CSRフラッシュ

クールな未来を選ぶのは私たち

エコプロダクツ2015の会場から

パリでCOP21の熱い議論が続く中、エコプロダクツ2015が東京ビッグサイトで開催された。2015年12月10日(木)~12日(土)3日間の入場者数は16万9,118人(主催者発表)と昨年を大きく上回った。約700社・団体にのぼる出展ブースの中から、“地球の未来”に役立つ技術を探ってみよう。

自社製品のリサイクルパーツを全面に(富士ゼロックスのブースから)

自社製品のリサイクルパーツを全面に
(富士ゼロックスのブースから)

未来を先取りする最先端の製品・サービス

今年の会場でひときわ注目を集めたのが燃料電池自動車、水素ステーション、燃料電池フォークリフトなど、水素社会を見据えた展示物。クリーンエネルギーとして期待される水素の活用が動き始めていると実感できた。

パナソニックが出展した純水素燃料電池は自宅で水素をつくり発電するというもの。数年後の実用を目指している。昨年、トヨタが発表した「MIRAI」はカットボディで登場。本田技研工業も新型燃料電池車を発表した。

水素ディスペンサー(JX日鉱日石エネルギー)、水素エネルギー社会の早期実現に向けたインフラ整備(岩谷産業)、水素漏れ検知センサ(日本特殊陶業)、水素エネルギー・水素サプライチェーン解説(新エネルギー・産業技術総合開発機構)、水素社会の実現に向けた東京都の取り組み(東京都環境局)、高温ガス炉から水素供給した水素タウン・ジオラマ(日本原子力研究開発機構)など目が離せない。

エコプロダクツ2015-2

車体をカットして展示されたトヨタの「MIRAI」

車体をカットして展示されたトヨタの「MIRAI」

ホンダも負けてはいない

ホンダも負けてはいない

パナソニックの純水素燃料電池システム

パナソニックの純水素燃料電池システム


CO2の回収・貯留などの課題を解決する提案の数々

今年の出展物を見ると、環境負荷低減に配慮した地道な製品・サービス(エコプロダクツ)が数多く出展されている。温暖化防止に役立つ課題解決型の提案も随所で見られた。

エネルギー系の民間企業が中心となって設立された日本CCS調査は、地球温暖化防止の切り札として期待される二酸化炭素の回収・貯留(CCS)技術の仕組みと、北海道苫小牧市で行われる日本初の大規模実証試験の概要を紹介した。

石油天然ガス・金属鉱物資源機構と日本地熱協会は、ベースロード電源として注目を集める地熱発電を分かりやすく紹介した。地熱は世界第3位と資源量が豊富なうえ、季節や天候、昼夜を問わず安定して発電できる。

また産総研福島再生可能エネルギー研究所は、太陽光、水素、蓄電池などに関する最新の技術やデバイスを出展した。

隣国の中国など環境に課題を抱える国々からの見学者も多く、わが国の環境技術・サービスの優位性を垣間見た気がした。

エコプロダクツ2015-6


今年注目されたエコプロダクツ

初日に会場で発表された「エコプロダクツ大賞2015」から最新のプロダクツを追ってみた。

農林水産大臣賞

●閉鎖性海域の環境改善に寄与する水・底質浄化資材:マリンストーン

JFEスチール株式会社/国立大学法人広島大学

エコプロダクツ2015-7

評価:栄養塩や有機物を多く含むヘドロが堆積する閉鎖海域の水質改善に役立つ。鉄鋼生産で生成する鉄鋼スラグを粒度調整して製造する。トータルコストもより安価に。


経済産業大臣賞

●セダンタイプの新型燃料電池自動車(FCV)「MIRAI」

トヨタ自動車株式会社

エコプロダクツ2015-8
評価:燃料電池技術とハイブリッド技術が融合して、まさに未来にふさわしいクルマに。普及を目指して特許の実施権を無償で提供したことも評価された。

国土交通大臣賞

●パフォーマンスマネージメントシステム「SIMS」

日本郵船株式会社/ 株式会社MTI

評価:航海中の船舶の位置・速力・針路・エンジン回転数・燃費などの情報を陸側システムと共有することで、最適の運行オペレーションを実現する。CO2の削減にも有効だ。

環境大臣賞

●太陽光発電システムと蓄電池のリース&レンタルサービス

タマホーム株式会社/ ONEエネルギー株式会社

評価:初期コストが高く普及が遅れる住宅への太陽光発電システムと蓄電池などの畜エネ設備。リース&レンタルすることで継続的な経済メリットを提供する。


エコプロダクツ大賞推進協議会会長賞(優秀賞) 9件

●折り鶴を再生して作られた繊維

                                  

オーミケンシ株式会社/株式会社日誠産業

エコプロダクツ2015-9

評価:広島市の平和記念公園に贈られる年間1,000万羽以上の折り鶴を再生パルプや繊維用の原料として活用する取り組み。環境教育と平和教育のシナジーが期待される。

●フルSiC適用VVVFインバータ装置搭載1000形リニューアル車の投入

小田急電鉄株式会社/三菱電機株式会社

エコプロダクツ2015-10

三菱電機のブースで

三菱電機のブースで

評価:2014年から採用した小田急電鉄の新型車両に導入。主回路システムで約40%の大幅な消費電力の削減。乗客の安全や乗り心地、環境にも配慮した。

●ICTを利用した営農支援システム「クボタスマートアグリシステム(KSAS)」

株式会社クボタ

評価: ICT(情報通信技術)と農業機械を組みあわせたクラウドサービスで、農業経営を見える化し、効率的な生産をサポートする営農・サービス支援システム。

●虹松プロジェクト

国土防災技術株式会社/株式会社フルボ酸総合研究所

評価:「虹の松原」の松葉かき作業で出る年間1,000トンもの松葉からフルボ酸をつくる技術。フルボ酸を配合したシャンプーを販売し、有償ボランティアの確保に役立てる。

●いきものコンシェルジュ

大成建設株式会社

評価:生物多様性に配慮した施設計画を行うためのツール。iPadで計画地に飛来する生き物を定量的に容易に評価できるようにした。

●グリーンパネル

株式会社ダイクレ

エコプロダクツ2015-12

評価:危険斜面の災害を防止する「法面補強工事」に使用されるバイオマス樹脂を採用したFRP製の受圧板。大型機械を必要とせず、施工効率の向上と工期の短縮に寄与する。

●非常用マグネシウム空気電池「MgBOX(マグボックス)」

古河電池株式会社/凸版印刷株式会社

エコプロダクツ2015-13

評価: 水と海水を投入するだけで電力供給ができる非常用の使い捨てマグネシウム空気電池。防災備蓄用品として活用が期待される。

●リコーリライタブルレーザシステム

株式会社リコー

エコプロダクツ2015-14

評価:非接触で表示内容を繰り返し書換えできる世界初のラベリングシステム。流通・小売り・製造業で用いられる通い箱などの配送ラベルを箱に貼ったまま書き替えできる。

●日射遮蔽スライディング「オープンルーバー」

YKK AP株式会社

エコプロダクツ2015-15

評価:窓などの住宅開口部に差し込む日射熱を遮熱し、冷暖房効率を高める。すだれやブラインドなどと比較して室内が薄暗くならず、昼間の照明器具使用を抑える効果も。


審査委員長特別賞(奨励賞)3件

●アーバン・シードバンク

株式会社環境ビジネスエージェンシー

エコプロダクツ2015-16

評価: 荒廃した里山にも「シードバンク」と呼ばれる地域性在来食物の種が存在する。ここから育てた苗で、都市の緑化を進め、里山に資金と人を提供する試み。

●直結増圧給水ユニット「MC5型」

テラル株式会社

評価: ポンプとモーターの高効率化を追求した次世代ポンプユニット。消費電力を約30%削減し、低騒音と低振動を実現した。

●プロセブン バイオマスマット®

プロセブン株式会社

エコプロダクツ2015-17

評価:敷くだけで転倒が防げる耐震対策商品。ひまし油を原料とし、石油由来の従来製品に比べて約1.4倍の耐用年数を実現した。

■詳しい情報は

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