国内企業最前線

廃食油を東京の資源に

TOKYO油田(株式会社ユーズ) 染谷ゆみさんに聞く

回収ステーションを広げ、エネルギーの“地産地消”を進めよう

染谷:そこで生まれたのが、「回収ステーション」という独自のシステムです。企業やお店に「回収ステーション」になっていただき、地域の廃食油を集めていただくという仕組みです。企業やお店にとってはお客様とのコミュニケーション・ツールとなります。年間で2トン近くも集める工務店や新聞販売店があります。

地域のさまざまなイベントで一般家庭から廃食油の回収を進めている地域もあります。たとえば盆踊りなど地域のイベントの発電をVDFで行えば、そこでエネルギーの“地産地消”が実現します。

今年、4月に東京代々木公園で行われたアースデー東京のイベントでは、渋谷区の飲食店116店舗が廃食油の提供に協力し、「天ぷら油発電大作戦」を展開しました。これでイベント期間中の電力がディーゼル発電機で賄われました。また、目黒川のイルミネーションも地域の家庭から集めた油で点灯しました。

アースデー東京の会場でも活躍したVDF燃料を使用したディーゼル発電機

3.11以降、みなさまのエネルギーに対するまなざしが変化しています。イベントなどの期間限定使用だけではなく、屋外の外灯・街灯などにこうした“地産地消”のエネルギーを使うという試みも各地で始まっています。

私たち「TOKYO油田2017」プロジェクトでは、200カ所に増えた「回収ステーション」の拡大に全力を注いでいます。近い将来、この数を2倍、3倍に増して、都市部におけるエネルギーの“地産地消”の受け皿のひとつになりたいと考えています。(2012年8月取材)

染谷ゆみさんの著書『TOKYO油田ものがたり』

TOKYO油田(株式会社ユーズ)へのお問い合わせ
東日本橋オフィス 03-6661-1610(代)
http://tokyoyuden.jp/

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