企業とNGO/NPO
震災から1年半、今こそ企業とNGO/NPOは連携を[第1回] 2つの大震災から見えてくるもの
ダイバーシティ研究所代表理事/つなプロ代表幹事/復興庁上席政策調査官 田村 太郎東日本大震災から1年半が経過した10月17日、企業およびNGO/NPOなど40団体が集い、ボランティアの経験などを次の災害に生かそうと、「民間防災および被災地支援ネットワーク」の立ち上げが行われた。貴重な交流会の模様を2回にわたって報告しよう。
阪神・淡路の経験を東日本大震災で生かせないか
私は復興庁で民間連携を担当しています。企業とNGO/NPOの連携や企業と自治体の連携です。災害の復興には様々な局面で、様々な担い手が多様な連携をしていかないといけません。私がこのような課題に関わるようになったのは阪神・淡路大震災からです。当時、「神戸復興塾」の事務局長や兵庫県「被災者復興支援会議」の委員として5年ほど活動に関わりました。
これまでの経験を生かしてほしいということで東日本大震災の後、民間の活動をやりながら復興庁のお手伝いもすることになりました。毎週どこかの被災地に出かけています。いま被災地に一番必要なのは、“見通し”です。阪神・淡路で起きたことが、東北でも必ず起きるわけではありませんが、共通する点もたくさんあります。この時期にはこういうことが起きるのではないかと予想を立て、どう備えるのかを予測するようにしています。
今回の担当は宮城県でしたが、避難所を巡回して、細かなニーズを拾って、専門的な活動とつなぐという役割がありました。このような取り組みがなぜ必要かというと、災害が発生すると真っ先に物資を届けないといけません。避難所に行ってからのケアもおろそかにできません。仮設住宅に移ってからの孤立も課題です。いずれも長期的なサポートが必要です。
トイレを我慢して死亡者が
阪神・淡路大震災では避難所で500人が亡くなっています。震災関連死ということですが、復興庁で今年の7月に暫定的にまとめたものによると、震災後の死者の半分が避難中もしくは避難所での死者ということになっています。残念ながら阪神・淡路の経験が生かされなかったわけです。悔しい思いでいっぱいです。きょうのテーマでもありますが、次の災害でもう一度同じ過ちを起こしてはいけないのです。
阪神・淡路の避難所で亡くなった方のうち、一番多かったのが肺炎、次が血栓による心不全・心筋梗塞・脳梗塞(現在、エコノミークラス症候群と呼ばれている)、この原因は実にシンプルで、トイレに行かないことにあります。トイレが汚いので我慢する、行きたくないという理由です。トイレをきれいにして、だれでも行きやすくすればよかったわけですがそれができなかったのです。
宮城県の経験ですが、トイレに行く途中に段差があるとか、屋外に架設トイレがあるとか、夜は真っ暗で怖いとかの問題がありました。全体の1/3のトイレでなんらかの問題がありました。こういう問題も含めて次の災害に備えなければいけません。
支援というのは災害直後の物資供給だけではありません。どうやったら死者がでない避難所をつくれるか、人が生き続けられる仮設住宅はどうあるべきか、このあたりは本気で考えなければなりません。