企業とNGO/NPO

人や地球にやさしい商品・サービスで、より良い社会を

㈳ソーシャルプロダクツ普及推進協会の活動から

消費にも、社会的な背景のしっかりした、人や地球にやさしいモノ・サービスを、という動きが加速している。「オーガニックライフスタイルEXPO」の会場で、一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会の菅野冴花さんに、社会に有意義なモノ・サービスの最新事情について聞いてみた。

 「オーガニックライフスタイルEXPO」で見たオーガニックコットンTシャツ

「オーガニックライフスタイルEXPO」で見たオーガニックコットンTシャツ

ソーシャルプロダクツで持続可能な社会に近づこう

Q この会場(東京国際フォーラム)は、「オーガニックライフスタイルEXPO」のイベント会場ですが、先ほどソーシャルプロダクツ普及推進協会学生部会の方々も発表をされていました……。

菅野: 「オーガニックライフスタイルEXPO」は、オーガニックをはじめとする、人や環境に配慮した「衣・食・住」にかかわる製品・作り手を全国から集め、つながり、交流するイベントです。今年は2回目ですが、全国から多くの方が参加しており、日本でも社会性のある商品が本格的に広がろうとしているのを実感できます。

ソーシャルプロダクツ2

ソーシャルプロダクツは、まさに社会性のある商品であり、オーガニックはソーシャルプロダクツを象徴するカテゴリの1つです。他にはフェアトレードやエコ、伝統関連なども含まれます。

今回は、このイベントにおいて、私どもの学生部が「ネクストオーガニックリーダーズミーティング」という場をプロデュースさせていただきました。こちらは、持続可能な社会の実現につながるオーガニックの普及について、未来を担う若者たちがさまざまな角度から考え、提言をするというものです。

提言者の1人である中央大学の日高克平ゼミの学生は、若者にオーガニックを広める方法として、「パーティ」の活用について提案しました。多くの若者が利用している写真共有アプリInstagramの活用なども念頭にした、若者ならではの提案です。協会学生部の代表も話していましたが『持続可能な社会の実現』『オーガニックライフスタイルの推進』には、やはり、このような若い世代が、若者ならではの視点を大切にしてアクションを起こしていくことが重要だと思います。

講評を受ける中央大学日高克平ゼミの学生さん(左)

講評を受ける中央大学日高克平ゼミの学生さん(左)


Q オーガニックのイベントとソーシャルプロダクツ普及推進協会の関係はよく分かりました。ところで皆さんの協会そのものはどのような経緯で生まれたものでしょうか。

菅野: 今日、私たちが直面しているさまざまな社会的課題は、少数の限られた人たちや団体だけで解決できるものではなく、多くの生活者の参加と関与が必要です。

生活者が無理なく、気軽に行えるのが消費であり、その消費において社会性のあるもの(=ソーシャルプロダクツ)を選んでもらうべく、関連する情報の発信に取り組む一般社団法人として、東日本大震災の翌年にあたる2012年に設立されました。

一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会の菅野冴花さん

一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会
の菅野冴花さん

幸いにも、社会が成熟する中で、人々の生活や消費に対する欲求、ライフスタイルは変化し、「誰かのために、何かのために、少しでも役に立ちたい」という人々は、震災以後も継続して増加しています。また、そうした意識は、確実に社会の新しい潮流となりつつあります。


Q 主な事業についてもお聞かせください。

菅野: 一番力を入れているのは、「ソーシャルプロダクツ・アワード」の事業ですね。

「ソーシャルプロダクツ・アワード」は、商品性および社会性を兼ね備えた優れた商品・サービスに光をあて、表彰するもので、その存在を広く世の中に知らしめることを目的としています。

このほか、ソーシャルプロダクツに関するセミナーの開催や自治体、大学等での講演、また、企業・団体からのソーシャルプロダクツの開発やマーケティングに関するご相談にもお応えしています。


Q 「ソーシャルプロダクツ・アワード(表彰)」は、2017年までに5回を数えています。応募する商品にも変化が見られますか。

菅野: 「ソーシャルプロダクツ・アワード(表彰)」は2013年から始まり、2017年で5回目となりました。次第にアワードの社会的な認知も広がり、応募数は年々増える傾向にあります。

応募商品の変化として、最近では、ソーシャルな取り組みが複合的に展開されている商品が多くなってきている印象があります。例えば、オーガニックの素材を使用するだけでなく、さらに、その商品をつくる過程で障がい者の方も作業に参画しているものなどです。

また、昔は社会性があるからということで、デザインや品質の面で十分なレベルにないものも多かったのですが、最近ではデザイン性の優れたものが増えています。さらには、WEBサービスなど、今までにないジャンルの商品の応募も増えてきています。エントリー商品の拡大を通じて、ソーシャルの領域が広がってきているのを実感しています。

2017年の受賞商品は以下のとおりです。

国内部門は国内の社会的課題の解決に資するものが対象で、大賞には越前ブランドプロダクツ・コンソーシアムの「伝統打刃物」が選ばれました。

こちらは、越前の伝統片刃包丁の職人はもちろん、越前箪笥の職人も商品づくりに参加するなど、地域の伝統産業を守る熟練した職人の技と斬新なデザインの融合で生まれたこれまでにない商品です。地域が一丸となって取り組み、伝統産業の発展と後継者育成につながるビジネスの好循環をつくりだしているということで高く評価されました。

越前ブランドプロダクツ・コンソーシアムの「伝統打刃物」

越前ブランドプロダクツ・コンソーシアムの「伝統打刃物」

主に海外やグローバルの社会課題の解決に資する国際部門の大賞には、フェアトレードカンパニー社の「フェアトレード・チョコレート」が選ばれました。こちらは、日本国内で1997年より発売を開始した「フェアトレード・チョコレートの先駆け」ともいえる商品です。フェアトレード&オーガニックという点はもちろんのことながら、カカオの苗木の寄付の取り組みといった複合的な取り組みも展開していること、趣向をこらした可愛らしいパッケージで、実際に多くの生活者が手にとっていることも高く評価されました。

ソーシャルプロダクツ6

賞は、大賞のほかにも優秀賞、生活者審査賞、特別賞、奨励賞、ソーシャルプロダクツ賞などがあります。詳しくは下のWEBをご覧ください。

http://www.apsp.or.jp/spa2017/


Q そろそろ2018年の応募が始まるそうですね。応募資格や賞の基準のようなものがありましたら教えてください。

菅野: エントリーの受付は9月から始まります。締め切りは11月末で、12月から来年1月にかけて審査をし、2月初めにはソーシャルプロダクツ賞の発表を行います。

大賞や特別賞は、ソーシャルプロダクツ賞の中から、さらに審査にかけられて選ばれ、2018年3月に発表します。また、3月には東京・OVE南青山にて展示会も行われます。

応募は、社会性と商品性を兼ね備えた一般生活者向けの商品なら可能となっております。具体的な応募資格や審査基準等はWEBで募集要項をご確認いただくか、私たちの協会まで直接お問い合わせをいただければと思います。もちろん、(社)ソーシャルプロダクツ普及推進協会のホームページからも応募要項が見れます。

今年もたくさんの素敵なソーシャルプロダクツの応募を楽しみにしています。

ソーシャルプロダクツ7

(社)ソーシャルプロダクツ普及推進協会 。

〒104-0061
東京都中央区銀座5丁目12-5白鶴ビル3F
Tel:03-3248-5755               
http://www.apsp.or.jp/

(社)ソーシャルプロダクツ普及推進協会の専務理事・中間大維著、会長・江口泰広監修の書籍です。参考にしてください。

協会専務理事・中間大維著、会長・江口泰広監修の書籍。参考にしてください。

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