国内企業最前線

猛暑の移動「日傘シェアリング」で

鉄道事業者とイノベーション企業が 首都圏の移動課題解決で連携へ

連日の猛暑が続く中、移動や外出においても熱中症対策が欠かせぬものとなっています。東京都のスタートアップ支援施策「TIB CATAPULT」に参画するイノベーションクラスター「TRIP」と、傘のシェアリングサービス「アイカサ」を運営するスタートアップである株式会社Nature Innovation Groupは、鉄道事業者9社局と連携し、このほど日傘をシェアリングする協働プロジェクト『COOL MOVE TOKYO』をスタートしました。[2025年7月19日公開]

都内の主要駅で始まった「日傘シェアリング」(写真はJR有楽町駅中央口で)

鉄道事業者とスタートアップが連携し
国内初となる「日傘シェアリング」を実現へ

『COOL MOVE TOKYO』プロジェクトは、“気候変動に適応した先進都市”として世界に誇れる東京を目指す取り組みです。

東京都のスタートアップ支援施策「TIB CATAPULT※1」に参画するイノベーションクラスター「TRIP※2」と、傘のシェアリングサービス「アイカサ」を運営するスタートアップ企業であるNature Innovation Group(本社:東京都渋谷区、代表取締役:丸川照司、以下:NIG)が、鉄道事業者9社局※3と連携して7月10日にスタートしました。

ご存じの方もいると思われますが、『アイカサ』は、“雨の日を快適にハッピーに“と”使い捨て傘をゼロに“をミッションに2018年12月に傘の貸出サービスを開始した日本初の傘のシェアリングサービスです。

突発的な雨にもビニール傘をその都度購入せずに、駅や街中で丈夫でサステナブルな『アイカサ』を借り、雨が止めば最寄りの傘スポットに傘を返却することでエコに貢献しながら、手ぶらで便利に移動できるというもの。

現在、アプリ登録者数は75万人を超え、東京駅や新宿駅をはじめとした都内全域と関東、関西、愛知、岡山、福岡、佐賀など12都道府県で1,800カ所以上に傘を設置しています。

『COOL MOVE TOKYO』へは、3000社以上のビジネスパートナーにITサービスを提供するTIS株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:岡本 安史)と鉄道事業者13社局で構成されたイノベーションクラスター「TRIP」から首都圏を中心に事業を行う鉄道事業者9社局が参画し、取り組みを開始しています。

〔言葉の解説〕
※1 TIB CATAPULT: 東京都が主導する「グローバルイノベーションに挑戦するクラスター創成事業の通称。東京が強みとするビジネスや技術の領域に焦点をあて、事業会社などが協働してスタートアップを強力に支援するため、6つの「イノベーションクラスター」がスタートアップとの協働プロジェクトを進めています。

※2 TRIP: Tokyo Railway Innovation Partnershipの略で、日本屈指の安全・安定・効率的な交通網を築いてきた鉄道会社が立ち上げたスタートアップ支援プロジェクト。鉄道、交通、都市、生活などを網羅するプラットフォームを提供します。

※3 鉄道事業者9社局:小田急電鉄株式会社、京王電鉄株式会社、京浜急行電鉄株式会社、JR東日本スタートアップ株式会社、株式会社西武ホールディングス、東急株式会社、東京地下鉄株式会社、東武鉄道株式会社、東京都交通局。なお、TRIPには、この9社局以外にも西日本鉄道株式会社、相鉄ホールディングス株式会社、名古屋鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社が参加しています。


3,000本の傘で熱中症リスクを軽減へ
都内主要駅で始まった「日傘シェアリング」

『COOL MOVE TOKYO』の取り組みでは、晴雨兼用の折りたたみ傘『アイカサmini』を山手線全30駅のほか都内の主要駅約150か所に3,000本の傘を展開し、利用者の熱中症リスクの軽減を目指します。

7月10日のプロジェクト発表会には、会場となった「Tokyo Innovation Base(千代田区丸の内)」に東京都知事の小池百合子さんを筆頭にNIG代表の丸川照司さん、TIS㈱の水船伸介さん、各鉄道事業者の代表などが参集しました。

小池百合子都知事は「都は、“沸とう京”という言葉を夏のキーワードにして、命にかかわる熱中症などの対策を進めています。外出の際には都が公開している「東京暑さマップ」を参考にし、「日傘シェアリング」を利用してください」と述べました。

「日傘シェアリング」の利用にあたっては、『アイカサ』アプリの登録(https://www.i-kasa.com/)が必要となります。利用料金は24時間140円で、月額280円の使い放題プランもあります。アプリの登録があれば、いつでも簡単に傘が借りられ、返却場所は別のレンタル場所でも構いません。

鉄道会社を代表して東京都交通局局長の堀越弥栄子さん、東京メトロ代表取締役社長の小坂彰洋さん、JR東日本スタートアップ代表取締役社長の柴田裕さんからは、「TRIPと連携して、社会課題の解決につながる取り組みを強化したい」との決意が語られました。


<関連記事>
ACジャパンの活動とその役割
身近な“汚れ”から、地球のあしたを考える
こども食堂と地域社会をつなぐ『みんなの絵本ボックス』
TABLE FOR TWOの「おにぎりアクション 2019」
おにぎりを食べて、写真を投稿しよう
東京オリンピック・パラリンピックを持続可能な社会実現のレガシーに
WWFジャパンのパネルディスカッション「評価されるSDGsとは」から
市民の力を集めて風力発電に取り組む 北海道グリーンファンド鈴木亨さんの報告
震災と原発事故から8年いわき放射能市民測定室「たらちね」の取り組み
プラスチックゴミによる環境汚染対策~東京農工大学の高田秀重教授に聞く
ネパールの子どもたちを支援するSon of Light Japan~
CSRマガジン誌上フォトギャラリー~鉄ちゃんがアジアの鉄路で見たもの
あなたの誕生日に、誰かのために“寄付”をしませんか~日本フィランソロピー協会の新しいチャレンジ
日本語で互いの違いを理解する~第22回大使館員日本語スピーチコンテスト2019
修学旅行でSDGsを学び体験しようTABLE FOR TWO×日本旅行のチャレンジ

TOPへ戻る