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世界初 MSC認証の「かつお削りぶし」が横浜の和食店で利用開始!

海のエコラベルとして知られるMSC認証の「かつお削りぶし」を使用した料理が、6月8日より、和食料理店「きじま」においてお客様に提供されました。「かつお削りぶし」でMSC認証は世界初(※ヤマキ・WWFジャパン調べ)。持続可能なカツオの漁獲と消費を目指すWWFジャパンが、㈱きじまとヤマキ㈱の両社の間をとりもつ形で実現したもの。両事業者の持続可能な水産業推進への思いが実を結びました。(2021年6月28日公開)

セリに並べられるカツオ。© Jürgen Freund  WWF

※MSC:Marine Stewardship Council、海洋管理協議会の略。持続可能で適切に管理され、環境に配慮した漁業を認証する制度です。イギリスに本部のあるMSCが定めた、「持続可能な漁業のための原則と基準」に基づき、漁業を第三者の認証機関が認証し、その水産物にはMSCの認証マークが与えられます。WWFは、国際的な海洋保全活動の一環として、MSC認証制度の普及をサポートしています。

「かつお削りぶし」のMSC認証取得で2社1団体が連携

1980年に神奈川県横浜市で創業された和食料理店きじま。現在は横浜市とその近隣に6店舗を営業しており、どこよりも新鮮な海の幸を提供するとともに、昔ながらの発酵調味料の使用、有機栽培・自然栽培の農産物にこだわってきました。

また、豊かな海を未来に残すため、持続可能な水産物において、もっとも信頼できる国際認証であるMSC 認証・ASC認証を取得した水産物の利用を進めています。

持続可能なカツオ船における漁獲風景写真提供:ヤマキ

『鰹節屋・だし屋,ヤマキ』として知られるヤマキは、2019年に鰹節製造から製品製造までのサプライチェーンを一気通貫でMSC-CoC認証を取得し、その後製品発売の準備を行ってきました。2021年6月1日に世界初のMSC認証を取得した「かつお削りぶし」を外食産業向けに限定したナショナルブランド製品として発売しました。

WWFジャパンは、2020年より国内のカツオの漁獲・加工・販売状況を調査したうえで、国内の主な取り扱い企業や漁業者などと持続可能なカツオの漁獲と消費に向けての協議を続けています。

そうした中、水産物の持続性に関する取組みをそれぞれ単独で進めていたきじまとヤマキ両者の橋渡しをWWFジャパンが行い、これを機に今回の2社間パートナーシップが創出され、ヤマキ製のMSC認証「かつお削りぶし」が和食料理店きじまのおだしに全面的に導入され、きじまのお客様に提供されることになりました。

2社1団体からMSC認証取得の意義が表明

今回、「だし」という観点からほぼすべての料理に、このMSC「かつお削りぶし」を導入することを決めた和食料理店きじまの事業戦略室 杵島 弘晃さんは、この取組みについて以下のように述べています。

「この度、ヤマキ・WWFとの素晴らしい協働により、MSC認証の鰹節を使った和食をお客様に提供できることを大変嬉しく思います。和食の根幹を支える豊かな海の幸は諸外国の食文化と比較しても特徴的かつ魅力的である一方、資源の持続可能性が懸念されています。今回の取り組みは、日本の食文化を尊重しながら水産資源の持続可能な利用も同時に進めていくことが可能であることを示す重要な一歩であると考えています」

また、ヤマキ㈱コーポレート・コミュニケーション部 田中 宏則さんは、「今回のきじま・WWFとの協働を通じて、『おいしさ』と『健康』そして『食文化の継承・食資源の持続性確保』に対して新たな一歩を踏み出せたと感じています。これからも『鰹節屋・だし屋,ヤマキ』として体と心に美味しい商品を提供して参りたいと考えています」

持続可能なカツオ船における漁獲風景(写真提供:ヤマキ

また、両社の連携をつないだ持続可能な漁業を推進するWWF海洋水産グループサイエンス&テクノロジー担当の植松 周平さんは、「きじまやヤマキの持続可能な水産資源利用への貢献などSDGs実現への強い思いが、このような世界初の快挙につながったと思います。このSDGsへの先進的な取り組みがきっかけとなり、MSC認証商品が日本の小売企業や レストランに広がるとともに、水産資源の持続可能性が向上することを期待します」と語っています。

MSC認証「かつお削りぶし」が、実際に和食料理店で提供開始されることは、和食文化を守るための画期的な試みであるとともに、SDGsのうち、「12. つくる責任つかう責任」や「14. 海の豊かさを守ろう」だけでなく、「17.パートナーシッ プで目標を達成しよう」を実現することにもつながると、きじま・ヤマキ・WWFジャパンの3者は考えています。

きじまがサステナブル・シーフードキャンペーン

和食料理店きじまでは、世界初のMSC認証の「かつお削りぶし」の利用開始と環境保護団体WWFジャパンとのコラボを記念して、以下のような期間限定の「サステナブル・シーフードキャンペーン」を始めています。

■企業・団体概要

株式会社きじま(神奈川県横浜市 代表取締役:杵島 正光):横浜で創業の和食料理店。「美味しい和食と豊かな海を、未来もずっと。」をスローガンに、持続可能な水産物や畜産物の導入、添加物を一切使用しない無添加の調味料や有機/自然栽培の農産物の利用などを通じて、『美味しくて安心・安全、そしてサステナブルな和食』を提供しています。

ヤマキ株式会社(愛媛県伊 予市 代表取締役社長:城戸善浩):「鰹節屋・だし屋,ヤマキ」として鰹節とだしを通じて,「おいしさ」と「健康」,そして 「食文化の継承・食資源の持続性確保」に貢献しています。

公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(東京都港区 会長:末吉竹二郎 通称名 WWFジャパン):1961年にスイスで設立された地球環境保全団体。人と自然が調和して生きられる未来を築くため、現在100カ国以上で希少な野生生物の保護や森や海などの自然環境の保全、自然資源の持続可能な利用、地球温暖化の防止などを目指したプロジェクトを展開しています。

■問い合せ先
株式会社きじま 事業戦略室 杵島 弘晃 TEL:045-870-4068

ヤマキ株式会社 コーポレート・コミュニケーション部 田中・橋本
TEL:03-3251-1398
WWFジャパン メディアグループ 新井 秀子 Email: press@wwf.or.jp

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