企業とNGO/NPO

NPOを支える明日のリーダーたちよ 学び、はばたけ!

アメリカン・エキスプレス・リーダーシップ・アカデミー2013

Part 2: インタビュー2

一人称で話せる人間を育てる

公益社団法人日本フィランソロピー協会
理事長 高橋陽子

日本フィランソロピー協会の高橋陽子理事長

Q “フィランソロピー”をどのように説明されていますか。

高橋: 分かりやすくするために「社会貢献」と説明しています。ただ、外部の方の中には「企業の社会貢献」をフィランソロピーと勘違いされている方も大勢います。フィランソロピーの基本は個人であろうかと思っています。

「情けは人のためならず」や「お互い様」「足るを知る」など、古くから日本にも同じような考えがありました。私自身は、フィランソロピーの活動を通じて「社会の課題を解決する」「新しい社会の価値をつくっていく」ことが役割だと考えています。

Q これまでの主な取り組みや活動についてお聞かせください。

高橋: 日本フィランソロピー協会の目的には、「民主主義の健全育成」が掲げられています。国民一人ひとりが、社会の一員としての自覚を持ち、社会のために責任を果たす、足りないところはお互いに補いながら助け合う、のがフィランソロピーです。つまり、民主主義の原点なのです。

現在は、「寄付文化の醸成」「企業のCSR推進」の2つを目標に掲げ、企業が後押しする個人の寄付文化の社会的な定着をうながすため「フィランソロピーバンク」という仕組みを活用して、寄付のきっかけづくりをしています。また、「まちかどのフィランソロピスト賞」「青少年フィランソロピスト賞」などを通じて、社会の課題解決のために寄付する人々を顕彰しています。

企業向けには、企業とともにNPOを支援してきたほか、社員の人材育成やワークライフバランスの推進なども進めてきました。また、社会の課題解決のために企業の資源を活用して尽力する企業を顕彰する「企業フィランソロピー大賞」も行っており、昨年度で10年目を数えました。

日本は、「一人ひとりが自分たちのできることは自分でやり、お互いの足らないところは補い、助け合う」社会をつくらなければなりません。そうした活動の受け皿となるNPOが育ってほしいとずっと考えてきました。

Q 「リーダーシップ・アカデミー」に関わるきっかけは……。

高橋: アメックスさんからのご相談がきっかけでした。エディさんからお話をうかがい、それなら米倉先生に相談しようと決めました。米倉先生からはミシガン大学のリーダーシップ養成講座の話を聞いていました。企業のエグゼクティブ向けの講座ですが、日本も本気でリーダーを育てる必要があります。

リーダーシップは一言でいえば、自らのめざすことを発信し、人を巻き込み、影響を与えながら実現する、そして最後は責任を取るということでしょう。座学で頭でっかちの人間を育てることではありません。一人称で話せる人間を育てるということです。だから、このアカデミーでは『ビッグイシュー』を売るというワークショップも含み、現場を実感することを大切にしています。

Q 参加者にはなにを期待していますか。

高橋: NPOの皆さんは自分がやっていることに一生懸命だし、真面目です。しかし、行政や企業とともに、NPOが社会を担う第三のセクターとしての役割を担うには、社会全体を相対化したり、俯瞰できなければいけません。

ジャンルの異なる人を理解し、自分のやっていることがどのような意味を持つのか、位置を占めているのか、が分からないといけません。自分の立ち位置が理解できないと、独りよがりや自己満足で終わってしまいます。

アメックスさんは、サービスを基本にした企業です。サービスには厳しい目を持っています。NPOの皆さんの中には社会的に意義のある事をやっているからサービスの心はニの次という方も少なくありません。でも、相手に理解・共感され、共に働いてこそ変革が可能になります。サービスの精神は、より良い社会づくりのための意志と行動の根幹をなすものだと思います。

「リーダーシップ・アカデミー」にはさまざまなNPOの皆さんが集まってきます。高い志を持ち続けながら、一人ひとりの役割を担い、横のネットワークを拡げてしっかり連携してほしいと思います。

●アメリカン・エキスプレス・インターナショナル (社会貢献サイト)
http://www.americanexpress.com/japan/legal/company/philanthropy.shtml

●公益社団法人日本フィランソロピー協会
http://www.philanthropy.or.jp/

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