国内企業最前線

京王電鉄の学童保育事業子供たちに‟いきいきした放課後”を

京王電鉄㈱総合企画本部事業推進部 事業開発担当課長 田中 恵理さんに聞く

少子高齢化が社会問題となる中、大手私鉄の1つ京王電鉄がこのほど民間学童保育事業に参入した。京王グループではすでに乳幼児の保育事業にも参加しており、‟子育てしやすい沿線づくり”を目指した動きといえよう。学童保育などの新規事業開発を担当する田中恵理さんにお話をうかがった。


だれもが住みやすいと感じる沿線づくり

Q1 子育てしやすい沿線づくりを目指しているそうですね。いつごろからどのような取り組みを行ってきたのでしょうか。

田中 鉄道会社は沿線に深く関わっています。鉄道沿線の価値を高め、地域の活力を維持・向上していくには、沿線の皆さんがいつまでも住み続けたい、また新たに移り住んでみたいと思える魅力ある街づくりを進めていかなければなりません。

京王電鉄㈱事業推進部課長 田中 恵理さん

京王グループは、京王線沿線で子育て支援サービスの運営を行うため、2007年4月に㈱京王子育てサポートを設立し、これまでに東京都認証保育所「京王キッズプラッツ」を京王多摩川、高幡不動、千歳烏山、南大沢、永福町、東府中の6か所にオープンしました。

また、保育所運営のほか世田谷区が千歳烏山で行う子育て支援の複合施設「子育てステーション烏山」で京王電鉄が受託し、運営にも関わっています。児童の一時預かり、親子ひろば、病後児保育などの運営も行っています。

さらに、暮らしに役立つサービスを提供するサービスカウンターとして「京王ほっとネットワーク」の店舗を高幡不動、桜上水、永福町に開設し、家事代行や住まいのリフォーム、大事な家族や住まいを守るセキュリティ、お買い上げいただいた商品の宅配などサービスの内容を年々充実しています。

高齢の方も子育て世代も集い、だれもが住みやすいと感じる沿線づくりが狙いです。

Q2 学童保育にはどのような経緯の中で取り組むことになったものでしょうか。

田中 先ほど述べた「京王キッズプラッツ」は乳幼児保育の支援が対象ですが、保育所を出て小学校に入ったお子様についても安心・安全で有意義な放課後生活を実現させたいという保護者と子供たち双方からの強い要望があることは、これまでの経験から十分理解していました。

Q3 あえて公設の学童保育との違いを強調するとすればどのようなところでしょうか。

田中 多くの公設の学童保育は、小学3年生までの受け入れであったり、保育時間が短かったりと、働くお父さんやお母さんの要望を最優先とまではいかないようです。

民間の学童保育事業の特徴は、それらのご要望に柔軟に対応できることです。具体的には、預かり時間の延長対応や、小学校6年生までの受け入れ、昼食や夕食の提供なども有料ですが希望にそって行えることなどが挙げられます。

最近は学童保育に参加している子供たちも塾やお稽古ごとに通います。公設の学童保育では、管理などの問題からいったん退室した児童の再入所は難しいようです。私どもでは、一人ひとりの子供たちにカードを持たせて入退出の管理を自動で行えるようにしています。

また、公設の学童保育は、子どもの人数も多く、学習指導はありませんが、私どもの学童では、「知育(学習)」「徳育(社会性)」「体育(健康増進)」の3つのバランスのとれた豊富なプログラムと家庭的な少人数保育が特色となっています。また、入所にあたっても、保護者の就労条件はありません。

京王電鉄では1970年から毎年夏休みに高尾山峰中(ぶちゅう)修行体験合宿という企画に取り組んできました。豊かな自然に囲まれた高尾山で普段体験できない修行体験を通じて「新しい友達をつくる」「自然に触れて自然を大切にする」「心に残る思い出をつくる」の3つを実現するものですが、これまでの40年でたくさんの子供たちや教師の方たちとのつながりが生まれています。私たちは、このプログラムに携わっている教師の方たちからも指導をいただき、京王らしい学童保育をつくっています。

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