CSRマガジン 年始特集

2012年新たな出会いと希望に向かって

  1. 石巻市立蛇田小学校 教諭 木村 明子 氏
  2. [コラム] 地域を結ぶ「復興大漁旗」
  3. 元国連UNHCR協会事務局長 高嶋由美子氏
  4. 株式会社ドウゾ 代表取締役CEO 棚田 信子 氏
  5. 非営利型一般社団法人 チームともだち 代表理事 登内芳也氏
  6. 株式会社久慈ソーイング 代表取締役 中田利雄 社長
  7. [コラム] 街中、ダルマだらけ大作戦
  8. NPO法人ポラリスプロジェクトジャパン 代表 藤原志帆子氏
  9. ソーラーエネルギージャパン 代表 宮本 ルミ子 氏
  10. CSRマガジンスタッフ(宮城県仙台在住) 藤森有紀
  11. 拓殖大学国際学部 長坂 寿久 教授


NGO・NPOと企業との協働、逗子市のフェアトレードタウン運動を推進
拓殖大学国際学部 長坂 寿久 教授
公共圏の形成とリローカリゼーション(地域回帰)の時代

2011年3月11日から日本はどう再生していくのか。その再生への意味は、日本が明治に近代国家をつくった時の国づくりの欠陥を修正・改革することを意味する。そのキーワードは「公共」と「共同体(コミュニティ)」である。

原発への安全神話の形成と事故後の対応から、日本の仕組み(システム)の構造的欠陥が明らかになったにも関わらず、私たちは未だ明確な力強い行動を政府に対して取り得ていないし、私たち(国民/市民)自身の主張も明確ですらないように思える。これは日本が近代国家をつくり始めた明治以来、『公共圏』を「公」(政府、戦前までは天皇)が乗っ取った仕組みをつくりあげてきたことによる。日本には「私」が「他者」とコミュニケーションすることによって形成する「公共圏」とそのコミュニケーションを通して「公共益」が合意され、それを守り・拡げるのが「公」(政府)の役割だという国家概念がない。「公共益」より「国益」を優先させる構造が作られ、私たちはそう教育され続けている。3・11後の日本は、この明治以降の「公・私」二元論の構造から、「私・公共・公」三元論の普通の国へ日本をつくりかえること、それが日本の本当の再生を意味する。

また、明治以降、近代国家形成と戦争への邁進、そして戦後の工業化と経済のグローバリゼーションを通して捨て去ってきた「地域共同体(コミュニティ)」をいかに再生していくかがもう一つの課題である。もちろん私たちはこれからもグローバルな社会の中で生きていくのだが、少なくもと経済のグローバリゼーションがもたらした格差拡大・環境破壊・公共性の喪失という、社会を歪める構造を修正し改革していくためには、かつて私たちが相互扶助という公共圏を形成していた「地域社会(共同体)」の復活が必要である。つまり、3・11後の私たちは、経済のグローバリゼーションから、『リローカリゼーション(地域回帰)』へ向けて発想すべき時代を迎えている。地域回帰をすすめ、地域から公共圏を形成し、日本を変えていく、そうした発想が必要となっているのである。

この時の私たちの新しい「地域(コミュニティ)」は、「おらが村」さえよければいいというこれまでの国家・地域観ではなく、世界の地域とつながりをもった「新しいおらが村」でなければならない。

2012年、私たちは、自分が日々生活している「地域」を見つめ直し、自分と地域を結びつける何か(コミュニティ活動)に参加し関わる生き方をみつける、そうしたことを模索し、参加する1年でありたい。

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