国内企業最前線

あなたが一足の靴を買うたびに、貧しい国の子供たちに、TOMSの新しい靴が贈られる

“One for One”で社会的事業を進める株式会社シンフォニー

米国で優良企業賞を受賞

Q3 ブレイク・マイコフスキーさんはヒラリー・クリントン国務長官(当時)から優良企業賞を受賞していますね。

矢澤:2009年、ブレイクは“Secretary of State‘s 2009 Award of Corporation Excellence (ACE)”<アメリカ国務長官2009優良企業賞>を受賞しました。

この賞は1999年にアメリカ国務省によって制定されたもので、世界規模で社会責任・革新、そして民主主義的価値観に貢献した企業に贈られます。

また、クリントン グローバル イニシアティブ大学の総会で、クリントン前大統領は聴衆に対し『私がこれまで出会ってきた中で最も興味深い企業家の一人』としてブレイクを紹介しました。

ピープル誌は“Heroes Among Us”(私たちの中のヒーロー)という欄でブレイクを特集しました。またタイムマガジンの“How to Fix Capitalism”(資本主義をどう回復させるか)という記事の中でもTOMS が特集で取り上げられました。

「アメリカ国務長官2009優良企業賞」の授賞式に参列したブレイク・マイコスキーさん

チャリティーや社会貢献は特別なことではない

Q4 日本でも社会的企業の役割が注目を集めています。矢澤さんがTOMSと関わるきっかけはどのようなものだったのですか。

矢澤:私自身はサーフボードやスノーボードなどいわゆるアクションスポーツのグッズ販売を手掛け、TOMSを知るまでは社会的企業についての知識はほとんどありませんでした。たまたまアメリカでTOMSを知る機会があり、日本でも“One for One”のコンセプトを根付かせたいと、ブレイクと接触したのがTOMSと関わるようになったきっかけです。

TOMSの取り扱いを始めたときから感じていることですが、チャリティーや社会貢献に対するイメージは日本と欧米では大きく異なっています。

欧米だと日曜日などに近くの教会や集会所などに要らなくなったものを持ち寄るチャリティバザールが頻繁に行われています。一人ひとりが地域社会の中でお役に立てることを率先して行うという社会風土がしっかり根付いているのです。

かつては日本でも小さな地域のコミュニティーで助け合いが行われてきましたが、都市化とともにそうした風潮は希薄になっています。東日本大震災の発生で、日本でもコミュニティーを見直す動きが生まれていますが、広く社会に目を向ける、さらには世界に目を向けるというところまではなかなかいきません。

日本という国に浸透し、根付かせていく

Q5 日本におけるTOMSの取り組みを含め、TOMSがこれから力を入れようとしている課題やテーマ、それに向けた従業員の皆さんの思いをお聞かせください。

矢澤:チャリティーとか社会貢献となると日本人はどうしても構えすぎる帰来があります。それが必要だと分かっていてもどこか斜めに見てしまいがちです。

しかし、欧米では靴を買われるお客さまだけでなく、TOMSで働くスタッフも“One for One”をすごく自然なこととして受け入れています。特にTOMSで働くスタッフは、オフィスでもプライベートでも自分は社会貢献をしているというような気負いは全くありません。ごく普通に仕事を楽しんでもっと良いポストについて良い給料を得たいと思っています。

ただ、一つ違うのはTOMSが“One for One”カンパニーであるということ。1足の靴を売って1足の靴を発展途上国の子供たちに贈らなくなったらそれはTOMSではないということです。

靴は同じ子供たちに毎年送り続けなければ、子供たちの足はすぐ大きくなり、また裸足に戻ってしまいます。一度靴を履いた子が裸足に戻ってしまえば前よりもっと辛い思いをすることでしょう。

ということは、TOMSは最低でも前年と同じ数の売上にプラスαが必要だということです。よくよく考えるとこれは非常に高いハードルです。TOMSで働く人たちはこれが非常に困難であることはわかっていながら、何とか続けていけるようにと努力しています。その意味でも、スタッフ一人ひとりのモチベーションは非常に高いと言えるかもしれません。

ただし、TOMSは靴の開発、品質、デザインに手を抜きません。“One for One” だから買ってくださいと強制することもありません。購買者の方がTOMSの靴を気にいってくれることこそ、事業を継続していける条件だとわかっているからです。

「TOMS STORE TOKYO」店舗外観(2階)と代表的な商品が並ぶ店内

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