国内企業最前線

熱中症の季節が終わっても、水分補給は忘れずに。

大塚製薬20年にわたる水分・電解質補給啓発活動

今年の残暑がようやく終わろうとしている。夏の熱中症対策は今や常識だが、実は20年前から熱中症予防などにおける水分・電解質補給の啓発活動に取り組んできたのが大塚製薬株式会社だ。同社が1980年に「汗の飲料」がコンセプトのイオン飲料・ポカリスエットを発売以来、単なる販売促進活動にとどまらず啓発活動にも力を入れる理由、そして秋以降の季節も気をつけるべき水分・電解質補給のポイントを聞いた。

昨年来の酷暑で社会問題となった熱中症
Q1 今年の夏は電力不足による節電の影響もあり、昨年以上に“熱中症”が社会的関心を集めました。

大塚製薬株式会社 ニュートラシューティカルズ事業部 延命伸一郎 販売促進部課長(健康管理士一般指導員・建設業等における熱中症予防指導員)

延命: 昔は熱中症ではなく日射病と呼ばれ、室温が高い工場など労働現場では脱水症状による転倒事故が古くから問題視されてきました。しかし、一般の方が熱中症の問題を意識するようになったのは、やはり昨年あたりからでしょう。2010年の夏は、総務省消防庁のデータでも熱中症による救急車の搬出数が過去最大でした(53,843人、消防庁発表)。テレビでも熱中症を報道するようになり、今年は天気予報のキャスターが熱中症対策を語るシーンも当たり前になるなど、熱中症への社会的な注目度は急速に高まりました。

熱中症が深刻化してきた一つの要因は地球温暖化や都市化によるヒートアイランド現象などが挙げられます。例えば気温32℃の場合でも、炎天下の都市部では道路もほとんどがアスファルトで照り返しによる反射熱も厳しい、ビルや舗道に囲まれて通風が悪いなどの悪条件が重なり、実質37℃、体温以上の気温となるケースも少なくありません。

熱中症とは、脱水症状で体温調節が不可能になり、体温が上昇、障害が発生すること。
日本体育協会は熱中症を以下の4種類に区分している。
(大塚製薬株式会社「スポーツ活動中の熱中症を予防しよう」より。
http://www.otsuka.co.jp/health/heatdisorder/ )
1.   熱失神:皮膚血管の拡張によって血圧が低下、脳血流が減少しておこるもので、めまい、失神などがみられます。顔面そう白、呼吸回数の増加、唇のしびれなどもみられます。脈は速くて弱くなります。
 2.   熱疲労: 大量の汗をかき、水分の補給が追いつかないと脱水がおこり、熱疲労の原因となります。脱水による症状で、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などがみられます。
 3.   熱けいれん: 大量に汗をかき、水だけを補給して血液の塩分濃度が低下した時に、足、腕、腹部の筋肉に痛みを伴ったけいれんがおこります。暑熱環境下で長時間の運動をして大量の汗をかく時におこるもので、最近ではトライアスロンなどで報告されています。
 4.   熱射病: 体温の上昇のため中枢機能に異常をきたした状態です。意識障害(応答が鈍い、言動がおかしい、意識がない)が特徴で、頭痛、吐き気、めまいなどの前駆症状やショック状態などもみられます。また、全身臓器の血管がつまって、脳、心、肺、肝、腎などの全身の臓器障害を合併することが多く、死亡率も高くなります。

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