企業とNGO/NPO
NPOを支える明日のリーダーたちよ 学び、はばたけ!
アメリカン・エキスプレス・リーダーシップ・アカデミー20134万6千団体にものぼる日本のNPO(非営利活動団体)。行政と企業のはざまで社会問題解決の担い手として急浮上しつつある。公益社団法人日本フィランソロピー協会とアメリカン・エキスプレス財団は、このほど次世代リーダー育成を目的にNPOの若手職員を対象とした2泊3日の宿泊型研修会を開催した。熱気あふれる研修の模様を取材し、関係者にその意義を聞いた。
Part 1: 当日の研修会の模様から
仮想のNPOで発想を飛ばせ!
2泊3日の研修プログラムはいよいよ大詰めを迎えていた。参加者24人が6人1グループで4つの仮想NPOをつくって、「社会問題を解決するための協働企画」を競うプレゼンテーションが始まった。
Aチームは「ニートと高齢者双方の孤独を和らげる取り組み」、Bチームは「高知と香川を参考にNPOの求人情報と企業の人材募集をマッチングさせる取り組み」、Cチームは「母子家庭の状況を改善する高齢者による見守りプロジェクト」、Dチームは「発達障害のある人への就労支援」がテーマ。それぞれのチームに15分の時間が与えられる。
前日の夜から準備し、この日も朝早くから半日をかけて練った4組のプレゼンテーションだが、お世辞にもうまくない。
5名の審査員たちからは手厳しい声が相次いだ。
「何がやりたいのか伝わらない」
「テーマが絞り切れていない」
「だれに一番届けたいのか」
「時間がないからと言い訳しないで」
ある講師からは、高校でも同じことをやったが、気迫、創造性、着眼点、取材力、論理力とも高校生たちの方がはるかにすごかったよ、との講評も。
このプログラムの総合監修を務める米倉誠一郎(一橋大学イノベーション研究センター教授)さんからも「なんだこの出来は、キミたちは3日間何を学んできたんだ⁉」と厳しい叱声が飛んだ。
厳しく鍛えなければリーダーシップは身に付かない
「アメリカン・エキスプレス・リーダーシップ・アカデミー」は今年で5回目。停滞する日本社会に新しいエネルギーを注入するNPOの役割をさらに活性化するには、若手のリーダー育成が欠かせないとして始まった。
冒頭にも書いたように日本のNPOの数は東日本大震災を経て、4万6千団体を数える。だが、その中身となると、情熱や志はあっても社会経験に乏しく、また一人よがりの活動をしているNPOも少なくないといわれる。
「日本を変えるのはイノベーション」が持論の米倉教授は、NPOの活動にもイノベーションが必要だと語る。行動力だけでなく、構想力やビジネススキルなどさまざまな能力を持った優位な人材の育成が必要なのだ。
米倉教授監修のプログラムは「リーダーシップ基礎講座」「モチベーション・マネジメント」「ダイバーシティ」「営業スキル」「ロジカル・シンキング」などの座学と道端留学と命名された『ビッグイシュー』の新宿での販売サポート、そして最終日に行われる仮想のNPOによるグループプレゼンテーションと盛りだくさん。
5回目の今年は、首都圏から8団体、北海道・東北から6団体、中部・北陸から3団体、関西・四国から5団体、九州・沖縄から2団体の計24人が参加した。
研修会終了後、参加者からは「ビジネスについても学ぶことができ、意識に変革を起こすことができた」「同じ志を持つ仲間とのネットワークづくりができた」「(プレゼーション終了後) “悔しい”と泣いてしまった。次のバネにしたい」「半年後のフォローアップに向けて研修成果を持続したい」などの声が寄せられた。「アメリカン・エキスプレス・リーダーシップ・アカデミー」への参加者これまでに110人を数え、今もさまざまな活動の枠を超えた交流が続いている。