電気を選べる時代がやってくる<後半>

個人向けグリーン電力証書の普及を進める エナジーグリーンの竹村英明副社長に聞く

一口500kWhから購入できる個人向けグリーン電力証書「えねぱそ」

前田 発電所ごとに価格も決められていましたね。

竹村 太陽光発電は6,300円、風力発電は6,300円、バイオマス発電は4,200円、小水力発電は5,250円、地熱発電は6,300円となっています。いずれも500kWhあたりの価格です。

ご注意のためにあえて言うと、電気料金は決して安くなりません。環境価値が普通の電気料金に上乗せされているわけですから……。

前田 東京電力の管内なら、東電にいままでどおりの電気料金を払った上で、「えねぱそ」の分を払うわけですから、当然ながら割高になりますね。

竹村 東電に払った上で私どもにも環境価値の分を払うわけですから……。また、東電との契約を切ることもできません。これは個人向け電力が自由化されていない現状では東電をとおして電気が流れてくる形なので変えられません。グリーン電力証書には賞味期限もあります。電気と同じように使えば消費されてなくなるので、ある期間ごとで、最大でも各年度ごとに契約し、買っていただかないといけません。

前田 グリーン電力証書は、いまの日本で個人が自分の意志で多額の設備投資をしなくてもグリーン電力を選べる数少ない方法ですが、震災後に「エネルギーシフト」という言葉を聞いても、「グリーン電力証書」という言葉はあまり耳にしませんでした。エナジーグリーンが個人向けグリーン電力証書「えねぱそ」を発売するようになった経緯を聞かせていただけますか。

竹村 これは明らかに東日本大震災が契機になっています。3.11以降、個人のお客様から「グリーン電力証書を買いたい」とのお問い合わせが急増しました。

エナジーグリーンはこれまで企業向けにグリーン電力証書を発売していました。1,000kWh単位からの販売で、大口の企業が需要家であることが多く、証書は額縁に入れてお届けしています。

エコロジーに関するイベントや音楽イベントなどで、1,000kWh単位で購入するお客様が多いのですが、大企業が数百万kWh単位でグリーン電力証書を購入し、CSR活動として報告する例もあります。最近では、東京都の環境確保条例でCO2排出量の総量削減義務が生じるようになったことなどもあり、直接CO2削減に充当させるという動きも見られるようになりました。

個人の方には、証書を印刷するとか額縁に入れるなどのよけいな手間を省き、グリーン電力証書の証明であるシリアルナンバーをインターネット上で確認できるような仕組みを開発し、購入単位を500kWhにして、個人でも購入できるようにしたのが、日本初の個人向けグリーン電力証書「えねぱそ」です。

前田 私たちは、オーガニックコットン製品を通じてたくさんのお客様と日々接しています。メイド・イン・アースのお客様は環境を守ることや、持続可能なエネルギーやライフスタイルに関心が高い方が多く、私たちがグリーン電力を使っていることを積極的に評価してくれます。これからもグリーン電力証書「えねぱそ」という仕組みを、より多くの人に知っていただきたいと思っています。

●識者に聞く「電気を選べる時代がやってくる<前半>はコチラ」

竹村英明さん
学生時代から公害反対運動や反原発活動に取り組む。環境NGOの活動を経て、2004年よりNPO法人環境エネルギー政策研究所に。長野県おひさま進歩エネルギーの事業立ち上げを担う。現在、エナジーグリーン株式会社の取締役副社長として、「グリーン電力証書」の普及をはじめ全国各地の地産地消エネルギーを活用する発電所づくりに取り組む。エネルギーシフトの第一人者の一人として知られる。

●エナジーグリーン株式会社
http://www.energygreen.co.jp/about_us/index.html

メイド・イン・アース/株式会社チーム・オースリーについて
http://www.made-in-earth.co.jp/
オーガニックコットン総合ブランド「メイド・イン・アース」を運営する株式会社チーム・オースリー(代表取締役・前田剛)では、2012年2月より、個人向けグリーン電力証書「えねぱそ」の取り扱いを開始いたしました。「えねぱそ」は、グリーン電力証書発行のパイオニア・エナジーグリーン㈱が発行する、日本初となる個人向けのグリーン電力証書で、インターネット上でシリアル番号を発行し、500kWh単位で購入ができます。


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