アースデイ東京2011「アースデイトークステージ」からPart 1:未来の子どもに内部被ばくの影響を与えない

未来バンク事業組合 田中優

4月23~24日の両日、東京・代々木公園で「アースデイ東京2011」が開催された。 東日本大震災直後であり、福島第一原発の事故が進行中という状況もあって、参加者による反原発のデモ行進が行われるなど、お祭り気分を一掃する空気が漂っていた。24日に行われた田中優氏による講演を2回にわたりお届けする。

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放射線量の話~0.05ミリシーベルトの意味
放射線量が話題になっています。何に気をつけたらよいか、何をしていったらよいのかをまず考えてみます。

新聞などで各地の放射線量が報告されています。0.05ミリシーベルトという数字があります。この数字は胸のレントゲン写真と同じです。テレビのキャスターが、「胸のX線写真と同じですか。私もX線写真を撮ったことがあるのでたいしたことないですね」と話しています。

0.05ミリシーベルトというのは、1時間そこに留まっているだけで浴びる放射能の量です。そこに1年間いるとしたら、1年間は8,760時間ですから、その方は8,760×0.05シーベルトを浴びることになります。438ミリシーベルトです。胸のX線写真と比較するのであれば、1日24時間365日レントゲンを撮っていることになります。そうしないと数値が合わないわけです。これは比較の対象になりません。ご趣味はと聞かれて「胸のX線写真です」と答える人はいません。

未来バンク事業組合 田中優氏

内部被爆と外部被爆~はるかに怖いのはどちら?

放射能というのは、放射線を出す能力のことです。主体は放射線という電磁波の一種です。光とか電波と同じで、電磁波ですから通り過ぎていくだけなのです。それが被害の本体ですが、それを外から浴びた場合と、身体の内側に放射能を取り入れた場合、影響は全然違います。このスピーカーのあたりが放射能だったとして、そこから四方八方に放射線が飛んでいるわけですね、その中で私に当たるのはこのわずかな角度のものだけです。

ところが放射能そのものを身体の内側に入れたら、100%当たります。だから内部被爆と外部被爆を比較すると桁違いなのです。外部被爆ばかりの話にして、こんなの全然平気だみたいなことばかり言われています。

今回の放射線で一番出ているのはヨウ素です。ヨウ素131。ヨウ素は喉(のど)の甲状腺に溜まります。甲状腺は成長ホルモンを出すところなので、成長を異常にします。甲状腺がんを起すことがあります。次はセシウム。セシウムの方は、筋肉とか子宮に溜まります。内側から放射線に撃たれるという形で被害が出ることになります。

きのう私は佐賀県にいて、飛行機で飛んできました。飛行機に乗ると宇宙線という放射線を浴びます。被爆量が増えるのです。正直にいうと私自身はあまり気にしていません。なんで気にしないかというと、外部被爆に比べ内部被爆がはるかに危険だと知っているからです。

この放射能の被害がどういう形で出るかということも問題です。いま政府は、ただちに影響が出るレベルではないと言います。ただちに出なくとも被害は出るわけです。ただちに影響が出るレベルというのはどれくらいかというと、放射線で焼け死ぬレベルですね。原爆が投下されたレベルということです。

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