「科学技術は環境(エコ)の基本」シリーズ

【第2回】ニュースの中の環境問題と科学技術

~何かしなければの想いを実践につなげる~

環境・エネルギー問題など、東日本大震災以降のこれからの社会を選択するために「科学技術」を知ることが不可欠となっています。科学技術の面白さと重要性を知っていただく「科学技術は環境(エコ)の基本」シリーズ第2回は、(社)日本技術士会「持続可能な社会推進センター」副代表で北海道在住の大島 紀房氏(株式会社構研エンジニアリング 代表取締役)から、そもそも科学技術とは何か?日本での身近な環境問題を例に科学技術が果たす役割について説明します。

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1. 本来、科学と技術は異なる2つの分野

㈱構研エンジニアリング 代表取締役 大島紀房氏

大島:科学技術は英語でscience and technology、本来は“科学”と“技術”は異なります。“科学(自然科学)”とは、「自然現象から普遍的法則を見つけ、体系的に説明するもの」。例えば「鳥はなぜ空を飛べるのか」を追及するのが“科学”です。一方、“技術”とは「目的を実現するために物を加工し、人間の要求に応えるもの」と言われます。例えば飛行機。静止すれば落下するはずの飛行機は、“自然科学”という流体力学の研究が進み、“技術”の進歩が加わり、空を飛び、車や電車より短時間で遠くに行くことを可能にしました。

2.南海トラフ地震で死者最大32万人!!

大島:つい先日、2012年8月29日に内閣府は「南海トラフ地震で死者最大32万人」との想定を発表しました。東日本大震災や過去の巨大な地震や津波の歴史を解き明かして法則性を見出し—つまりは“科学”の力を駆使し、さらに一定の前提条件の下でシミュレ-ションを行い被害想定を導き出して人の要求に応える—“技術”を発揮したわけです。内閣府の試算では津波避難ビルを活用、建物の耐震化で建物倒壊を防ぐ、火災に強い街づくりを構築することで大幅に死者を減らすことができるとしています。死傷者を減らし被害を最小限に留める、まさに“科学技術の力”が試される時です。

図-1 南海トラフ地震(8月29日 内閣府発表)想定震度分布

図-2 南海トラフ地震(8月29日 内閣府発表)想定津波高さ

内閣府は南海トラフ地震による被害者数を、津波で23万人、建物の倒壊が8万2千人、火災で1万人、その結果として死者最大32万人と想定。

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