電気を選べる時代がやってくる<後半>

個人向けグリーン電力証書の普及を進める エナジーグリーンの竹村英明副社長に聞く

東京・自由が丘でオーガニックコットンの専門ブランド「メイド・イン・アース」を運営する(株)チーム・オースリー(前田剛代表)は、「コットン(5・10)デー」を記念してコットンの種まきや多彩なゲストを招いた「アースコットン・デー スペシャルイベント」を開催しました。イベントの1つとして行われた、エナジーグリーンの竹村英明副社長と前田剛代表のトークセッション2回目をお届けします。

メイド・イン・アース代表 前田剛さん(左)と竹村英明さん

●識者に聞く「電気を選べる時代がやってくる<前半>はコチラ」

グリーン電力証書がもつ意義
 
竹村 日本の電力会社は送発電一体型と言われています。世界的に見ると電力会社が送電線をもっている例は少数です。日本では、送電線をもっている電力会社がルールを決めてしまうので、特定規模電気事業者 (PPS)に対して部分自由化がされているのに、フェアな競争ができません。PPSのシェアはまだ2%程度です。

日本には9つの電力会社がそれぞれ独立して存在しています。日本の送電線網はつながっているように見えますが、各電力会社の間には非常時用の連携線しかありません。使えるのは非常時だけですから、たとえば北海道電力は風力発電の最適地なのですが、北海道だけを前提にすると風力発電を送電線につなぐ余地がありません。電力会社は刻々と変動する風車の電気を受け入れられるのは送電線の要領の5%程度と考えているからです。東京と北海道の送電線が常時接続になれば、かりに5%を前提にしても、いまの10倍くらいの風車が送電線につなげるようになります。

一方、西日本を見ると原子力発電の比重が高い関西電力があります。関西電力と各電力会社の間には、合計して3,000万kWを超える送電網があります。送電ロスなどで実際に使えるのは1,000万kW程度ですが、関西電力はいざとなると他の会社からの電力融通で十分対応できるようになっています。

部分自由化をしているわが国では、個人の皆さんは電力会社から電気を買えませんが、 高圧受電をしている企業は直接PPSから電気を買えることになっています。ところが、その割合は2%にすぎません。制約があるからですが、その制約で自然エネルギーの電気も供給できなくなっています。

制約の1つは、「30分同時同量」と「託送料金」です。30分同時同量というのは事前に電力会社と約束した量と寸分たがわず供給しなければならないというルールです。±3%しか余裕は認められていません。これを守れないとkWh 当たり40円とか50円の罰金が課されます。利益が全部飛んでいくほどの罰金です。ですから、風車を使う場合も、風車の変動をカバーできる火力発電などをもっていないと風力はもてないことになります。PPSから100% の自然エネルギーを買うことは不可能です。

もう1つの託送料金というのは送電線を使う料金です。送電線をもっている電力会社に支払うお金です。電力会社が自由に決めています。日本のPPSは、欧米の託送料金の3倍ほど高い料金を払わされています。これでは自由競争になりません。

自然エネルギーにはそれ以外にも制約があります。自然エネルギーの発電所には「優先接続ルール」がありません。強制的に解列(送電線から切り離すこと)されます。コストを倍にする蓄電池の設置を求められることもあります。特に風力発電は岬の先端といった不便な場所につくられますから、送電線につなぐのも大変です。送電線まで連系線を引っ張る費用は発電所側の負担になります。ヨーロッパでは一般的に送電線側の負担になりますが、日本では自然エネルギーの発電所をつくる側の全面負担になっています。
 
課題が残る日本の電力会社の独占体制
 
竹村 日本の電力システムにメスを入れないと、この問題は解決しません。固定価格買い取り制度は実現し、買い取り価格も大体出てきました。かなり高い価格です。これでは価格が高すぎて乱開発も心配されます。それを「30分同時同量ルール」や「連系線コスト負担」、「優先接続なし」という送電線がらみの制約が邪魔をすることで、皮肉にも乱開発のペースが抑えられると思います。日本の電力システム改革のためにも、発送電分離と電力の全面自由化をやらないといけません。

なぜこのような話をしたかというと、まだ日本では個人の方が自然エネルギーの電気を買うことは難しいからです。送電線の制約がある限り、自然エネルギーの発電所そのものがつくれません。固定価格買い取り制度が始まっても、先ほどの優先接続には「(電気事業者が)自らの需要家に対して経済的に道理的な条件で電気を供給することができないおそれがある場合」は正当な接続拒否理由になると書かれています。連系線費用も発電所側もちと明記されています。日本で自然エネルギーの発電所をつくるのは、まだ一筋縄ではいかないようです。
 

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