「科学技術は環境(エコ)の基本」シリーズ

【第5回】科学技術を学ぼう③

~公式テキストから~「IT技術の仕組みと活用」「自然災害から国土をまもる環境保全対策」

科学技術の面白さと重要性を知っていただく「科学技術は環境(エコ)の基本」シリーズ第3回から第7回までは、5回に分けてエコリーダー公式テキスト<科学技術>の内容についてご紹介します。第5回の今回は将来の自然災害に備えたシミュレーション、震災復興につながる自然再生エネルギー都市づくりなど、科学技術が果たす役割を、(公社)日本技術士会登録「持続可能な社会推進センター」会員の植村 豊樹氏(株式会社 構研エンジニアリング 取締役)が解説します。

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第7章 IT技術の仕組みと活用

植村 豊樹氏

植村:この章では、IT(information technology:情報技術)の技術の活用例を学び、環境にやさしい生活への工夫、身近な環境への気づきなどを考えます。

IT技術は、エネルギ-効率をよくする電化製品や自動車などの、一般には見えないところで製品に組み込まれています。IT機器は電気を使います。ITの普及が環境への負荷とならないような製品をつくることが重要です。また、使用するときにも電気を使いすぎないような節電の配慮が必要ですね。

IT技術の発達が可能とした“シミュレーション”

IT技術の拡大について、インタ-ネットの利用があげられます。総務省「通信利用動向調査」によると、平成20年末の時点で、約9,000万人と、つまり国民の4人に3人がインタ-ネットを利用していることになります。10年前と比較すると、4倍近くにも増加しています。インタ-ネットは携帯電話と並んで、まさに21世紀のヒット商品と言えるでしょう。

インタ-ネットを単に情報の閲覧や受発信だけでなく、商取引に活用する人も増えています。実際にインタ-ネットでの商品等の購入や金融取引の経験のある人は、インタ-ネット利用者の中ですでに半数を超えています。インタ-ネットも取引に使う時代へと確実に進化しています。

もう一つのIT技術の拡大は、シュミレ-ションです。実際に人間が直接見たり体験することが不可能な現象や未来に起こるかもしれない現象をコンピュ-タで再現することができます。

8月29日に内閣府は、東海・東南海・南海地震の震源域が連なる南海トラフ(浅い海溝)の最大級の巨大地震について、「死者は関東以西の30都府県で最大32万3000人に達する。」との被害想定を公表しました。マグニチュ-ド(M)9.1の地震で最大34mの津波が太平洋沿岸を襲い、震度7の強い揺れなどで最大約238万棟が全壊・焼失すると推定しました。これは、今回の東日本大震災で得られた最新の知見や過去の巨大な地震や津波の歴史の事実を集約し、様々な前提条件の下で大型コンピュ-タを使ってシュミレ-ションを行った結果です。

今や、このシュミレ-ションモデルは、地球温暖化社会の未来予測はもちろんのこと、大きな災害のみならず犯罪の発生や交通量と交通事故の発生、気象変動による農作物への影響など、国民の生命や財産を守るために広く使われています。

家庭に提供された「浸水ハザードマップ」

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