「科学技術は環境(エコ)の基本」シリーズ

【第3回】科学技術を学ぼう①

~公式テキストから~「地球環境の現状と科学技術」「環境問題とその側面」「地球環境問題への対策技術」

3.地球環境問題への対策技術

大熊: この章では、地球環境の現状を踏まえて、環境問題への対策技術について学びます。

化石燃料に代わる代替エネルギー技術

化石燃料にかわる代替エネルギーには原子力や風力、バイオマスなどがありますが、それぞれに事故や廃棄物の処理、エネルギー効率などの課題も多く含んでいて、今後の低い環境負荷や枯渇しないエネルギーを考えると太陽光エネルギーの可能性は非常に大きいと言えます。

太陽光エネルギーの技術開発スキームは図-5に示すとおりで、短期、中期、長期的な技術開発とそれらを普及させる規格化などの基盤整備が必要となってきます。

図-5 技術開発スキームの例(NEDO)

一定の効果をあげつつあるオゾン層の保全・保護対策

地球上の生命を紫外線から守るオゾン層の保全・保護対策も、人類にとって重要な課題です。
オゾン層破壊はフロンガスの利用が原因とされていますが、フロンガス生産中止後は南極で観測されるオゾンホールが一定の大きさで安定してきていて、生産中止と使用禁止が奏功したと考えられています。今後は代替品の開発や税制上の優遇措置などでオゾン層保護対策が国際的に促進されると期待されます。

国境を超える酸性雨対策には国際協力が不可欠

このほか、大気中に放出された硫黄酸化物や窒素酸化物から生成される汚染物質が原因とされる酸性雨は、国境を越えた大気汚染として国際的な問題となっています。特に、ヨーロッパや北米、中国や東南アジアなどで顕著に見られ、湖沼の酸化による魚類の斃死や森林、石造遺跡への被害が報告されています。

酸性雨は越境移動する汚染源であることから、対策を講じる際には国際協力が不可欠で、国連で「長距離越境大気汚染条約」が締結され、我が国も「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク」を提唱しました。また対策技術として、原因物質を除去するための重油脱硫技術(硫黄酸化物)や選択接触還元法(窒素酸化物)などが開発され、大気汚染防止技術の一層の普及・活用をしていく必要があります。

夢を具現化するのが科学技術

地球環境問題は経済や貧困などが複雑に絡み合った問題といえますが、大気や海などを世界中の人々が共有するグローバルコモンズの考え方に立って、人類全体が加害者であり被害者とならないよう、宇宙船地球号を操縦していくことが重要と言えます。

近年、我が国においては製造業が苦戦し、高齢化社会を反映した介護技術が進歩してきていますが、忘れてならないことは科学技術が夢を具現化できる技術であるということです。科学技術政策研究所の調査(H23.12)でも科学技術の進歩は地球環境問題に悪影響を及ぼすと懸念する反面、解決できるのも科学技術であるという結果があります。私達はこれからも、夢のある科学技術の発展に期待したいと思います。(2012年9月)

●「科学技術は環境(エコ)の基本」シリーズ

【はじめに】時代が必要とする科学技術エコリーダーとは?
【第1回】東日本大震災と科学技術 ~科学の目で今を選択することが、未来を変える~
【第2回】ニュースの中の環境問題と科学技術~何かしなければの想いを実践につなげる~
【第3回】科学技術を学ぼう①「地球環境の現状と科学技術」「環境問題とその側面」「地球環境問題への対策技術」
【第4回】科学技術を学ぼう②「生活と科学技術」「エネルギー開発と対策技術」「地球規模の環境問題と対策技術」
【第5回】科学技術を学ぼう③「IT技術の仕組みと活用」「自然災害から国土をまもる環境保全対策」
【第6回】科学技術を学ぼう④「環境リスクとリスクマネジメント」「技術者のモラル」「環境と経済」
【第7回】科学技術を学ぼう⑤「国際化」「人材育成人材活用を急ごう」「社会環境への気配り」
【第8回】行動力とリ-ダ-シップが社会を変える

●科学技術エコリーダー養成講座について

●エコリーダー公式テキスト「<科学技術>エコリーダーになろう」

既に16万人を超えるeco検定合格者(エコピープル)を対象に、スキルアップ事業「科学技術エコリーダー養成講座」を定期的に開催しています。職場や地域で環境分野のリーダー育成を目的とするもので、2日間の講習修了者には東京商工会議所および(社)日本技術士会「持続可能な社会推進センター」からの認定証が発行されます。

●科学技術エコリーダー養成講座:大阪会場
日時:2013年3月2日(土)、3日(日)
時間:AM10:00~PM4:00(2日間共通)
https://www.eco-people.jp/skillup/kouzaseminar/7875

●上記以外の今後のスケジュールについては下記にお問い合わせください。
[問い合わせ先] エコピープル支援協議会 事務局(エコリーダー担当)
Tel. 03-3556-6405 Fax. 03-5226-3322
E-mail: ecoleader-uketsuke@ep-support.jp

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