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健康をはかる~タニタ社員食堂が出前健康セミナー
株式会社タニタの管理栄養士 堀越理恵子さん生活習慣病の予防が社会問題になっています。肥満、高血糖、高血圧といったメタボの要因にメニューの工夫をとおして取り組む株式会社タニタの社員食堂が大評判です。このほど調布市保険年金課とのタイアップで「タニタの社員食堂健康セミナー」が開催、貴重な経験を聞くことができました。
タニタが考える健康づくりのコツ
タニタは「健康をはかる」をテーマにした会社。最近は、社員食堂のメニューをまとめた本が評判になり、丸ノ内タニタ食堂のオープンでも知られるようになりました。家庭用の体脂肪計や体組成計を初めて発売した会社です。
人間の健康は、外観だけでは分からないところ多いのですが、「はかるとわかる」ことも多いのです。まず現状の把握のために“はかる”ことをお勧めします。その結果から、次の目的や目標を明確にしてほしいと思います。体組成計などで記録を付けているとそこから見えてくるものがあります。
先ほど希望者の皆様にタニタの体組成計で測定していただきました。そこにBMIの測定結果があると思います。
BMIは体重(kg)÷身長(m)÷身長(m) で導き出します。
BMIの結果が18.5未満だと痩せ、18.5〜25だと普通、25以上だと肥満と判定されます。つまりBMIというのは肥満や痩せをはかる指数です。
日本人の場合、22が一番生活習慣病のリスクが少ないとされ、標準体重とされています。
ただ、私どもとしては体重だけでなく、体の中にも注目してほしいと思っています。同じ体重60kgでも、筋肉の量が多い人と少ない人で体脂肪率の判定が異なってくるからです。筋肉があれば脂肪をどんどん燃やすことができます。工場でいえばいつでもフル稼働できる体制ですが、脂肪が多いと工場は動いてい半休業状態です。
はかり続けるとどういったタイミングで体重が増えるのか、減るのかが分かります。それが分かると、なにをすれば良いのか悪いのかも分かります。
○生活習慣を改善に
「はかる→わかる→きづく→かわる」のゴールデンサイクルを活用
家庭用の体組成計でも多くのことが分かります。以前は体重と体脂肪率がメインでしたが、いまは内臓脂肪レベル、筋肉量、推定骨量、基礎代謝量なども分かります。たとえば、筋肉量を増やしたいとか、基礎代謝量を高めていきたいなどの目的で健康づくりに役立ててほしいと思います。
次に歩数計でもかなりのことが分かります。健康日本21の取り組みでは、男性の目標値は一日9,200歩、女性は8,300歩となっています。この5年ほどは健康ブームといわれながら、横ばいかやや減少の傾向にあります。日頃の活動量をもっとアップしていく必要があります。
タニタの社員は全員歩数計を付け、社員同士で競いあったりもしています。この会場で歩いている方はどれくらいいますか。かなりいますね。最初の頃に比べて2,000程度歩数をアップするなどの目標をもつと効果もさらにアップするはずです。
まだ歩いていない方は10分からでも始めてください。その意識がとても大切です。1日の活動量を見ると、全体の70%が基礎代謝量です。男性の平均は1,200〜1,600kcal、女性の平均は1,000〜1,300kcalと言われています。日常活動の中で運動を増やせば活動量も増えてきます。身体活動量は大体20%。こちらも増やして充実させていくことが大切です。残りの10%は食事。食事を摂ったあと、温かくなることがあるはずです。これが熱代謝。1日3食をしっかり摂ることで代謝を促していくことも大切です。
毎日体重計にのる方はどれくらいいますか。めざすべき目標をなにか1つでも設定してほしいと思います。体重を落としたい、健康になりたいという目標があるとします。健康だとどんな良いことがあるでしょうか。
仕事に集中できます。いつまでも美しく生きることができます。家族も幸せになります。趣味を楽しめる時間も設けていけます。大切な家族の成長も見守っていけます。時間とお金の節約につながります。
○目標の設定はグ・タ・イ・テ・キ・ニ
目標を立てていただくポイントは、具体的(グタイテキニ)にということ。グは「具体的な」、タは「達成可能な」、イは「意欲を持って取り組める」、テは「定量化・数値化する」、キは「期日を決めて」、ニは「日課にする」ことです。
次に理想的な体重の落とし方について。1か月にどのくらいの体重を落とすのが理想的だと考えますか。正解は1〜2kgです。落とすべきは体脂肪の部分です。体脂肪1kgというのはどれくらいでしょうか。エネルギー量でいうと7,200 kcalです。
これは平均男性なら3日分、女性なら4日分の食事に相当します。7,200 kcal÷30日だと240 kcalです。一日当たりこれだけを余分に摂らなければ良いわけです。240 kcalというのはどらやき1個分、ショートケーキなら小さいもの1個分です。こうしたものを毎日の食生活の中でコントロールできれば健康な体になれます。
運動で240 kcalを消費するとなると、毎日91分、約1時間半も歩く必要があります。いまの生活から毎日1時間半歩く時間をつくることはなかなか難しいかもしれません。食事と運動の両輪で行うのがベストだと思います。
目標を立てて、スタートをしたら継続が大切です。それには環境づくりも需要です。スーパーにお買い物に行く場合、空腹時は避けるようにしてください。お腹が空いているときは飴玉一つでも摂ってから行ってください。また、購入時に迷われたら商品のカロリー表示をよくご覧ください。特売日だとついつい作りすぎてしまうことがあります。可能なものはできるだけ冷凍保存してください。ジュースやビールなどは飲む分だけ冷やすことも大切です。冷蔵庫の中にビールのストックがたくさんあるとついつい飲みすぎますから……。
盛り付けも大切です。大皿で提供すると洗い物は楽ですが、どれくらい食べているか分からなくなることがあります。一人分ずつ盛り付けてください。満腹なのに残り物が出るのが嫌で、無理やり食べるケースもあります。残り物は翌日の食事に回すとか、お弁当に回すなど、早く後始末してください。早めに歯磨きをするとさっぱりして、次の行動に移れるメリットがあります。
皆さんにはベストの体重があるはずです。毎日体重計に乗って記録を付けると、多少の前後も含めて、どれくらいのウェイトがベストなのかも次第に分かってきます。