識者に聞く

環境保全団体WWFジャパン中間報告──①脱炭素社会、“決め手”は省エネルギー!(前半)

株式会社システム技術研究所所長 槌屋治紀さんに聞く

WWFインターナショナルのシナリオ

今日参考にしたWWFインターナショナルのレポートを見ると、まず2000年から2020年までの「グローバル部門別(輸送、建物、産業、その他)最終エネルギー需要」は、2020年までは伸びるが2050年には現在よりも下回る状況です。大きな人口を持つ開発途上国が急速にエネルギー消費を増やす一方で、先進国のエネルギー消費は非常に小さなものになります。

次は「最終エネルギーの種別構成」ですが、下から電力、高温の熱、低温の熱、自動車の燃料、船の燃料、航空機の燃料、産業用の燃料などですが、こちらも2020年をピークに減少します。2050年は2010年をやや下回る状況です。

ただ、この項目の中で1個だけ増えているものがあります。それは電力です。再生可能エネルギーなども含めて電力の部分はエネルギー効率がよいということで将来にわたって増えるという判断になっています。

次は「グローバルな電力供給の構成」図です。電力そのものは2000年から2050年の間に3倍ほどになっていて、下から風力(陸上風力、海上風力)、波力、太陽光となっていますが、2050年には風力と太陽光で70%になっています。その上は水力、地熱、バイオマスがあり、さらにその上には石炭、天然ガス、石油、原子力が入っています。いずれにしろ、2050年までに自然再生エネルギーでまかなうことが前提になっているため、このような構成になっています。

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