CSRフラッシュ

考えよう! アフリカの水

アフリカ人留学生と横浜市民の井戸端フォーラム2013

2025年には世界人口の2/3 が水不足に直面するといわれる。なかでも深刻なのが北アフリカ、サハラ以南のアフリカ地域だ。このほど第5回アフリカ開発会議(TICAD Ⅴ)が横浜市で開催。会議に合わせて横浜市国際学生会館がアフリカ人留学生と市民による「考えよう! アフリカの水」と題する交流会を開いた。

水を運ぶ女性たち。優雅に見えるが大変な重労働だ

アフリカの水事情と横浜市の協力

交流会の冒頭、横浜市水道局職員らからアフリカにおける横浜市水道局の国際貢献活動について説明。2013年春にタンザニアで行われた支援活動についても報告があった。


報告1:横浜市水道局のアフリカにおける取り組み

横浜市は、日本最初の近代水道創設の地です。1887年以来126年の歴史の中で培われた技術やノウハウを活かし、これまで2,400人を超える海外研修員を受け入れるなど、開発途上国の水道事業の向上に貢献してきました。

世界には安全な水にアクセスできない人が8億人いると言われています。特にサへルと呼ばれるサハラ砂漠の南に位置する半乾燥地域が深刻です。この地域では一日に一人当たり平均30リットル未満の水さえ利用できない状況です。ちなみに横浜市は一日に一人当たり234リットルの水を使用しています。

横浜市水道局の国際協力事業は、1973年にアフガニスタンに職員を派遣したのが始まりで、アフリカについては、1977年にケニアに職員を派遣して以来35年にわたり、国際協力機構(JICA)等との連携により、専門家・調査団などの職員派遣や研修員受け入れなどの協力を行っています。

2012年度までのアフリカとの技術協力実績は職員派遣で10カ国40人、海外研修員の受け入れは短いものも含めると37カ国229人となっています。今年は第5回アフリカ開発会議(TICAD Ⅴ)が開催されたこともあり、かねてから要請のあったフランス語圏9カ国から10名の研修員を受け入れました。

現地の作業員に水道管布設を指導する

〔以上は横浜市水道局国際事業課の村上 智美さんからの報告抜粋。村上さんは海外からの研修員の受入窓口などを担当しています。〕


報告2:タンザニア・ザンジバル水公社での支援活動

タンザニア連合共和国は、アフリカ大陸の東端に位置し、インド洋に面しています。ザンジバルはインド洋上にあるいくつかの島からなり、共和国として自治が認められ、大統領もいます。公用語はスワヒリ語で、中学生から英語も学習しています。ザンジバル水公社は2つの島で給水事業を行っています。

横浜市水道局からのタンザニア国ザンジバル水公社への職員派遣は、2009年度のJICA技術プロジェクト専門家派遣、2012年度にJICA研修事業フォローアップチームの派遣に次いで今回で3度目になります。3月から約1カ月間派遣されました。ボランティア制度を利用した派遣は今回が初めてです。

2013年春にザンジバル水公社に派遣された4名の横浜市水道局のみなさん

工事班と料金班の2チームを派遣

今回は工事班(工藤・木村組)と料金班(雨宮・鈴木組)の2つのチームが派遣されました。工事班は、新しい管の布設や漏水修理、料金班はお客さまからの料金徴収に対するアドバイスなどの活動を行いました。

現地は水道料金の未払いが多く、施設の維持管理費が不足している状態です。水道施設が老朽化し、漏水などが発生する悪い循環の中にあります。私たちは水道施設の適切な更新を提案するとともに、料金班として未払いの解消に向けた提言を行いました。収入が増加すれば施設の維持管理ができ、水の安定供給が図られ、お客さまの満足が広がり、料金の未払いも減るという良い循環になります。

ザンジバル水公社は、島の高地に200数カ所の井戸を掘り、現在は116カ所の取水口を使って人々に給水しています。しかし、取水量そのものが少ないうえに、管も村落に近づくほど漏水も多くなり、1週間のうち3日くらいしか水が出ないという状況です。

できるだけお金を掛けずに効率的な漏水の修理をするにはどうするかを考え、最低限の材料と工具を充実させるという提言を行いました。

過酷な環境の中、貧弱な工具で

現地は35度を超える猛暑の中、ほとんどの作業員は作業服もなく裸足という状況です。ゲリラ豪雨で土砂が浸食されて水道管が抜け落ち、むき出しになっていましたが、12人の作業員に対してシャベルが1本しかなく、管と管をつなぐボルトを締めるための工具も簡易なものしかありません。

猛暑の中で水道管布設作業が続く

現地の作業員はほとんどスワヒリ語しかできません。地面に絵を描いたり、身振り手振りでコミュニケーションをとるしか方法がありませんでした。

横浜市の場合、どこに何ミリの管がいつ布設されたかという記録が残っています。ザンジバルではそうした記録はほとんどありません。水道施設を効率的に維持管理するうえで、工事に係る図面などの記録の積み重ねがいかに大事かという話をしました。

ザンジバル水公社では、水道の利用者は8万世帯近くあるのですが、そのうち水道メーターが付いているお客さまは2000軒ほど。残りの7万8000軒は固定制で、利用に見合った料金の徴収がされていない状況です。水道料金の収納率を高めるかが重要な課題となっています。

請求書の配布を行う2人の女性職員

ところが地図はあっても住所という概念がなく、○○地区や□□地区はあっても住所と番地がありません。○○地区の△△さんしかわからないのです。つまり使用者の特定が非常にあいまいになっています。水道メーターの検針と料金の徴収にあたっては、水公社独自に地図を作成するよう提案しました。

また、水道メーターの検針と請求書の配布は女性職員2人が1組で行っています。これも1人ずつでやることによって作業効率を倍にすることを提案しました。

ザンジパル水公社総裁にあいさつを行う4名の職員

〔以上は、2013年春にザンジバル水公社に派遣された横浜市水道局サービス推進課の雨宮啓介さん、同北部第二給水課木村紀之さん、同西部工事課工藤清之さん、同経営企画課鈴木円花さんの報告から抜粋しました。〕

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