国内企業最前線

エナジーグリーン株式会社の取組み電気を選べない、電力会社も選べない。それっておかしくない⁉

グリーン電力証書「えねぱそ」発売1周年トークショーから

日本初となる個人向けグリーン電力証書「えねぱそ(Energy Green Personal)」をエナジーグリーン㈱が販売して約1年。このほど記念イベントが東京都内で開催された。映画監督の鎌仲ひとみさん、城南信用金庫理事長の吉原毅さん、エナジーグリーン副社長の竹村英明さんのトークに耳を傾けよう。

●「個人向けグリーン電力証書の普及を進める エナジーグリーンの竹村英明副社長に聞く」はコチラ

右から城南信用金庫理事長の吉原毅さん、映画監督の鎌仲ひとみさん、エナジーグリーン副社長の竹村英明さん

はじめに~エナジーグリーン㈱ 副社長 竹村英明さんの問題提起

I. 自然エネルギーへのシフトはなぜ必要か

竹村:「えねぱそ」交流会にお集まりいただきありがとうございます。福島第一原発の事故で原子力発電という仕組みは人間ではコントロールできないものであることが明らかになりました。一方、震災後に再稼働した化石燃料発電所もCO2を排出し続けています。

エナジーグリーン副社長の竹村英明さん

この解決策は、放射能を出さない、CO2を出さないエネルギーを使っていくしかありません。それが自然エネルギーです。

また、私たちは電気の使い方についても変えなければなりません。ドイツではGDPが伸びてもエネルギー消費は減っています。日本はGDPが伸びていないのにエネルギー消費は増えています。家庭においても省エネが重要になっています。

自然エネルギーの可能性

竹村:環境省のシミュレーションによれば風力発電のポテンシャルだけで、日本が必要とする電力の4倍分を賄うことができるそうです。わが国には風力以外に、太陽、水、地熱、バイオマスなど自然エネルギーが豊富に存在します。それがほとんど活用されていないのです。

風力発電で1/4、太陽光発電で1/4を賄おうとすると、風車は62,500本で37兆5千億円、太陽光発電は2.5億kWで75兆円の費用が掛かります。これには製鉄、鉄の加工、炭素繊維、発電機、輸送や土木も関係します。100兆円以上の国内需要です。本気でやれば日本の景気も回復すると思います。

政府もやらない、電力会社もやらない、私たちがやる

竹村:自然エネルギーの活用を進めるには以下のような5つの課題を克服する必要があります。

1つめは、供給を電力会社に頼っていては難しいということ。電力会社は巨大な発電所でないと巨大な需要に応えられないと考えています。従来型の原発とか、石炭火力とか、天然ガス火力でしか電気は供給できないと思っています。

2つめは、自然エネルギーの設備をつくりやすくすること。自然エネルギーの固定買取制度に加え、送電線の新しいルールづくりがなんとしても必要です。発電と送電の分離は最低条件です。

3つめは、自然エネルギーの電気を買いやすくすること。電力供給つまり小売りの全面自由化とともに、どのような電気を選ぶかの選択肢を消費者に与えなければなりません。

4つめは「環境価値」の流通を先行させること。自然エネルギーを使いたい人がこんなにいるということを社会に示さないといけません。電気は流通させられなくても、「環境価値」だけはすぐにも流通させられるのです。

5つめは、自然エネルギーの電気を売買できる社会の仕組みをつくること。ある程度の規模(たとえば10万人)にれば、自然エネルギーのPPS(新電力会社または特定規模電気事業者の略)による発電所開発が本格化します。

エナジーグリーン(株)は、「環境価値」を先行させるグリーン電力証書「えねぱそ」の販売をとおして、自然エネルギーのPPSも視野に入れつつ、自然エネルギーの拡大に貢献できる会社を目指しています。

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