が展示されている。
●開館時期:4月~11月の毎週土日10時~16時、常設展示は無料 (12月~3月は休館)

 

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