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ありがとう さようなら!石原軍団との別れを惜しむ
日活撮影所、角川大映スタジオをはじめ数多くの映画・映像関連企業が集まる調布市。東洋のハリウッドとも呼ばれています。その調布市で、石原プロモーションの解散を惜しむ展示会などが開催されました。コロナ禍で開催された「映画のまち調布」ならではの催しをのぞいてみました。(2021年3月1日)
石原軍団の解散を惜しむ展示会
2021(令和3)年1月16日、戦後の映画・テレビ産業を支えてきた石原プロモーションが解散しました。同社は、石原裕次郎さんが1963(昭和38)年に立ち上げたもので1月16日は誕生から58年目の節目にあたりました。
石原プロモーションは、1973(昭和48)年から本拠を調布市に構えてきました。そのため2月20日~28日までの9日間、調布市の市文化会館たづくり・むらさきホールで、「ありがとう!石原軍団」と銘打った展示会が開催されました。
今回の展示会は、コロナ禍とあって午前10時から午後17時15分までを30分ごとに区切り、それぞれ定員30人の総入替制としました。全国から石原軍団のファンの皆さんも駆け付け、終日賑わいを見せました。
会場では、1956年(昭和31年)の『太陽の季節』でデビューした裕次郎さんの主演映画のスチール写真、1957年(昭和32年)に公開された『嵐を呼ぶ男』で裕次郎さんがたたいたドラム一式のほか、各種台本や衣装なども飾られ、どれも映画ファンには懐かしいものばかりでした。
石原プロモーションは、調布市内に拠点を移した後、代表作『太陽にほえろ!』『大都会』『西部警察』などの人気ドラマシリーズを制作しました。
国民的大スターである石原裕次郎さんが享年52歳の若さで亡くなると、その弟分ともいえる渡哲也さんを中心に、神田正輝さんや舘ひろしさんを看板スターに映画やテレビで活躍を続けます。
『西部警察』は、ド派手な爆発シーンなどを売り物にしたテレビドラマでしたが、会場にはその撮影で使われた拳銃や機関銃なども展示されていました。
日本映画そのものは、テレビの勃興期を迎えるとともに、松竹、東宝、大映、新東宝、東映からなる五社体制の枠組みが徐々に崩れていきます。三船敏郎さんと石原裕次郎さんが共同で、独立プロ制作の巨編として1968(昭和43)年に公開された『黒部の太陽』の台本や裕次郎さんが同作品で被ったヘルメットも展示してありました。
会場の一角には石原プロモーションが手掛けた映画、ドラマ・音楽に関連した展示とともに、150種類を超えるグッズの販売も行われました。
なお、石原軍団の皆さんが乗降した京王線の国領駅では、2月20日から列車がホームに近づくと、上り線の新宿方面で『西部警察』のテーマ曲が、下り線の八王子方面で『太陽にほえろ!』のテーマ曲が流れることになりました。
「映画音響」の奥深さを学ぶ
調布市は、昭和30年代の日本映画全盛期に大映、日活に加えて独立プロダクション系の調布映画撮影所の3か所の撮影所に加え、高津装飾美術、東映ラボ・テック、東京現像所など数多くの映画・映像関連企業が集まっています。
そのため、いまも「映画のまち調布」を町おこしのキーワードに掲げ、市民がその年に公開された日本映画を人気投票で決めるほか、市民参加の上映会を行ってきました。また、「高校生フィルムコンテスト in 映画のまち調布」など映画・映像産業で活躍する人材を育成・輩出する取り組みも続けています。
2月20日には、「映画のまち調布シネマフェスティバル2021」関連のイベントとして、「映画音響の世界を知る~ボクらのたづくりスタジオ 音響技術編~」が市内の「イオンシネマ シアタス調布」で開催されました。
このイベントは、前半で2019年に制作された『ようこそ映画音響の世界へ』と題するアメリカ映画が上映され、無声の映画の時代からさかのぼり、『プライベートライアン』『地獄の黙示録』『スターウォーズ』などの印象的な場面をとおして、せりふ、効果音、音楽がどのようにしてつくられ、それが映画の完成に大きな力となっているかをハリウッドの監督や職人たちが語るというものでした。
後半では日本映画界で活躍する映画録音技師の瀬川徹夫さん、音響効果技師の柴崎憲治さん、録音技師の伊藤裕規さん、映画監督の行定勲さんらがトークを行い、日米映画界の音に対する取り組みの違いが語られるとともに、日本映画なりのこだわりについても語られました。
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