震災ボランティア

「奇跡の石巻モデル」7カ月の災害ボランティアから学ぶ

ピースボート災害ボランティアセンターの活動から

 ゲストトーク
震災から学び、次の震災被害を最小限にする 

(左から2人目がロシート・セラジーンさん)

ロシート・セラジーン
(東日本大震災復興支援基金アドバイザー)

今後の震災を含めて発言したい。①社会的な弱者の声に耳を傾け、共生を目指すことが大切です。そして支援者の活動の決定に援助する側も直接関わること。自分たちの責任が生まれます。 ②効果的に連携できる組織と協力してください。③戦略的で計画的なサポートが必要です。 ④成果を得るにはボランティアスピリットだけ足りません。 ⑤社会的なインパクトのある組織と連携することも必要です。 ⑥支援の配分では情報交換と情報共有が大切です。 ⑦能力とリソースのギャップを少なくすることが重要です。

香山 リカ 
(精神科医/立教大学現代心理学部教授)

香山 リカさん

私は仙台空港のある名取市周辺に医療ボランティアをやるつもりで出かけたのですが、被災者の方は心のケアというよりも生活の安定や身体的なケアの方が優先されるという現実を目の当たりにして、後方支援に徹しようと思いました。災害支援でよく言われることに、「支援者も被災者である」という言葉があります。これは支援者が直接的に被災したということではなく、被災地での活動の中で、いつもと違う経験をボランティアがし、そのストレスで心身の不調を訴えるということです。ボランティアの方は、被災者に比べれば元気だし、自分たちの意思でそういうところに赴いているのだから、自己責任だという捉え方もあります。ところが、最近ではボランティアの人たちの心のケアもしないといけないというように変わってきました。ボランティアも被災者と同様のショックを受ける場面も少なくありません。私たちは、後方支援ですが、ボランティアから帰ってきた人たちに、必要があれば心のケアをしたいと思い活動を続けています。石巻はうまくいったのでしょうが、なかには深刻な問題を抱えて戻ってくるボランティアもいます。また、ボランティアには行かなかったものの、ボランティアに行った同僚の穴埋めでストレスを感じたとか、自分も行きたかったのに行けなくてストレスを感じたなど、複雑な問題もあります。このような人のケアも必要なのです。 

金 敬黙
(中京大学国際教養学部准教授) 

金 敬黙さん

第三者的にボランティアのトレーニングに関わる立場から発言します。3月11日は名古屋で体験しました。中原一歩さんの『奇跡の災害ボランティア「石巻モデル」』に書いてあるように、石巻の専修大学がボランティアの拠点になったという話を聞き、私のいる大学だったらそんな場所の提供ができただろうかと自問自答しました。大学の人間として、あるいは一人の市民として何ができるか、役割を模索するのに相当な時間がかかりました。5月にピースボートの方とお会いして、そろそろ現地に来たらというお誘いを受けました。その週末に現地に入りました。ピースボート災害ボランティアセンターは、次の災害に備えるということを念頭において活動しており、これまでの活動に対するレビューを行ってほしいということでした。次の災害に備えるリーダーを育てたいということでした。緊急時の活動の途中でここまで考えているということで協力せざるを得ないと思いました。

人が組織をつくります。組織が人材をつくります。ピースボート災害ボランティアセンターが考える人材の姿は、既存の大学や企業が持つ発想をどう乗り越えるかにあります。これが今日お伝えしたかった結論です。

 雨宮 処凛 
(作家)

雨宮 処凛さん

石巻には4月末に一度行きました。その後ボランティアもしていないので今日こんなところに来てよいのかという気持ちです。石巻では、町の至るところでピースボートのボランティアが泥かきをしていました。韓国の方もたくさんいたというのが印象的です。そのときの石巻は、魚が腐り始めていてかなり強烈な臭いもしていました。私は東京で法律家の方たちのボランティアも見ました。それは被災地から東京や埼玉に来ている人たちにローンや借金の問題を解決し、生活再建の相談に乗るということです。東京災害支援ネットの人たちがやっていて、弁護士や司法書士の方が相談に乗っていました。避難してきた人は医療費が無料になります。そのことをわかっていないお医者さんに行くとお金を取られたという話もあります。実際の話ですが、単身で東京に来て所持金が数十円という方がいました。このままではホームレスになってしまうというので、生活保護申請なども行っていました。

今後の生活をどうするかという問題は、被災地以外にも現れていたということです。今後は雇用保険や失業手当が切れる人が出てきます。法律相談のボランティアの重要性も感じました。 

※この記事は、10月13日(木)に(社)ピースボート災害ボランティアセンターの主催で開かれた「3.11東日本大震災 緊急支援報告会プログラム 石巻・ボランティアトレーニングプロジェクト発表 災害ボランティアを生かす仕組みを」のイベントを当編集部でまとめたものです。文責は当編集部にあります。

(社)ピースボート災害ボランティアセンターへのお問い合わせ
東京都新宿区高田馬場3-13-1-B1
電話 03-3363-7967 ファックス 03-3362-6073
メール kyuen@pbv.or.jp

〈関連サイト・記事〉

「ただ“被災者の心に寄り添う”ために」はコチラ
http://csr-magazine.com/2011/07/24/analysts-nvnad/3/

Part 1 「企業と自治体の協働」と「石巻モデル」はコチラ↓
http://csr-magazine.com/2011/05/16/analysts-ishinomakimodel-part1

Part 2[後半] 「企業とNGOの協働」と 「気仙沼・大島モデル」はコチラ↓
http://csr-magazine.com/2011/10/31/analysts-part2-kesennuma2/

「被災地・福島に届け!「復興支援コンサートforふくしま」が開催」はコチラ
http://csr-magazine.com/2011/09/13/csr-flash-fukushimaconcert/

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