CSRフラッシュ

“復興”のバトンはつながっていくのか

東日本大震災から8年目の取組み

東日本大震災から8年。真新しい建物や巨大な防波堤の映像が流れる一方、孤独死や子どもたちの教育格差が被災地で拡大しているとの報道に出合います。8年目の3月11日、被災した子どもたちに提供する「スタディクーポン」に取り組むチャンス・フォー・チルドレンの募金活動と、東京多摩地区で復興五輪の拠点となる武蔵野の森総合スポーツプラザの2か所を取材しました。[2019年4月8日更新]

宮城県仙台市の三越定禅寺通り館付近で

宮城県仙台市の三越定禅寺通り館付近で

チャンス・フォー・チルドレンが東京・宮城・兵庫で
震災被災児童への教育支援を呼びかけて街頭募金

東日本大震災の被災児童支援を行う公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(東京都江東区、代表者:今井悠介さん・奥野慧さん)は、2019 年 3 月 11 日(月)に東京・新宿と宮城・仙台で街頭募金活動を実施しました。

東京のJR新宿駅西口小田急百貨店付近では、渋谷区で貧困家庭の子どもたちのサポートを行っている大学生らが、「被災地には教育を受けられない子どもたちがいます。教育支援にご協力ください」と呼びかけ、道行く人々が応えていました。

東京新宿のJR 新宿駅西口小田急百貨店付近で

東京新宿のJR 新宿駅西口小田急百貨店付近で

当日は、宮城県仙台市の藤崎ファーストタワー館付近でも被災経験を持つ大学生らが支援を呼びかけたほか、一足早い9 日に兵庫県阪急西宮北口駅付近でも募金活動が行われました。

東日本大震災から8 年が経過し、被災地への関心は薄れつつあるとされています。被災家庭 では親を亡くしたり、二重ローンに苦しんだりする子どもたちもいるため、今なお厳しい経済環境に置かれています。

チャンス・フォー・チルドレンには、2019年度も教育支援の応募が殺到し、800 名以上の子どもたちが定員から漏れています。被災児童への継続的な教育支援の必要性を訴え、今回の募金活動となりました。

なお、今回の寄付金は、チャンス・フォー・チルドレンが被災児童に対して提供する「スタ ディクーポン」の原資として使用される予定です。

兵庫県西宮市の阪急西宮北口駅付近で

兵庫県西宮市の阪急西宮北口駅付近で

公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン 東京事務局


500日を切った東京オリンピック
復興五輪の開催場所を見学

復興五輪と銘打った東京オリンピックの開催日まで500日を切りました。東京オリンピックはコンパクトな施設整備をモットーにしていますが、これまでのオリンピック開催地では、オリンピック終了後に負の遺産となる施設も数多くみられます。

間近に迫った東京五輪の施設を見るため、3月11日に多摩地区の拠点とされる「武蔵野の森総合スポーツプラザ」に行きました。

武蔵野の森総合スポーツプラザの外観

武蔵野の森総合スポーツプラザの外観


 場所は1964年東京オリンピックでアベベ選手や円谷選手が走ったマラソン折り返し地点付近


場所は1964年東京オリンピックでアベベ選手や円谷選手が走ったマラソン折り返し地点付近


道路には1964年の東京オリンピックで使われた標識が

道路には1964年の東京オリンピックで使われた標識が

武蔵野の森総合スポーツプラザは、京王線「飛田給駅」を下車して徒歩約5分の場所にあります。隣は「味の素スタジアム」と呼ばれる東京スタジアムです。

2017年の11月に開業した武蔵野の森総合スポーツプラザではバドミントン競技をはじめ、近代五種競技〔1人の選手が1日の間に、フェンシング、水泳、馬術、レーザーラン(射撃、ラン)という全く異質な5種類の競技に挑戦する、過酷な複合競技〕、パラリンピックの車いすバスケットボールが行われる予定です。

  バドミントン競技なら18試合同時に開催できるメインアリーナ


バドミントン競技なら18試合同時に開催できるメインアリーナ


選手が利用するロッカー

選手が利用するロッカー


さまざまなスポーツに利用できるサブアリーナ

さまざまなスポーツに利用できるサブアリーナ

今回の見学では、バドミントンなどの競技会場となる最大1万人を収容できるメインアリーナのほか、バスケットボールやバレーボールに利用でき、稼働畳を敷設すると武道場にも変わるサブアリーナ―も見学しました。サブアリーナ―には25メートルプール2面がとれる屋内プールもあり、可動式で50メートルプールにもなります。プールの撮影は禁止とのことです。

大会後の運営を考慮して、メインアリーナは、ライブのコンサート会場やフィギュアスケート会場、テニスの国際試合の会場としてもすでに利用されています。ちなみにフィギュアスケートでは特殊なシートを貼って氷をつくるそうです。

また、サブアリーナ―は、トレーニングルームのほか、温浴室もあり、ジムとプールを合わせて3時間の利用ならだれでも500円で利用できるそうです。すでに近隣大学の団体利用や年間7000円の個人利用客も増えています。

武蔵野の森総合スポーツプラザの総工費は351億円。この金額を高いとみるか、安いとみるかは意見が分かれるところかもしれません。ただ、大型施設のため、施設の維持管理にもかなりの負担が生じるため、隣接してつくられた陸上のサブグランドは、「味の素スタジアム西競技場」と命名され、「味の素スタジアム」とパックで年間2億円でネーミングライツ(命名権)契約されています。

施設を見学すると、屋上には太陽光発電パネルや太陽熱温水器なども設置され、使用電力や温水プールに利用されているとのことでした。

屋上の太陽光発電パネル。向こうに見えるのは味の素スタジアム

屋上の太陽光発電パネル。向こうに見えるのは味の素スタジアム

なお隣接する、「味の素スタジアム」では、今年に迫ったラグビーのワールドカップ、東京オリンピックのサッカーや7人制ラグビー、そして近代五種競技の馬術も予定されています。

また、周辺に広がる武蔵野の森公園は、オリンピック期間中は自転車競技(ロードレース)のスタート地点として仮設施設が整備される予定です。


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