CSRフラッシュ
点から面へ。フェアトレードを日本にも根づかそう。
フェアトレードミリオンアクションキャンペーン2022からフェアトレードってご存じですか。商品を購入するとき、気候変動、森林伐採、児童労働、貧困などにつながる産品ではなく、途上国の人々の暮らしの支援につながる産品を適正価格で購入するというもの。世界を変えるお買い物とも呼ばれています。認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパンでは、フェアトレード月間である5月の全国啓発キャンペーンに向け、このほどキックオフイベントを開催しました。(2022年5月8日公開)
日本のフェアトレード市場はドイツの18分の1
1人当たり購入額はスイスの108分の1
フェアトレードとは、公正・適正な価格で取引することですが、途上国の小さな生産者は、交渉力がなく、安く買いたたかれています。適正な価格で取引し、根本的に生活を向上させるためには、一時的な支援ではなく、ビジネスの仕組みそのものを変える必要があります。
いま、児童労働は世界の子どもの10人に1人に及んでいます。SDGSでは2025年までに児童労働をゼロにするとしていますが、2020年はコロナ禍の影響もあって児童労働者数は逆に増えています。
気候変動の影響も深刻です。気候変動の影響でコーヒーのアラビカ種の栽培地は2050年には50%も減少する可能性があるとされています。
このような状況のなかで、なぜフェアトレードなのでしょうか。人権面・環境面など多様な課題が危機的な状況があるなかで、フェアトレードはSDGSの17の目標のすべての達成に貢献するからです。とりわけ「貧困削減」「気候変動」「ジェンダー平等」「労働環境」「持続可能な消費と生産」「気候変動への対策」「平和と司法へのアクセス」「パートナーシップ」など8つの目標と大きな関係があります。
アフリカのコートジボワールのカカオ農家では、フェアトレードで農家の収入が4年間で85%増加しました。フェアトレードは、コーヒー、カカオ、バナナ、スパイス、スポーツボール、コットンなど世界131か国で37,000点以上が流通し、1.3兆円超の市場規模を見せています。
ただ、日本は課題があります。ドイツのフェアトレード市場は2020年で2,374億円ですが、日本131億円、ドイツの18分の1の規模です。また、2020年の一人当たりの年間購入額だとスイスが11,267円なのに対し、日本104円にすぎません。スイスの108分の1。経済規模で見るとその貢献は限られたものとなっています。
別の資料では、児童労働を含む強制労働などに関わる商品の輸入額は470億ドルと、先進20か国で第2位という不名誉な地位にいます。
日本では変化の兆しもあります。若者世代のフェアトレードに対する関心は10代で78.4%、20代で57.8%となっています。大学生がフェアトレードのサークルを立ち上げる例もあります。また、企業でもSDGsや人権の注目が高まるにつれ、関心が急速に高まっています。
今回のフェアトレードミリオンアクションキャンペーン2022は、こうした動きを加速するための取組みです。これまでは個々の団体・企業で取り組んでいたものを、業界を越えて連携し、「点から面」にすることが狙いです。これまではフェアトレードの必要性でアプローチしましたが、今年は楽しさでもアビールします。
実は昨年は100万アクションだったものを今年は150万アクションにし、参加団体は86の企業・NGO・自治体から、今年は140の企業・NGO・自治体に増やし、各界の著名人にもアンバサダーとして協力いただいています。
<第1部>サステナブルな未来のためにできること
̶3名のゲストアンバサダーによるトークセッション̶
アンバサダーに決まったときのお気持ちを教えてください。
廣瀬:スポーツ業界でフェアトレードは正直遅れている印象がありますが、スポーツ業界でフェアトレードを広められたら嬉しいなと思います。
僕自身、フェアトレードについては初心者なので皆さんと一緒に学べたら嬉しいです。
スポーツはフェアトレードを多くの人に知ってもらうための入口、きっかけとしてとても良いのではと思います。例えば試合会場にフェアトレード商品があると子どもたちも使ってみようと思ってもらえると思うので、そういった関わりができると嬉しいです!
望月:アンバサダーのお話しをいただき、正直「私でよいのかな?」と思いましたが、フェアトレードも「こんな小さな買い物でよいのかな?」と思うときにアクションを起こすか起こさないか、起こすところから始めるということが重要だなと思い、受けさせていただきました。
堀:報道の現場にいるので、フェアトレードの課題に関わることは少なくありません。実際にリアルな様子を見ることで、フェアトレードとは要は一人ひとりが当たり前のように生きられる環境を整えることなんだということがやっと伝えられると思います。
役割としては一つひとつの現場を訪ね歩いて伝えることで貢献したいなと思っています。
キャンペーンアンバサダーになりどのようなアクションを起こしたいですか?
廣瀬:フェアトレードMyAction「学ぶツアー」
現場に行ってみて見ることで、より入ってくるもの体感できるものが違うと思う。現地に行って感じたものを広めていくということをしていきたい。また、生産者の方と話すことでお互いに学ぶことができるのではないかと思います。
望月:フェアトレードMyAction「(フェアトレード認証ラベルのイラスト)」
フェアトレードの商品を買う前に、まずは認証ラベルを知るということも大事だと思います。認証ラベルが付いた商品があるんだよ!ということを皆さんに知っていただくために、私のSNSなどでも見つけてもらうためのアクションをしたいと思います!
堀:フェアトレードMyAction「小さな主語で伝える」
主語が大きくなりすぎるとイメージになってしまい、アクションを取りづらい。具体的な国名、製品名、名前などが出てくると調べてみようか、買ってみようか、訪ねてみようかとなる。ぜひきっかけになるように小さな主語で伝えることを心がけていきたいと思います!
なお、4月28日(木)に行われた「フェアトレード ミリオンアクションキャンペーン2022」のキックオフイベントでは、第2部でフェアトレード認証商品を取り扱うイオントップバリュ株式会社 商品開発本部 商品マーケティング部 部長代行 増岡理恵さん、エスビー食品株式会社 広報・IR室長(兼サステナビリティ委員会事務局)中島康介さん、UCCホールディングス株式会社 執行役員 サステナビリティ担当 兼UCC上島珈琲株式会社 取締役 副社長の里見陵さんが登壇し、フェアトレードに関する取組みや、企業から見る消費者の傾向などについてお話ししました。
〔本件に関するお問い合わせ〕
特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン 北戸
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