国内企業最前線

熱中症の季節が終わっても、水分補給は忘れずに。

大塚製薬20年にわたる水分・電解質補給啓発活動

“100ml当たり49㎎のナトリウム量”が生まれるまで

Q9 大塚製薬は既に1980年代から「水分補給の重要性」を訴えています。そのきっかけはどのようなものだったのでしょうか。

延命: 1970年代に、当社研究開発者が海外出張時に感染症にかかり下痢を発症しました。そのとき水分と栄養をしっかりと摂取するよう医師から指導を受けた彼が帰国後、脱水症状時に失われてしまう「水やナトリウムなどの電解質」を手軽に摂取できる経口用飲料を開発したいと考えたのがきっかけでした。大塚グループでは医薬品として輸液(点滴液)の製造販売を手がけていましたので、そのノウハウを活かしたわけです。

Q10 その研究開発成果が1980年に発売されたポカリスエットですね。

延命: 1000種類以上もの試作品をつくって体内への吸収や栄養分の特性を検討、実際にポカリスエットがイオン飲料として発売されるまでには7年の歳月がかかりました。

汗をかいたあとに身体が求める飲料ということで、たまたまスポーツのシーンで活用が進んだため、今でもポカリスエットはスポーツドリンクだという誤解があるようですが、もともとのコンセプトはスポーツを含む日常生活における発汗時に失われる水分・電解質(ナトリウムなどのイオン)をすみやかに補給するという、「汗の飲料」というものです。このコンセプトの元、汗の成分を分析しながら開発を進め、「Na49」(100ml当たり 49㎎のナトリウム量)にたどりつきました。

Q11 失礼ながら、発売当時に初めて口にした人は「こんなマズイもの」と言ったそうですが、今はすっかり一般に馴染んだ味です。何か成分や味に変化があったのですか?

延命:基本的には変わっていません。現代人の身体が変化してきたということだと思います。例えば、1980年のポカリスエット発売当時は、まだ運動クラブや体育時には水を飲むなという現在と違った指導が広く行われていました。弊社の先輩方はこの状況の中、水分補給の大切さや製品のコンセプト、特長について地道に説明を重ね、多くの方々にポカリスエットをお飲みいただくよう活動を続けていました。また別の要因では、温暖化が進むなど、現代人にとって水分補給が必要な環境に置かれるにつれ、身体が欲するがゆえに、ポカリスエットを美味しく感じるようになったということかもしれませんね。

Q12 日本だけでなく既に海外でもポカリスエットが人気だそうですね。

延命:環太平洋地域の主にアジア圏を中心に日本を含めて16カ国・地域で販売しています。水分・電解質を速やかに補給する飲料というコンセプトが私たちにも意外なところで発揮されるケースもあり、例えばインドネシアではイスラム教のラマダン(断食をともなう儀式)の直後に水分補給で栄養分をとる際にポカリスエットが愛飲されているそうです。また熱性疾患のデング熱発症時の水分補給にも適した飲み物としても注目されています。

大塚製薬のニュートラシューティカルズ製品
ニュートラシューティカルズはnutrition(栄養)とpharmaceuticals(医薬品)の造語。ポカリスエット、カロリーメイトなどは、医療で培われたノウハウを生かして日常生活のなかで健康に貢献する栄養製品(飲料・食品など)として開発されている。

 当社は日々の健康維持・増進に貢献する、科学的な根拠のある独創的な製品を「ニュートラシューティカルズ」として開発しています。医薬品メーカーとして、医療で培われたノウハウを日常生活の中で応用しています。さらに、これまでの市場にない新しいカテゴリーを提案していますので、健康に貢献するためにも関連情報についての啓発活動は欠かせないものとなっています。

今後も1年を通じて、どのような時に脱水症状が起きやすいか、どのように水分補給をしていけばよいのか、お子様からお年寄りまで、皆さんが安心して飲んでいただけるきちんとした情報を提供していくことが大切だと思っています。(2011年9月取材)

●大塚製薬株式会社ホームページはコチラ↓
http://www.otsuka.co.jp/

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