国内企業最前線

エナジーグリーン株式会社の取組み電気を選べない、電力会社も選べない。それっておかしくない⁉

グリーン電力証書「えねぱそ」発売1周年トークショーから

自治体トップや企業経営者と連携を

竹村:原発依存からの脱却ということで動きも起こしていますね。

吉原:全国70の自治体トップを集め、脱原発市長会議を開催しました。市民の命を守るのは市長の役目です。また、「エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク」という組織に参加し、賛同する数百の企業経営者とともに原発を止める方策を検討しています。

竹村:吉原さんはエネルギーについても相当詳しいと聞いたのですが。

吉原:自然エネルギーだけでなく、産業が出す排熱などから電気をつくる方法もあります。また、多くの企業が自家発電設備を持っています。ガス・コジェネシステムはきわめて有望です。

温度差発電というのもあります。温泉や温水の排熱を利用して発電をする方法です。ガスヒートポンプなら電気を使うよりもはるかに効率的な空調ができます。ガスヒートポンプは日本が発明した世界に誇るべき技術です。すごい勢いで生産が伸びています。

心ある経営者は新しい提案や挑戦を始めています。関西ではピーク時に比べ24%もの電気が余っています。大飯原発を再稼働しなくてもやっていけるのです。

竹村:守るだけでなく、こちらも攻めないといけませんね。

吉原:シンクタンク城南総合研究所をつくりました。2012年11月1日から「電気は余っている、原発は必要ない」というキャンペーンをやっています。私たちのお客様にもPRを強めているところです。

選択肢を広げれば、社会は変えられる

鎌仲:私は震災のずいぶん前に吉原さんの城南信金で口座をつくりました。地方から上京して以来ずっとある大手銀行の口座でしたが、その銀行がクラスター爆弾や原発に出資していることが分かったからです。日本人は自分たちが預けたお金がどのように使われているのか、あまりにも無頓着すぎます。

竹村:それが城南信金における口座開設のきっかけだったのですね。

鎌仲:銀行を見直すことも新しい行動の1つだと思います。『ミツバチの羽音と地球の回転』では、スウェーデンの男性が「環境にいい電気を買えばいいんだよ」と語ります。日本ではそれができないと言うと、「できないことはないだろう」と。「まさか1つの電力会社からでしか電気を買えないわけじゃないよね」と言います。スウェーデンは13年か14年ほど前に制度が変わりました。

竹村:日本ではこうした情報がずっとブロックされてきましたから…。

電気の小売りができるようにしよう

吉原:電気の小売りが改革のポイントかもしれません。小売りが自由になると、電気も選択できるようになります。原発でつくった電気にノーと言えるのです。

竹村:そうですね。

吉原:それができると価格も下がる可能性があります。すでに太陽光や風力も技術革新で下がっています。海外ではシェールガス革命でエネルギー価格も安くなっています。バイオマスも技術革新が進んでいます。総合すると原発よりも安いということが明確になります。

竹村:あるPPSさんとの話ですが、個人の家庭だけは電気を売りたくないと。面倒臭いからということでした。ところが「えねぱそ」はそこで事業をし、個人の組織化を始めています。エナジーグリーンの仕組みを発展させれば、個人に電気を売るPPSになれるかもしれません。

吉原:世田谷の区長さんと電話で話したのですが、消費者協同組合のような形で電気の小売りができないかと語っていました。電力会社は家庭用の電気を高くして儲けています。なぜ家庭用が高くて産業用が安いのか、これ以上産業用を高くしたら、産業界は自分で電気をつくっちゃうからです。個人に小売りできるという突破口ができたら、原発はいよいよ要らいないということが分かります。

アメリカの大手電力会社は、原発の建設を全部キャンセルしました。その理由は危険だからというのではなく、採算が取れないからという理由でした。シェールガスの発見で、アメリカでは130年分ものエネルギーが確保できるようになりました。原発に誰も興味を示さなくなったというのが真相です。

賢い電気の使い方を

鎌仲:デマンドレスポンス(需要応答)というのがありますね。電気の価格は日本では固定価格ですが、海外では変動のものもあります。需要があると電気も高くなるが、需要が少ないと電気が安くなる仕組みです。

竹村:価格が高いと人々は省エネを進めます。

鎌仲:東京電力の偉い方と話をしたときに、あと300年ほどで日本の人口は2/3ほどになるから電力消費も減り続けるのではないかと質問すると、「ありとあらゆるものを電化することで電力消費は増える」と言っていました。

アメリカでは1971年のスリーマイル島の原発事故以来、新しい原発は1基もつくられていません。原発55基分に相当する電力を省エネしたということでした。

吉原:先進国の一世帯当たりの電力消費は日本が世界最低です。CO2を出している国は1位が中国、2位がアメリカです。日本の省エネ技術は凄いのです。地球環境を考えれば、日本が率先して節電技術を世界に広めなければいけません。

鎌仲:オール電化は時代遅れということですね。

吉原:省エネ技術を世界に広めることで、電気の消費は減るし、日本の経済の活性化につながります。

竹村:「えねぱそ」も賢い消費者の力になれればと考えています。

●エナジーグリーン株式会社

http://www.energygreen.co.jp/about_us/index.html

※同社は4月12日(金)13時50分~16時00分(開場13:30~)に四谷区民センター 9階大ホールで「電力自由化と自然エネルギー新電力の可能性」と題する <エナジーグリーンセミナー>を開催する予定。
○参考サイト
https://www.sugarsync.com/pf/D6513343_7780746_95776929
○えねぱそ(Energy Green Personal)サイト
http://www.ene-paso.net/index.php

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