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あなたの目でアジアの子どもたちの姿を見てきてください国境なき子どもたち(KnK)が「友情のレポーター」を募集

アジアの国々を訪問し、現地の子どもたちと触れあい、その姿を伝える「友情のレポーター」。昨年は4年ぶりに復活し、2人がバングラデシュに初訪問しました。4月29日、その2人が現地訪問の模様を報告しました。また、現在2024年度の「友情のレポーター」を募集しています。[2024年5月5日公開]

左から落合碧さん、松元夏和さん、報告会の進行役安田菜津紀さん

「友情のレポーター」の2人が
バングラデシュ取材の報告会

「友情のレポーター」の企画は、認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)が1995年に前身のプロジェクトで始めたもの。これまでに日本の子どもたち68名がアジア各地で取材し、それぞれの視点、言葉で日本の私たちに伝える活動を続けてきました。

4月29日、東京JICA地球ひろばで開かれたバングラデシュ取材の報告会では、昨年8月3日から約1週間にわたって現地を取材した松元夏和(まつもと・かなみ)さん(京都府/当時高校2年、17歳)と落合碧(おちあい・あおい)さん(東京都/当時小学6年、11歳)が報告してくれました。

なお、この報告会の進行役は、フォトジャーナリストとして活躍する安田菜津紀さんが行いました。彼女は2003年にカンボジアに派遣された「友情のレポーター」で、そのときの体験が現在の活動の原点になっていると語っています。


バングラデシュの首都ダッカに到着して

一番印象に残ったのは、クラクションの音。クラクションはずっと鳴りっぱなし。まるで大合唱だった。日本ではクラクションは、危険を知らせるために使うが、バングラデシュでは自分の存在を知らせるために使われていた。 (落合碧さんの報告から)

現地1日目:スラム地区ピアールバックで家庭訪問

スラム街には、沢山の人が住んでいた。私の行った場所は240室ある。このスラム街には、井戸が1つしかなく、シャワーやトイレも共同で使っている。

スラム街の家を訪問してインタビューをした。その家には7人が住んでいた。お家は約8畳の広さの一間だけだ。

一番印象に残ったのは、長女のビーティーがまだ19歳なのに、子どもを産んで育てていることだ。ビーティーの夢は子どもであるアラファットちゃんを育て上げることだという。 (落合碧さんの報告から)

現地2日目:「ほほえみドロップインセンター(DIC)」の子どもたちと遠足

国立博物館アーシャンモンジール(通称ピンクパレス)はピンクで、周りの建物が灰色に見えた。建物の中に入って少し待っていると、バングラデシュの国旗色のユニフォームをまとった子どもたちが、笑顔で手を振りながらやってきた。私を囲んだ子どもたちの目の輝きは、これまで見てきたどんなキラキラしたものよりもキラっキラで、衝撃を受けた。

よく海外に行くと、日本にいるよりも早く現地の言葉を習得できるというけれど、それは、相手の「伝えたい」に「応えたい」という気持ちが芽生えるから習得が早いんだと思った。実際に子どもたちは、すごく積極的に前のめりになって私に伝えようとしてくれて、それに応えられないのが、はがゆい感じで「ベンガル語が話せればどれほど良かっただろう」と思った。

半日子どもたちと過ごして、疲れ切ってホテルに戻った私。そのときふと思った。今日一緒に遊んで、同じように疲れている子どもたちは、今から仕事に行くんだ、と。(松元夏和さんの報告から)


現地3日目: DIC訪問、子どもたちと交流

私は、幼い頃から習っていた少林寺拳法を。碧ちゃんは、事前にたくさん練習したラジオ体操を。みんなは初めて見るものに驚きつつも、すごく喜んでくれた。

私たちの日本紹介が終わったら、バングラデシュの紹介をしてくれて、歌や踊りを披露してくれた。その後は、子どもたちとすごろくをして遊んだり、私と碧ちゃんのサイン会をしたり、女の子だけのダンス教室に参加させてもらったり、一緒にご飯を食べたりして、楽しい時間を過ごした。

ご飯を食べ終わったら、どこか遊んでいたときとは違う表情で仕事に向かう子がいて、「本当に1人で生活しているんだな」と思えた。(松元夏和さんの報告から)

DICはKnKが運営している施設だ。子どもが無料でご飯を食べたり休息したり教育を受けられる。施設の中を案内してもらった。中には約40個のロッカーがあった。子どもたちの私物を入れるロッカーだ。路上で生活していると、自分の稼いだお金や服を置ける場所がない。誰かに盗られるかもしれないと不安がつきまとう。

休息をとる部屋を見た。何も物がなく暗く静かな部屋だった。10人くらいが床で寝ていた。寝ている子に私が近づいても、全く動かないほど熟睡していた。子どもたちは、たとえ夜でも路上だから、安心して眠ることはできない。だから日中に安全なDICで眠っているんだと思う。

この日、落合碧さんは12歳の男の子アブドラくんと15歳の女の子シャティさんに取材した。アブドラくんが路上生活者になったのは「父が亡くなり兄と暮らしていたときに、兄から暴力を受けて家を出た」と語った。現在は港で水を売って生活している。1日の稼ぎは300〜400タカ。日本円でいうと、約390円〜520円だ。

シャティさんが路上生活者になったのは「母が亡くなり父が再婚し、継母からあまり良い扱いを受けていなかったため」と語った。水を売って生活している。1日の稼ぎは200〜300タカ。日本円でいうと、260円〜320円だ。「チョコレートを売るのが好き」と語ってくれた。(落合碧さんの報告から)


現地4日目:チャイルドクラブの若者とランチ、バッダ地区の工場を取材

町工場が軒を連ねるバッダ地区を取材した。ここではKnKが工場で働く子どもたちの労働環境の改善や職業訓練が2019年まで行われていた。

当時のプロジェクトに参加していたCommunity Watch Group (雇用主同士で地域を見守る活動や、問題点・改善点を話し合う活動)で工場のオーナーの方々と、そこで働く若者たちを取材した。


プロジェクトに参加したオーナーに「参加して変化したこと」を聞くと?

「参加するまでは、労働環境や、ルールについて考えたこともなかったが、それを学ぶことができた。(この変化は、彼らにとって大変重要だったと思う。)

プロジェクトに参加した子どもたちに聞くと、

「礼儀正しくなった。大人との接し方がわかった」と答えた。

改善してほしいところはありますかと聞くと、

「大体のことは、雇用主と解決できるようになったが、仕事をするときの制服が欲しい。仕事に行き帰りするときの交通費も出るといいな」との答えが返ってきた。(松元夏和さんの報告から)


現地5日目: 働く子どもたちを取材、現地スタッフのティプさん宅を訪問、現地NGOのプロジェクト視察

DIC唯一の女性スタッフ、ファルザナさん宅を訪問。ファルザナさんはドロップインセンターに11年前から勤めている。DICに来る前と来てからでは子どもたちに変化はあるかと聞くと、「自分の名前を書けなかった子が、書けるようになったり、自分の身の回り(衛生面)に気をつけるようになったり、将来について考えることができるようなったりと、多くの変化があります!」との答えが。

子どもたちに、どんな大人になってほしいか訪ねると「ちゃんとした仕事に就いて欲しいと願いますが、DICにはさまざまな子どもがいて、仕事をする上で必要な態度や礼儀を身に着けることがどうしても難しい子どももいて、なかなか簡単にはいかない」と。もしもお金があれば「自分で学校を開いてみたい」との答えが返ってきました。

実質1週間という短い期間のバングラデシュ訪問でしたが、これまで知らなかった厳しい世界を体験してきた2人は、帰国後ゆっくりその現実を自身の中で消化しているようでした。


2024年はカンボジア(予定)に訪問予定
2人の「友情のレポーター」をただいま募集中

2024 年は、カンボジアに訪問して、KnK が運営する自立支援施設「若者の家」で暮らす若者たちや近隣で生活する子どもたちと交流し、彼らが抱える問題、支援の現場などを取材する予定です。

2024 年8 月上旬出発の予定で10 日間程度を予定しています。詳細はレポーター選抜後に最終決定されますが、いずれの場合も派遣先は「安定した情勢にあり、困難なく現地に入れること」という条件を満たす地域に限定され、現地の情勢によっては出発直前でも行き先・日程の変更や延期もありうるとのこと。「国境なき子どもたち」のスタッフが全行程に同行します。取材旅行にかかる費用は主催者であるKnK が負担します(パスポート取得費は除く)。

参加者の審査は、KnK スタッフとともに、安田菜津紀さん、荻上チキさんも参加します。ぜひご応募ください!
募集期間:2024年4月11日(木)~5月15日(水)

お問い合わせ:認定NPO法人国境なき子どもたち 友情のレポーター係
〒161-0033 東京都新宿区下落合4-3-22 電話:03-6279-1126
E-mail:kodomo@knk.or.jp

URL:knk.or.jp


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