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健康をはかる~タニタ社員食堂が出前健康セミナー

株式会社タニタの管理栄養士 堀越理恵子さん

タニタ社員食堂の500kcal満腹定食

タニタの社員食堂の前身は、1990年にベストウェイトセンターとして開設されました。最初はウェイトトレーニングのマシンなどを置き、週2回お医者様が来ていました。お医者様の指導に基づき、管理栄養士や健康運動指導室のライセンスをもった者が支援に当たっていたのです。調理実習も行えるヘルシーレストランを併設していました。

9年間で一定の成果を上げたということで閉鎖となりましたが、社員のために役立てることができないかとして1999年にタニタ社員食堂がオープンしました。

最初は、健康によいメニューだけでは、途中でお腹がすいて仕事にならないという声も多く聞かれ、「満足感いっぱいで、太りにくいカラダになる」ことを目指して、メニューの見直しをし、それが評判を呼びました。

その特徴は、1食あたり500〜600 kcalで塩分は3〜4g、野菜は150〜200 g というもの。野菜は一日に摂取したい量の半分または半分以上を目安としています。本社では1週間分の献立を事前に発信し、噛みごたえのある旬の食材を多く使うようにしています。これらは社員にとっても体感型の食育になりました。また、これにより適正体重を維持できる社員が増えてきました。

○ヘルシーレシピのポイント

1)バランスよく食べよう

まず、基本プレートでバランスよく食べること。なかでも野菜をたっぷり食べることが大切です。まず一日3食、主食(ごはん、パン、シリアルなどの炭水化物)と主菜(肉、魚などのタンパク質や脂質)と副食(野菜や果物などビタミンやミネラルを含んだもの)の3つのお皿を意識して食べます。タニタとしては一日3食を推奨しています。朝食を摂らない方があります。朝食を摂らないと夕食から昼食までに半日も空いてしまいます。お昼ご飯の吸収力がかえって高まり、血糖値なども急激に上がることが予想されます。

タニタの献立の特徴は、副菜の中に野菜がたっぷり入っていることです。それに汁物が付きます。野菜の量ですが、タニタでは一日に一人当たり350 gの野菜を目安に、色の濃い野菜を120 g + 色の薄い野菜230 gを目標にしています。いろいろな色の野菜を取り入れるともっと良いでしょう

2)はかって作る はかって食べる

適量を食べることが大切です。塩分を減らしたり、油を減らすことも含まれます。まず、材料は計ってください。作りすぎの防止や食べ過ぎの防止になります。この中でご飯の量を計ったことのある方はいますか。日ごろ使っているお茶碗で100 gがどれくらいか、150 gだとどれくらいか分かりますか。

タニタの丸の内の食堂では、お茶碗に二本線が引いてあり、下の線が100 g 、上の線が150 gです。 各テーブルには、秤が置いてありますから、それに載せるとどれくらいのご飯を盛ってかが分かります。またテーブルにはタイマーも置いてあり、食べるスピードが分かります。15分から20分でよく噛んでゆっくり食べてほしいと思っています。よく噛むとそれだけ満腹中枢に伝わるようになります。

皆さんは普段から秤を持ち歩くことはないと思います。そこで手秤を覚えてください。ご飯1食の適量は両手をすぼめ、軽くふわっと盛るくらい。主菜は片手の手のひらに乗り 厚さは1㎝程度、副菜の野菜などは両手をひろげてどっさりといったイメージです。副菜だけは一日分のイメージですが。

次は塩分を減らす方法です。塩分が強いとどうしても食が進んでしまいます。香辛料や香味野菜を積極的に使います。うま味や酸味も利用します。香ばしい焦げの風味を上手に使う方法もあります。材料の表面にだけ味を付けるのも良いでしょう。メインの料理だけに塩分を使い、副菜などは薄味にするという方法もあります。

調理の工夫で油をカットすることも大切です。ここに一切れ100 gの生鮭の切り身があるとして、フライ(275kcal)、ムニエル(182kcal)、照り焼き(120kcal)ではカロリーが全く違ってきます。素材選びでも油をカットできます。お魚のトロと赤身では違ってきます。どの部位を選ぶかによって調整できます。

次は調味料で油をカットする方法。野菜に掛けるドレッシングはマヨネーズ(70kcal)、ゴマドレッシング(53kcal)、和風ドレッシング(30kcal)、ノンオイルドレッシング(12kcal)でカロリーが違ってきます。

3)満腹感・満足感を大切に

ゆっくりよく噛むことが大切です。食材の工夫でもそれができます。繊維質が多くてすぐに噛み切れない、呑み込めない、ゴボウや緑黄色野菜、切干し大根といったものを活用します。弾力性があって噛み切りにくいものというのもあります。コンニャクなどですね。

噛めるうちはできるだけしっかり噛んでおくことが大切です。噛むことの工夫ですが、調理の工夫もあります。食材の切り方、加熱方法、組み合わせでも噛む効果を高めることができます。しっかり噛むことで消化が良くなります。満腹中枢をしっかり刺激することができます。腹八分目で押さえていくことが可能となります。

季節感のある旬の食材を摂り入れてください。旬の食材は栄養価も高いのです。行事食としてもぜひ利用してください。

それから汁物をプラスすると満足感がアップします。汁物は低カロリーの割に重量感がありますし、血糖値をゆっくり上げていく効果もあります。

会場ではタニタの体組成計を使って希望者一人ひとりの計測も

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