企業とNGO/NPO

震災から1年半、今こそ企業とNGO/NPOは連携を[第2回] 顔の見える関係づくりを

Ⅱ. 被災地にボランティアを派遣した企業担当者からの報告

(左から、ピースボート災害ボランティアセンター代表理事 山本 隆さん、㈱ブリヂストン ブランド推進部社会活動課 齋藤景介さん、大成建設㈱ 環境本部企画管理部長 丹下誠司さん、新日鉄住金エンジニアリング㈱ 戦略企画センター経営企画部CSR室長 折笠光子さん)

労働組合の剰余金を活用してボランティア派遣

大成建設㈱ 環境本部企画管理部長 丹下誠司さん

大成建設の丹下誠司さん

丹下:本日はCSR室長に代わって参加しました。昨年5月から石巻の専修大学を拠点にして活動しましたが、あっという間に1年半以上が経過しました。私は大学が仙台であったという地縁もあって、何かしないといけないという思いが強くありました。

山本:大手ゼネコンですと、たくさんの現場をお持ちだと思いますが、ボランティアをやろうと決めた背景は……。

丹下:私どもの仕事上、災害復興は当たり前となっています。台風が来れば24時間体制で待機したりもします。ただ、これまではボランティアという発想はありませんでした。

3.11が起きたとき、会社としては福島第一の対応に追われました。上層部も放射能汚染に目が向いていました。3月や4月あたりは、むしろボランティアに入るな、現地に迷惑が掛かるという風潮でした。現在は経営的にも厳しく、経営陣からはボランティアに行って来いという声がなかなか出ませんでした。そこで社員の間で知恵をしぼり、労働組合の剰余金を活用してボランティアに出ようということにしました。

私自身は管理職ですが、5月1日から全国13支店に声をかけて、希望者を送り込むことにしました。たとえば今回の被災地は東北ですが、九州で災害があればそちらにも行くということで社内を説得しました。口伝えでいつしか広がり、これまでに11班述べ200人が参加しました。

3.11ほど大きな災害ですと、仕事でもお客様のところに行く機会があります。石巻にもお客様がいましたのでそこに支援するという発想はあっても、石巻の街をなんとかしようという発想はこれまではありませんでした。ピースボートさんが石巻に拠点を設けているというのでつながったわけです。3.11は当社の“ボランティア元年”となりました。

山本:組合費を使うというのは大丈夫だったのでしょうか。

丹下:普通の会社であればトップが行って来いといって1億円とかくれるかもしれませんが、当社はオーナー会社ではありませんので難しいところがあります。組合の積立金があると知って、組合の幹部を説得して賛同を得たわけです。

山本:現地に行かれた社員の皆さんの感想は。

丹下:テレビで見るとか、写真で見るとかとは全く違う、圧倒的な地震と津波の破壊力に誰もが驚いていました。災害復旧は当社にとってはビジネスの1つですが、社員の意識にもプラスになりました。

山本:丹下さんはこの間も行かれていますが、現地ではどのような活動を。

丹下:先々週、B級グルメの焼きそばフェスティバルの誘導係で行ってきました。会社は東北地方で本業による支援もさかんにやっています。10月13日には女川で日本財団さんからいただいた「サンマの加工場」の工事をしました。突貫工事の大成といわれていますから得意な分野です。夜昼寝ずに完成させましたが、海流のせいかあまりサンマが獲れていないと聞いています。石巻では「希望の缶詰」の木の屋石巻水産の仕事を1月か2月の竣工で走っています。海が暖かくてサバも獲れないということ心配です。気仙沼の瓦礫処理や釜石の瓦礫処理の仕事も行っています。

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