電気を選べる時代がやってくる<後半>

個人向けグリーン電力証書の普及を進める エナジーグリーンの竹村英明副社長に聞く

太陽光の買い取り制度は42円、風力は23円(消費税込み)
 
竹村 固定価格買い取り制度では太陽光は42円/kWhとか、風力は23円/kWhとか、の値段がついていますが、風力はすぐに建つかというとなかなか建ちません。風況調査というものをやって、少なくても1年間の風の強さを調べて、風力に適した地域かどうか調査をしないといけません。その後にシミュレーションしてから設計をして、そして建てないといけません。だから3年くらいかかります。ところが3年後だと23円の買取価格が変わっているかもしれないのです。

太陽光は今年は42円/kWhですが、来年には35円/kWhになるという話さえあります。ちょっとくすぐって喜ばしておいて、実は奈落の底に突き落とすようなことを日本の政治は平気でやります。

グリーン電力証書で自然エネルギーを伸ばそう!
 
竹村 日本でグリーン電力証書が誕生したのは2000年のことです。エナジーグリーンの元代表取締役で、NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)の代表でもある飯田哲也さんが中心となって仕組みをつくりました。

グリーン電力とは、風力、太陽光、バイオマス、水力、地熱などの自然エネルギーによって発電された電力のことです。自然エネルギーは発電するときにCO2を発生せず、放射性廃棄物も産み出しません。石油や石炭、原子力など従来のエネルギーによる発電のように「資源枯渇」の心配もありません。これらの地球環境を持続可能にする力を総称して「環境価値」と呼んでいます。「グリーン電力証書」 は、この環境価値の部分を公的に認められた認証機関が認証し、証書という形で環境価値を取引することで、誰もが「環境価値」を購入でき、自然エネルギーの発電所・事業者には環境価値分の追加収入が入る仕組みです。

図提供:エナジーグリーン株式会社

グリーン電力証書を個人も買える時代がやってきた
竹村 私がグリーン電力証書の事業に本格的に携わるようになったのは2005年のことでした。長野県飯田市で保育園や公民館の屋根で電気をつくる市民出資による太陽光発電所(おひさま発電所)の設置事業を担当することになってからです。設置費用を市民出資で集め、太陽光発電による売電収入とグリーン電力証書で環境価値を売ることで出資者へ還元していくという仕組みですが、環境価値という概念を行政や出資者に理解いただくのが大変だったことを思い出します。

前田 エナジーグリーンでは2012年1月より、日本で初めてとなる個人向けのグリーン電力証書「えねぱそ」の販売を始めました。実は、メイド・イン・アースでも2012年の2月より直営オンラインショップで「えねぱそ」の取り扱いを始めました。

竹村 グリーン電力証書「えねぱそ」は一口500kWhから上限20口まで買えます。エナジーグリーンでは現在、太陽光発電所3カ所(長野県飯田市、東京都大田区、神奈川県座間市)、風力発電所(北海道石狩市)1カ所、バイオマス発電所(兵庫県丹波市) 1カ所、小水力発電所(埼玉県さいたま市) 1カ所、地熱発電所 (鹿児島県霧島市) 1カ所の計7カ所の発電所と契約しています。

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