国内企業最前線

小児病棟の子どもたちに“勇気と安心”を

JCBの従業員が行う社会貢献ワークショップ

日本発唯一の国際カードブランドであるJCB。創立50周年を迎えた2011年から全従業員を対象とした社会貢献活動「JCB社会貢献プログラム」を実施している。3つの国内拠点をTV会議システムでつないで行われたキワニスドール製作のワークショップの模様を紹介しよう。[2018年6月18日(月)公開]

キワニスドールの製作に集まったJCBの皆さん

キワニスドールの製作に集まったJCBの皆さん


1. JCBの社会貢献活動について

広報部CSR室長 佐藤貴之さんに聞く

Q. JCBの社会貢献活動の特長は?

当社が創立50周年を迎えた2011年から、年間を通じて従業員が勤務時間中にボランティア活動に参加できる「JCB社会貢献プログラム」を実施しています。「全拠点の全従業員を対象に」「通年にわたって」「勤務時間中に参加できる」点が特長です。これまでにのべ1万5千人弱の従業員が、NPOやNGOの事務所などに行ってボランティア活動をしたり、社内ワークショップに参加したり、同じく社内で行われる救命講習会の受講や献血への協力など、広く社会への貢献活動に参加してきました。今日の「病気の子どもたちのためのキワニスドール製作」もその活動の1つです。なお、これら社会貢献活動のプログラムづくりでは、公益社団法人日本フィランソロピー協会にご協力いただいています。

広報部CSR室長  佐藤貴之さんに

広報部CSR室長 佐藤貴之さん

Q.従業員参加型の社会貢献活動「JCB社会貢献プログラム」はどのようなねらいで始まったものですか?

社会課題やその課題の解決に取り組む各種団体の存在を知り、理解を深めることは、従業員が「社会の視点」を身に付けるのに役立つと考えました。また、会社勤めで得たスキルが思いのほか社会の役に立つことに気づいてもらえるなど、参加者の幸福感・達成感などにもつながると思っています。

Q.本業と社会貢献活動の有機的なつながりは進んでいますか?

「JCB社会貢献プログラム」が社内や従業員の社会貢献意識の醸成につながり、その後の本業を通じたCSRの取組みの素地となっていると思います。例えば、事業部門の従業員の発案により、一定期間のJCBカードのご利用1件につき1円を当社が東日本大震災などの復興支援に寄付する「『5』のつく日。JCBで復興支援」を2011年より開始しましたが、本年まで8年連続して実施され、7年目までの累計で約3億8千万円を寄付してきました。こうした動きは、その後の当社の海外展開国への寄付活動にもつながってきています。

Q.従業員のモチベーションづくりに役立つ仕組みがあるそうですね。

2013年より、社会貢献活動に参加するたびに参加者へピンバッジを進呈しています。JCBエンブレムの青・赤・緑をモチーフにして、毎年色を変えているのですが、異なる3色のバッジを獲得すると銀色のバッジを進呈。6色の異なるバッジを獲得した際は金色ではなく、国産の間伐材でつくった木製のバッジを進呈します。これを楽しみに社会貢献へ参加する従業員も多く、銀色バッジプレゼントを公表した時は、従業員から、いつもらえるのか、などの結構な反響がありました。

社会貢献活動の参加者へ進呈するピンバッジ

社会貢献活動の参加者へ進呈するピンバッジ


2.キワニスドールの製作ワークショップ体験 

身長40cm、体重50gの人形に込められた願い

キワニスドールをご存じでしょうか。白い木綿生地にポリエステル綿を詰めただけの小さな人形だが、これを贈られた小児病棟に入院中の子どもたちにとって、自からを慰め、ときには勇気を与えてくれる存在になるといいます。

キワニスドール

キワニスドール

お医者様の中には、人形に内臓の絵を描いて、治療の説明に使ったりもしています。ときには人形に注射をしたり、手術の説明にも使われます。

「人形は真っさらでなにもないからそれが良いのです。子どもたちがそれぞれ工夫をするから個性も出ます」とお医者様たちもキワニスドールの存在を認めています。小さな患者さんは大好きな人の顔を描いていつも側に置き、退院のときは忘れずに持ち帰るそうです。

「キワニスドールづくり」の輪を広げる

キワニスドールの発祥は1988年のメルボルン。一人の看護師が考案し、オーストラリアから北欧を経て、2001年11月に日本に導入されました。その推進役となったのが国際キワニス日本地区の皆さん。キワニスクラブは世界三大奉仕団体の1つで、日本では35クラブ、約2000人の会員が集い、これまでに約8万6千体のキワニスドールを病院に寄贈しています。

参加者にキワニスドール製作の意義を語る国際キワニス日本地区次期ガバナーの吉田浩二さん

参加者にキワニスドール製作の意義を語る
国際キワニス日本地区次期ガバナーの吉田浩二さん

さて、前置きが長くなりましたが、この日は、JCBの東京・青山本社から21名、高田馬場オフィスから8名、三鷹カードセンターから7名が参加しました。通常、キワニスドールは、①人形の型どり、②ミシン掛け、③裁断、④表返しとアイロン掛け、⑤綿詰め、⑥くけ縫いの6つの工程からなりますが、この日はキワニスクラブの他のボランティアが人形の基本形までつくったものに、「綿詰め」と「くけ縫い」を行いました。

JCB6

ところがこの綿詰めが意外と難しいのです。ポイントは、一体当たり50 gの綿を5等分し、5等分した綿をさらに40から50に細分化します。綿を細かくするのは、人形の立体感をやわらかく表現するために欠かせため。この細かくした綿を、「人形の足」「手の先端」「頭」の順にわりばしで押して、“しっかり”と“ふんわり”を上手にコントロールするのです。

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なかでも難しいのが「首」と「足の付けね」。綿が少なめだとブラブラして、頼りない人形に見えてしまいます。

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そして、最後の作業が綿詰めした開口部の「くけ縫い」。縫い糸が表から見えないよう、針を布地の内側に通して布地の下面で玉止めします。

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実作業は14時から15時の約一時間でしたが、初めての参加者で悪戦苦闘した方も……。ただし、三鷹チームは、何度目かの参加者が多かったのか、制限時間の30分前には終了していました。TV会議の仕組みでその理由を聞くと、慣れた方が初めての方にアドバイスしながら作業したとか。なかなかのチームワークです。

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この日完成したキワニスドール37体は、段ボール箱に箱詰めされ、後日都内の病院に贈られました。

JCB社会貢献プログラムについて


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